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第2回ジャパンSDGsアワード報告会、「循環型」・「対話」・「思いを形に」が通奏低音に

 
国連広報センター所長の根本かおるです。


2019年に入り1か月あまり。持続可能な開発目標(SDGs)に関する行事でお話しする機会がすでにたくさんあります。そんな中で個人的にもひときわ気合を入れてコメンテーターとして臨んだのが、1月19日に都内で開催された「第2回ジャパンSDGsアワード報告会」です。

 

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第2回SDGsジャパンアワード報告会の受賞者とコメンテーターの方々 後列左から甲木浩太郎 外務省地球規模課題総括課長、国谷裕子 慶応義塾大学特任教授・キャスター、根本かおる 国連広報センター所長、北郷美由紀 朝日新聞社報道部記者(SDGs担当)、岳野万里夫 日本証券業協会(SDGs推進本部)副会長・専務理事  前列左から木幡美子 株式会社フジテレビジョンCSR推進室部長、韓宗勲 株式会社LIXILコミュニケーションズ&CR部、松元昭二 鹿児島県大崎町住民環境課課長補佐、高橋巧一 株式会社日本フードエコロジーセンター代表取締役、和田寿昭 日本生活協同組合連合会専務理事、近藤高行 会宝産業株式会社代表取締役社長、門田瑠衣子 エイズ孤児支援NGO・PLAS代表理事 ©政策分析ネットワーク事務局


SDGsについて先進的な取り組みを行っている15の団体が日本政府の「SDGs推進本部」から第2回ジャパンSDGsアワードに選ばれ、昨年12月21日に首相官邸で表彰式が行われました。1月19日の報告会では、SDGs推進本部長賞である内閣総理大臣賞ならびにSDGs副本部長賞にあたる内閣官房長官賞と外務大臣賞を授与された7団体から6団体、そしてパートナーシップ賞に選ばれてメディアからの初めての受賞となったフジテレビの合計7団体が事例発表を行い、私はコメンテーターの一人として参加させていただきました。

 
それぞれの団体の取り組みの詳細は外務省のホームページからご覧いただけますが、受賞団体からの思いのこもった発表の通奏低音として印象に残ったのが「循環型」「対話」と「思いを形に」という言葉です。


SDGs推進副本部長(外務大臣)賞を受賞した会宝産業株式会社は、自動車リサイクル・中古自動車部品の販売・輸出という静脈産業を通じて循環型社会の構築を推進。国内での事業のみならず、JICAと連携して自動車リサイクルのノウハウを海外に技術移転するとともに、現地の環境汚染の防止に加えて雇用の創出につなげています。まさに「循環型」を軸にしたビジネスモデルです。 

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会宝産業の事業内容を説明する近藤高行 会宝産業代表取締役社長。会宝産業は自動車リサイクル事業を通して、自社の利益だけではなく地球環境の保全にも貢献 ©会宝産業株式会社


また、SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞が授与された鹿児島県大崎町は、ごみの埋め立て処分場の満杯が迫り、焼却炉を作る予算もなく、新たな処分場の用地の目途も立たないというピンチの中から、「混ぜればゴミ、分ければ資源」の考え方を住民に浸透させ、27品目分別の行政・企業・住民協働型のリサイクル事業を実施してきました。ごみ処理費の節約と同時に、リサイクル資源の売却利益にもつながっています。平成18年以降、連続11年資源リサイクル率日本一を誇り、自分たちのリサイクルモデルを「大崎システム」として途上国に国際展開しています。SDGsが採択される前から住民や企業を巻き込んでの対話が行われた訳で、対話からピンチをチャンスに変えることに成功した事例でしょう。

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大崎町はこのリサイクル事業を「大崎システム」として国際展開しているだけでなく、ごみ分別によるコミュニケーションを通じて高齢者・定住外国人との多文化共生コミュニティ形成にも寄与している ©大崎町役場 住民環境課

 

さらに、思いの熱量が突破力を生みます。最高賞のSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞に輝いた株式会社日本フードエコロジーセンターは、食品廃棄物処理とリキッド畜産飼料製造業とをつなげることに成功した循環型のビジネスモデルです。報告会で高橋巧一社長は、10歳のときに持続可能な社会への貢献を考えて書いた作文が原点にあり、子どもの頃からやりたかったことを仕事にしていると語っていました。

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安倍内閣総理大臣からSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を授与される高橋巧一 株式会社日本フードエコロジーセンター代表取締役 ©内閣広報室

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株式会社日本フードエコロジーセンターは「食品ロスに新たな価値を」という企業理念の下、食品廃棄物を有効活用するリキッド発行飼料(リキッド・エコフィード)を産学官連携で開発し、廃棄物処理業と資料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現      ©株式会社日本フードエコロジーセンター

