今年の国連デー(10月24日)に、国連広報センターと上智大学が主催する「撮ってみよう!身近で見つけた日本のSDGs」学生フォトコンテストの授賞式が行われました。過去3回に渡って受賞者の方々の声をお伝えしてきました。
SDGs学生フォトコンテスト2018 本シリーズ
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今回は番外編として、授賞式には参加できなかったものの、先日国連広報センターに足を運んでくれたパオロレヘル・サミンテSamonte Paoloregelさん(以下、パオロレヘルさん)から今回のフォトコンテストやSDGsにかける思い、また今後の展望についてお話を伺いました。
‘LEAVE NO ONE BEHIND’(誰一人取り残さない)
SAMONTE PAOLOREGEL パオロレヘル・サミンテ
インターン(以下、“I”):パオロレヘルさんが今回のフォトコンテストに応募した作品について詳しく教えて下さい。
パオロレヘルさん(以下、“P”):このコンテストに応募する際にまず考えたことは、どのような写真を撮ろうかということです。考えた結果、ホームレスに関連した写真を撮ろうと思いました。なぜかというと、以前ホームレスについて勉強したことが強く印象に残っていたからです。日本におけるホームレスの数はそれほど多くはないと聞いたものの、フィリピン出身の私にとっては非常に驚きでした。なぜなら世界有数の先進国である日本にホームレスが存在するとは思わなかったからです。
作品作りの過程で、当初はホームレスの人だけをフレームに収めようとしましたが、偶然にも1人の男性が目の前を通りかかり、食べ物を彼に提供している瞬間に立ち会えたのです。私はその瞬間に「これだ!」と思いシャッターを切りました。私はSGDsの精神をこの光景が表現していると思います。単に貧困の悲惨さを訴えるのではなく、ポジティブな印象を与える1枚ではないでしょうか。
I:パオロレヘルさんの作品は見た人に貧困や格差について考えさせる写真だと思いました。作品を撮る過程で大変なことや困難なことは何かありましたか?
P:被写体となって下さる方を探すことが大変でした。日本の方は写真を———とりわけ顔のような部位に関しては———撮られることにセンシティブですので。協力して下さった方には感謝しています。
I:SDGs17のゴールのうち、関心のあるゴールは何でしょうか?
P:SDGsゴール1(貧困をなくそう)に関心を強く持っています。母国フィリピンで貧富の格差を目にしたことから貧困に関心を抱くようになりました。またSDGsゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)にも関心があります。日本が多くのジェンダー問題を抱えているように、フィリピンにおいてもLGBTへの偏見や差別は根強く残っていますので。
I:日本とフィリピンにおいて、SDGsに対する取り組みに関して違いはありますか?
P:日本と比べるとSDGsはあまり普及していないように感じます。あくまで私見ですが政府関連の仕事の経験がある、ないしは一流大学で教育を受けない限りはSDGsを知る機会は少ないのではないでしょうか。ただ一方、SDGs関連の取り組みが全くないというわけではありません。例えば私が所属していたフィリピンの大学において女性に対する暴力やハラスメントが発生した際、学生が抗議活動をすることはありました。
I:パオロレヘルさんは現在国連大学修士課程2年生とお聞きしましたが、どのような理由で国連大学修士課程に進まれたのでしょうか。
P:フィリピンで学位を取得した際に、将来国連職員になりたいという思いが念頭にあり、国連大学は自身の目標を叶えるための第一歩なのではと考えました。ただ国連大学に入学後、卒業して自動的に国連職員になれるわけではないと分かりました。しかしながら私が専攻しているサステナビリティ・サイエンスは現在私達が直面している喫緊の課題について扱う学問なので、そうした学問を国連大学で学べることに満足しています。
I:来年6月の修士課程の後、実現したいことについて教えてください。
P:人々の行動や思考をより良い方向に変えていく最も重要な手段は教育だと確信しているので、教育関連の仕事に就きたいです。将来生徒と密な関係を持つ大学教授になるのも面白そうですね。将来的には教育を担当している省庁に勤め、国全体に良い影響をもたらせる人材になりたいと思います。
さいごに
国連広報センター(UNIC)と同じ国連大学内で勉学に励んでいるパオロレヘルさん。暖かい笑顔が魅力的な方でした。国連広報センターは日本の人々の国連に対する関心と理解を深めるため、国連の活動全般にわたる広報活動を行っています。
また、随時5-6名ほどのインターンが活躍しており、今回のSDGsフォトコンテストを始めとするイベントの企画・実施のサポートやその他様々な業務に携わっています。国連広報センターでのインターンに興味がある方はこちら