国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

2025年ヤング・アクティビィスト・サミット授賞式レポート 川﨑レナさん 「ハッシュタグからアクションへ」

2025年11月20日、スイスのジュネーブとオンラインのハイブリッド形式で、世界中の若い世代のチェンジメーカーの活動を称えるヤング・アクティビスト・サミットが開かれました。子どもや若者の声を政治や行政に届ける活動を続けてきた日本人初の受賞者、川﨑レナさんによる授賞式のレポートをお届けします。

川﨑 レナ
【略歴】2005年大阪府高槻市生まれ。14歳の時に若者が地域問題を解決する機会を創出する団体「Earth Guardians Japan」を設立。その後全国の社会問題解決の活動を行う18歳以下の若者が集結する「U18サミット」の立ち上げに貢献。15歳の時に株式会社ユーグレナCFO(Chief Future Officer)に就任、環境課題や人事制度の確立に力を入れる。愛媛県新居浜市東京都庁大阪府豊中市にて、若者の意見聴取を促進する政策を立案し、市町村レベルでの導入に関わり、2022年には国際子ども平和賞を受賞。学生と大学機関が共同で若者の意見聴取の実態の調査、導入を目的とする研究会Kowaka Labを立ち上げ、学会や行政機関での発表を行ってきた。2025年11月にジュネーブの国連ヤング・アクティビィストサミットにて表彰されるアクティビスト5人の一人として受賞。2023年より全額奨学金で米イェール大学にて認知科学(小児心理学)と芸術を学んでいる。 (写真は清水萌絵さん提供)

ジュネーブの国連本部に到着!

「うわー!テレビで見たことのある部屋だ!」そう言ってみんなでホールのサイズに圧倒されながら天井を見上げて、サミットの準備が着々と進むジュネーブの国連の大ホールに初めて足を踏み入れました。世界中の首相や大統領、まさにテレビで毎日見るような人たちが幾度となく意見を交わしてきたこの部屋で、毎年2000人ほどの若者が訪れるイベントが行われます。

ジュネーブの国連大ホールの様子 Ⓒdev.tv

ヤング・アクティビスト・サミット(YAS)という国連がスイスのNGOやテレビ局などと協力して開催するこのイベントは、若いアクティビスト、自分の住む地域を良くしようとアクションを起こしている世界中から選出された5人が毎年2000人の若者が見守る中で自身の活動や意見を語り合います。

今年のテーマは「From Hashtag to Action (ハッシュタグからアクションへ)」。テクノロジーが発展しているこのご時世において、特にテクノロジーを安全に使い、社会課題解決に励んでいるアクティビストが選出されました。私は本当にありがたいことにこのテーマに合った活動を行っているとして日本人として初めてYASにて賞をいただくことになりました。Zoomを使って若者が簡単に自分の地域で活動している政治家の方と意見交換ができる「政治家と話してみようの会」、愛媛県新居浜市で市役所の皆さんと大学生と一緒に立ち上げた若者の意見聴取QRコードシステムの「プチモニ」などの取り組みを評価していただいての表彰となりました。

YAS2025年受賞者5人と司会を務めるメラティーさんと一緒に国連の建物の前でポーズ!
筆者は左から二番目 Ⓒdev.tv

受賞者集合!

大学の授業が終わってそのまま走って飛行機に乗り、タクシーに揺られて着いたホテルで、ちょこんと座って宿題をしていた最初の受賞者のデブ君と出会いました。デブ君はまだ17歳のインドの活動家で、低価格のデジタルツールを使用してインドの池を復元する活動をしています。

次にホテルのロビーにやってきたのは、「会えて嬉しいわ!」とみんなをギュッとハグしてくれるコートジボワールのアクティビストのアミナタさん。彼女は「センター・マレ・ド・リュミエール」という団体の副代表として、女性を対象にデジタルマーケティング起業家精神の研修を実施しています。また、自身のコミュニティ内では若年層と連携し、オンライン上の安全確保を推進する活動にも取り組んでいます。

初日から毎日カッコいいスーツを着ていたサルビノさんは英語が話せない代わりに通訳のお姉さんを通して言葉の壁を超え、滞在中ずっと私たちをゲラゲラ笑わせてくれていました。サルビノさんはブラジル・リオデジャネイロの若い市議会議員兼教育委員会委員長。15歳の時に地元で学習支援活動を立ち上げ、スラム街の若者の教育機会を改善する大規模なプロジェクトへと成長させました。テクノロジーと政策を活用し、コミュニティを結びつけ、若者の学びへのアクセス拡大に取り組んでいます。

