国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

国連総会で見えた、持続可能な社会を実現する多様なコラボレーション

国連広報センターの根本かおる所長は、2019年9月23日から27日まで、第74回国連総会のハイレベルウィークに参加するためアメリカ・ニューヨークを訪問した。193の国連加盟国の首脳陣に加え、世界中のあらゆる分野からパートナー達が集ったこの場で見えてきた持続可能な開発を達成するためのアプローチを紹介します。

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国連と株式会社サンリオの戦略的協力の発表会に参加する根本所長(右端)©UN/David McCreery

 

企業と若者そしてキティも:非国家主体が国連総会で主役に

 

ニューヨークに出張して国連総会のハイレベルウィークに出席、世界レベルのアジェンダ・セッティングの最前線の熱量に直接触れる機会に恵まれました。「1 Week, 5 Summits, 17 Goals(1週間に5つのサミット級会合、17つのSDGsのゴールすべてを議論)」という合言葉が表すように、9月23日から27日にわたり世界中から集まった首脳陣を交えて、国連はハイパー・アクティブな場となりました。

国連本部がカラフルなSDGsのロゴとアイコンがあちこちに散りばめられる中、SDGs採択後初めてとなる首脳レベルでの「SDGサミット」が9月24・25日の両日開催されました。初日の24日には国連とハローキティSDGsについてコラボし、SDGsに関して「#HelloGlobalGoals」グローバル・ビデオ・シリーズを立ち上げることを発表。SDGsのゴールの17色をあしらった特注の衣装で登場したハローキティは、国・大陸・男女・年代を越えて大人気で、加盟国のリーダーや外交官、世界のメディア関係者らからの記念撮影のリクエストにフレンドリーに応じていました。日本のソフトパワーの代名詞とも言えるハローキティSDGs推進に力を貸してくれることを個人的にも誇らしく感じました(戦略的協力の詳細はこちら)。

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「#HelloGlobalGoals」グローバル・ビデオ・シリーズの発表での根本所長とハローキティ ©UNIC Tokyo

ハローキティに限らず、企業・市民社会・著名人ら非政府のアクターたちが国連総会ハイレベルウィークにあわせて設けられた様々な議論の場に積極的に登壇して主張し合い、ネットワークを広げている様子にも大いに刺激を受けました。こうした場があるということをより多くの日本のステークホルダーにも知っていただき、参画を検討していただければと思います。

 

SDGs達成期限の2030年まで、残り10年

 

採択から4年経ったSDGsについては、優良な取り組み事例も生まれているものの進捗の速度は遅く、到底2030年に目標を実現できる目途は立っていません。点の戦いを線、そして面に拡大し、加速化することが急務です。社会的不平等の悪化や、場合によっては取り返しのつかない気候変動と生物多様性喪失の影響によって、これまでに実現した前進が後戻りする危険さえ指摘されています。その危機感から、2020年1月1日から2030年までを「SDGs達成のための行動の10年」としてあらゆるステークホルダーの力を結集させることになりました。

 

若者が先導する気候行動

 

ハイレベルウィーク開催の5つのサミットの中で最も注目を集めたのは、23日の「気候行動サミット」でした。スウェーデン出身の16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんは若者たちの怒りを込めて「How dare you?(よくもできるものですね)」という言葉を何度も使いながらスピーチし、日本でも大きく報じられました。

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気候行動サミットのオープニングに登壇するグレタ・トゥーンベリさん ©UN Photo/Cia Pak

 気候変動は人類の存続を揺るがす脅威となり、「気候危機」「気候非常事態」という言葉で語られるようになっています。今年だけでも巨大ハリケーンモザンビークバハマ諸島などに壊滅的な被害をもたらし、日本でも台風15号が千葉県などを直撃、異例にも10月に台風が発生しています。このままでは21世紀末に海面は1メートル以上上昇し、大規模な高潮もより高頻度で発生すると見られています。

 

23日の「気候行動サミット」に先駆けて、21日には「国連ユース気候サミット」を開催、これは若者が主役となる気候に関する初の国連の会議となりました。こうした国連での動きに呼応して、世界の若者たちは9月20日から27日の期間中「グローバル気候ストライキ(日本では「マーチ」)」をプッシュし、全世界で20日に400万人以上、期間を通して750万人以上を動員しています。

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ニューヨーク国連本部前に集まった若者による気候行動への呼びかけに参加するグレタ・トゥーンベリさん(中央)©UN Photo/Manuel Elias

私も、国連広報センターがある国連大学本部をスタート地点とした20日の東京でのマーチに参加し、「気候正義(Climate Justice)」を求める若者たちの生の声に接した上でニューヨーク入りしました。この美しい地球と豊かな社会を次世代につないでいけるよう、私たちの消費やライフスタイルの選択から世界を変えられる工夫をより積極的に発信して、その動きを確かなものにしていきたいと願っています。 

気候行動サミットの詳細はこちら

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