所長の根本です。イベントの多い一週間でした。
11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日の「人権デー」までの16日間は、性差別による暴力をなくすためのキャンペーン期間です。
女性に対する暴力でも非常に深刻な女性性器切除(female genital mutilation・FGM) の問題を取り上げた映画『デザートフラワー 』を上映し、この問題に詳しい国連人口基金の佐崎淳子所長と国連難民高等弁務官事務所の小尾尚子副代表にお話しをうかがう、という記念イベントを11月27日に開催しました。夜7時から10時までの長丁場にもかかわらず満員御礼の会となり、食い入るような眼差しで映画を観てくださった来場者の皆さんとパワフルなおふたりのトークに大いに手応えを感じながら司会していました。映画を通じて世界の問題を考える企画は、今後も大切にしていきたいと思っています。
週末の11月30日は、兵庫県西宮市の関西学院大学の「キャリアフォーラム2013国際機関で働く」というシンポジウムでパネリストとしてお話ししました。関西学院大学は国連アカデミック・インパクトと国連グローバル・コンパクトの両方に参加するなど、国連との結び付きが強く、このフォーラムも8回目となります。詰め掛けた400名のうち半分近くが高校生で、早くから目標を定めて情報収集する行動力にビックリ。
そして翌12月1日は、来年1月に日本で公開になる映画『鉄くず拾いの物語』を制作したダニス・タノビッチ監督とトークセッションでご一緒しました。映画『ノー・マンズ・ランド』でアカデミー賞外国語作品賞を受賞しているタノビッチ監督は、ボスニアで生きるロマの家族の姿を追ったこの作品でも今年ベルリン映画祭で銀熊賞ダブル受賞(審査員グランプリ・主演男優賞)に輝いています。
ヨーロッパで1200万人いると言われるロマはヨーロッパで最も大きく、かつ最も排除されたマイノリティーと呼ばれ、国連もロマの社会統合に乗り出しています。1999年のコソボ紛争後、国連機関の職員としてコソボに2年間駐在した私は、暴力と差別の標的になるロマのコミュニティーを毎日見回りました。この地でもロマの人々は「セルビア人たちの手先となり、アルバニア人への虐待に手を貸した」として、アルバニア系の人たちから「復讐」され、虐げられていました。教育もなく、日雇いの仕事にしか就けず、自身が権力を持たないため、権力者にすり寄るしか生き残る術を持たなかったロマの人々の悲哀に触れる日々で、そんな経験を思い出しながらお話した次第です。
マイノリティーの立場から見ると、社会は全く異なる風景になるということを示す、そんな映画です。ネットカフェ難民、医療難民、難民・難民申請者など、日本社会の抱えるマイノリティーの問題に、私たちがどう向き合うことができるかを考えさせてくれます。
監督との白熱トークに引き続き、今度はBS朝日のニュース番組『いま世界は』(日曜夜7:00~8:54)のスタジオにお邪魔しました。『いま世界は』は、国連広報局の提供するビデオ素材などを積極的に活用してくださることになり、本番前に同番組の木佐さん、小松さん、矢島さんとスタジオセットで記念の写真撮影!
国連では、国連の映像素材を活用してくださるテレビ局や媒体を探しています。お問い合わせは、国連広報センターまでどうぞ。