「みんなこっち向いて!」と毎回みんなの集合写真を撮って、すぐ送ってくれるのはレバノンの活動家のマリナさん。マリナさんはメドネーションズというレバノン初のヘルスケアテッククリニックを通じて無料相談を提供する組織の創立者です。人工知能を活用し、患者と医療専門家をつなぎ、医薬品不足を予測し、ケアを必要とする個人へのリアルタイムアクセスを確保しています。

式典の後、みんなで踊っている様子。「レナ、ダンス踊れるでしょ!」と言っているのは赤い洋服をきた一番左のアミナタさん。左からアミナタさん、司会のメラティーさん、 デブ君、筆者、サルビノさん、マリナさん。 Ⓒdev.tv

17歳から27歳と年齢層が幅広い受賞者がいるのが、YASの最大の特徴であり強みだと感じました。全員が10代の頃から各自の地域で活動を初め、全員がその活動を広げる様々なステージにいます。

「団体のここが上手くいっていない。」「活動を続けながら自分の学業はどうするのか。」「自分の活動に反対している組織からの脅しがある。」悩みや上手く行かないことに対して背伸びせず、リラックスして悩み事を一つ一つ乗り越えている4人の受賞者の姿は一人一人が現場に立ってたくさんの人間と向き合い戦っている証拠だと思います。私はまだまだ向き合っていかなければならないと改めて気づかせてもらいました。

ジュネーブのお守りたち

ジュネーブにはとても特別なお守りたちを連れて行きました。

2025年の夏、私も小さい時にお世話になった仙台のアトリエ自遊楽校で2ヶ月住み込みのインターンをさせてもらいました。アトリエ自遊楽校は、日中学校に行っている子供達たちから行っていない子供達、障害のある子供達、みんな違うみんな面白い子供達が「自分をつくる」空間、最近でいう学校でもお家でもない「第三の居場所」です。実際にヤギや昆虫を地域の人から借りてきて、間近で見て絵の具で描いてみたり、ダンボールで迷路を作って潜ってみたり、みんなで即興で劇を作ってみたり、自分を表現することによって、ゆっくり自分のペースで「自分らしさ」を探してみる場所です。子供達だけの居場所ではなく、大人たちも子供達を連れてきて、アトリエの大人たちへの子育て相談の場にもなっています。

真剣に本日のモデルを見つめるアトリエ自遊楽校の子供達とアトリエ創立者の「どんちゃん」こと新田新一郎さん (川﨑さん提供)

アトリエで住み込んだ夏は私にとってすごく体当たりな夏になりました。私が担当した授業で子供達が喧嘩して目の前で大号泣しているのにあたふたしたり、みんな分のタオルを高速で洗って洗濯し終わったと思ったら、パニックを起こしてしまった子を宥めたり。大学生になって人間、それも小さな人間が目の前で泣いたり怒ったりしているのに少しビクビクしてしまっていた私に「毎日健康に成長している人間たちは感情の大きな揺れがあるのは当たり前なんだよ」とアトリエの先生が教えてくれました。

小学生クラスのみんなと集合写真!(川﨑さん提供)

同じ目線で本気で遊び、本気で「好き!」を子供達に伝えること目標にした夏の終わりに、あの大号泣していた女の子と一緒に毎日鬼ごっこしていた女の子から手作りの指輪とミサンガをプレゼントでもらいました。本当に嬉しくて毎日本気で体当たりしたアトリエでの気持ちを忘れないように毎日つけています。ジュネーブの国連の舞台の上で一緒に遊んだ子供達の居場所の大切さについてお話できたのは本当に特別な気分でした。

アトリエの二人の女の子からもらった手作りの指輪とミサンガをつけて活動を発表! Ⓒdev.tv

向き合う人になるために

YASの受賞者の皆さんとアトリエの大人たち両方の強さは、やっぱり体当たりで人間たちといっぱい向き合ってきているからこそある言葉の重みです。レバノンの爆発を経験し、毎日患者さんとお話を続けているマリナさん。自身もファベラ(ブラジルのスラム)出身で反対派からの暴力を経験し、ファベラの子供達と向き合っているサルビノさん。決して安定していない政治環境の中で女性の権利を訴えるアミナタさん。水質の悪化に悩まされている自分と同じ地域に住んでいる人たちを助けたいと研究を続けるデブ君。それぞれ簡単ではない方法で決定権を持つ人たちとだけでない会話を大切にしていることが行動や言動からひしひしと伝わってきました。

学業との両立の中で、どうやったら言葉だけではなく、人と向き合い続けられる人になれるのだろうか。今私は向き合うことを続けるためにたくさんの人たちに支えられ、迷惑をかけ、学びを続けられていると思います。常に現場に立って子供達と本気で遊びながら、大舞台でその子達の居場所を守り続けれる人になるために、他の受賞者の方達に近づけるようにこれからも向き合う人になっていきたいと思います。

(川﨑さん提供)