 
SDGs推進本部長(外務大臣)賞のエイズ孤児支援NGO・PLASは、エイズ孤児やHIV陽性シングルマザーら最も取り残されやすい人々の教育、生計向上、ライフプランニングへの支援を、ウガンダケニアの行政や支援団体と連携して持続性を重視して行ってきました。まさに「魚を配る」のではなく、「魚の釣り方」を教える活動です。門田瑠衣子代表理事が大学時代にアフリカでエイズ孤児と出会い、「出会ってしまった者として、行動に移さなければ」との思いから大学生でこのNGOを立ち上げたと言います。規模は小さくても、支援を受けた人の人生を大きく変えることのできる、SDGsの大原則である「誰一人取り残さない」ための活動です。

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特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLASは農業や小規模ビジネスを開始するための初期投資や研修・経営支援及びキャリアスキル教育を通じ、社会に取り残され脆弱な立場に置かれがちなエイズ孤児支援の自立を支える活動を実施 ©エイズ孤児支援NGO・PLAS


企業や生産者のSDGsの取り組みには、消費者をはじめとする世の中からの支持が欠かせません。SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞の日本生活協同組合連合会コープSDGs行動宣言」を採択するなど包括的にSDGsを本業で取り組んでいますが、全国に2800万人を持ち、生産者と消費者とをつなぐ立場にあります。今回の受賞をきっかけに、循環型の生産・消費モデルやライフスタイルへの組合員たちの意識改革につなげていただければと期待しています。

 
SDGs推進副本部長(外務大臣)賞の株式会社LIXILは安価で高品質なトイレを途上国に提供するという事業を明確なKPIを立てて実践しています。グローバルなネットワークを持つUNICEFなどとパートナーシップを結んで、連携して啓発活動を実施しています。特に日本では、子どもたちに大人気のうんこ漢字ドリルの「うんこ先生」とタッグを組み、昨年の11月19日の「世界トイレの日」にあわせて「世界トイレの日特別検定」を配布して、世界の衛生状況に目を向けて一緒に考えてもらう機会を作っています。

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株式会社LIXILはトイレの未整備によりもたらされる社会・衛生環境問題の解決を目指し、安 価で高品質なトイレを途上国に提供している。簡易式トイレ1台を途上国へ寄附する「みんな にトイレプロジェクト」を実施し、ビジネスを通じた課題解決に貢献 ©株式会社LIXIL


また、パートナーシップ賞が授与され、メディア部門からの初めての受賞となった株式会社フジテレビジョンは、SDGsの実践をテーマにした日本の地上波初のレギュラー番組「フューチャーランナーズ~17の未来~」を放送しています。SDGsの取り組みで活躍する人物に焦点を当てたこのシリーズ番組は、同社のCSR推進部の思いが「番組」というテレビ局の本業において形になったものです。この動きを是非全社的に、特に番組の作り手に広げていってほしいと願っています。

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この番組ではSDGsの目標達成のために情熱を持って走り続ける人たちを紹介し、ひとりひとりがSDGsについて考えるきっかけを提供 ©株式会社フジテレビジョン

  

快晴の土曜日というお出かけ日和に関わらず、会場には300名以上が詰め掛けて満席。3時間の長丁場でしたが、途中で帰るひとがほとんどなく、発表者もコメンテーターも「場の熱量」を感じ取りながらのトークとなりました。ここから得られた多くの刺激から、好事例がどんどん生まれることを期待しています。

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最終的な参加申込者数は306名に達し、大盛況を呈しました ©政策分析ネットワーク事務局



受賞団体からの発表者とコメンテーターは以下の通り。

 

【登壇者:受賞者/コメンテーター:敬称略】
〇外務省 国際協力局
 地球規模課題総括課長     甲木浩太郎
慶応義塾大学特任教授
 キャスター          国谷裕子
朝日新聞社
 報道部記者(SDGs担当)  北郷美由紀

日本証券業協会(SDGs推進本部)   

    副会長・専務理事        岳原万里夫

〇国連広報センター 所長    根本かおる

SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞 
 ⇒株式会社日本フードエコロジーセンター
  代表取締役 高橋巧

SDGs副本部長(内閣官房長官)賞 
 ⇒日本生活協同組合連合会
  専務理事 和田寿昭
 ⇒鹿児島県大崎町
  住民環境課 課長補佐 松元昭二

SDGs副本部長(外務大臣)賞
 ⇒株式会社LIXIL
  コミュニケーションズ&CR部 韓宗勲
 ⇒エイズ孤児支援NGO・PLAS
  代表理事 門田瑠衣子
 ⇒会宝産業株式会社 
  代表取締役社長 近藤高行

SDGsパートナーシップ賞(特別賞) 
 株式会社フジテレビジョン
 CSR推進室部長 木幡美子

<全体進行係> 
〇政策分析ネットワーク事務局長 田幸大輔
(官民連携・社会課題研究センター長)

 

第2回ジャパンSDGsアワードについてはこちら

www.mofa.go.jp