今週国連PKO局担当のエドモンド・ミュレ事務次長補が来日し、彼の仕事ぶりを間近に見る機会に恵まれました。彼の名前は国連安全保障理事会のニュースなどで触れていましたが、やはり名前と顔が一致するチャンスは嬉しいものです。紛争の悪化が懸念される中央アフリカ共和国で現地の状況を評価するミッションでミッション・リーダーを務め、その足で日本にやってきました。
日米共催 第3回国連平和維持活動(PKO)幹部要員訓練コース(GPOI SMLコース)の開講式での基調講演では、ミュレ事務次長補は、日本のPKO活動の質の高さを評価するとともに、PKO予算の11パーセントにのぼる日本からの財政支援やPKO幹部要員訓練コース開催に感謝の意を表明しました。
今回の訓練コースは、アジア太平洋地域諸国の国連PKOの幹部...要員を育成するため,女性や子どもを含む文民の保護や,ジェンダー等の様々な訓練が国連のカリキュラム及び訓練指針にならって2週間にわたって実施されます。日本を含むアジア太平洋地域の7か国より,将来国連PKOミッションの幹部要員となり得る軍人,警察官及び文民19名(内5名女性)が参加しています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で一緒に働いた女性職員も参加者の一人で、この世界の「狭さ」を認識しました。
石原宏高外務大臣政務官をはじめとする政府要人や国会議員らと会談し、PKO活動への日本のさらなる貢献を呼び掛けました。国連のPKOでは軍隊だけではなく、武装解除、治安部門の改革、法の支配や民主化など、平和構築に関わる文民担当官も大勢活躍しています。しかしPKO予算の11パーセントを日本が拠出しているのに対して、PKOで活動する文民担当官のうち、日本人の占める割合は1パーセント未満という少なさです。その観点からも、文民の分野について優秀な日本人の人材を提供してほしい、とミュレ事務次長補は強調しました。
グアテマラ出身のミュレ事務次長補は、本国で政界に入る前はジャーナリストだったという経歴の持ち主です。その経験から、テレビ・新聞などのマスコミの取材にとてもフレンドリーかつエネルギッシュに対応してくれました。こうして3日間の日程をこなしたミュレ事務次長補、次の訪問先のメキシコに旅立っていきました。いやはや、すごいバイタリティー! ピースキーピングはエネルギーがないと務まらないと痛感しました。