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あなたにとって国連とは:ひとりの日本人女性として考える過去、現在、未来について

 

国連広報センターインターンの仲本真理子です。

4月20日、国連創設70周年記念「いま、日本から国連を考える」セミナー・シリーズの第2回目が、明治大学で開催されました。今回のテーマは、「Your United Nations: past, present, and future from a Japanese woman’s point of view(あなたにとって国連とは:ひとりの日本人女性として考える過去、現在、未来について)」。

根本かおる国連広報センター所長が講演しました。

 

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 「なぜ国連が創設されたのでしょう、それも1945年に。皆さん分かりますか?」(根本所長)

「戦争が終わったとき、世界中の国々が平和をつくろうとしたからです」(学生)

 

国連の掲げる三本の柱、国際平和および安全、人権、開発。根本所長は「Human Rights(人権)」について、世界人権宣言を手に学生と対話しました。

人権や男女平等という考えがまだ世の中に浸透していなかったころ、女性に対するあらゆる差別をなくそうという国際社会の動きがあり、1979年の国連総会で女子差別撤廃条約(CEDAW)が採択、1981年に発効されました。日本がこの条約に批准したのは1985年のことです。これを受けて日本では、1986年に男女雇用機会均等法が施行されます。この頃、根本所長はテレビ局のアナウンサーから日本で女性初の政治記者として報道に関わる転機を迎えました。

 

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難民支援の現場で女性の言葉に寄り添う根本所長。

 

休職中に留学した米国の大学院で出会った人々について、「They were not just my classmates, they were also activists and practitioners. (ただのクラスメートではなく、彼らは行動家そして実践家でもあった)」と根本所長は振り返ります。

また、その後JPO派遣制度で勤務することとなった国連難民高等弁務官事務所UNHCR)では、命からがら避難してきた難民の女性たちが過酷な環境の中でも女手一つで家族を養うなど、支えあって生きる人々の姿を目の当たりにしたといいます。

社会的に弱い立場にある人々も含め共生するために、意思決定に女性が主体的に参画することが重要であり、同時に女性のエンパワーメントには男性が関心を持って参加することが必要不可欠であると強調し、講演を締めくくりました。

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UN Women親善大使のエマ・ワトソンさんは、世界中の男性たちにジェンダー平等に向けた運動への参加を呼びかけています。ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー役で世界中に絶大なファンを持つ彼女は、「He For She」キャンペーンを広め、女性の権利と完全な男女平等を支援する世界規模の男女連帯運動を推進しています。   

 

講演後には多くの学生が手を挙げ、根本所長に質問を寄せました。記者や国連でのキャリアを選択した理由を「The starting point is the same: getting interested in the challenges or difficulties of people, and listening to them.(始まりは同じです。それは、人々の困難に関心を持ち、耳を傾けることです。)」と語った根本所長の言葉が心に響きます。「国際協力」、「支援活動」というと大それた言葉に聞こえ遠い存在に感じてしまいがちですが、人々の気持ちを思いやり、寄り添う心が国際社会における平和構築につながる本質なのだと感じました。根本所長のお話は、将来の選択をするうえで国連の活動を身近に感じる貴重な機会となりました。

 

来年は、日本が国連に加盟してから60年を記念する年です。

今年の国連創設70周年から続く節目の年に、今年度新たに枠を拡大したJPO制度や、新しく東京に設置されるUN Womenのオフィスについての説明もありました。

今後の国連と日本の動きに注目し、広く伝えていきたいと改めて感じました。

 

次回は5月25日、赤阪清隆元国連事務次長を迎え「Post-2015 Development Agenda」についてご講演いただきます。

 

※ 本セミナーの第2回目から第5回目までは国連アカデミック・インパクト参加大学を対象に英語で開催されています。メンバー校の大学生ならびに教職員のみなさまは奮ってご参加ください。

 

プログラム詳細や会場については、国連広報センターの下記ウェブページをご覧ください。  http://bit.ly/1FQ96WU

 

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