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子どもたちの作った折り紙のハチドリ 国連水会議へ羽ばたく

UN-WATER

日本や世界中の子どもたちが作った折り紙のハチドリの群れが、アメリカのニューヨークに向けて飛び立ちました。3月22日に始まる国連水会議に”出席”するためです。

古代ペルーの民話では、ハチドリが一滴ずつ水をくみ、山火事を消そうとします。他の動物たちはそれを嘲笑します。すると、この小さな鳥は「私は自分にできることをやっている」と答えます。今年の「世界水の日」 (3 月22日)の呼びかけは、この「ハチドリのしずく」の話に基づいています。    

子どもたちは世界を襲う水危機に対して、「自分自身ができる小さな行動」を折り紙に記した上で、ハチドリを折りました。未来の世代の決意を運ぶこれらのハチドリは、3月22日から24日までの国連水会議 の期間中、国連本部で展示されています。

世界中から届いた折り紙ハチドリが国連総会会議場の訪問者ロビーに展示された
@UN Department of Global Communications

ブラジル、ブルガリア、カナダ、フランス、イタリア、メキシコ、北マケドニアポルトガル、スペイン、スウェーデンブータンポーランド、インド、シンガポールなど、世界各地の子どもたちが折った何千羽もの折り紙のハチドリは、会議の参加者が子どもたちの未来に思いを馳せてくれることを願っています。

スペインの子どもたちが作ったハチドリ  @UN-WATER

国連の統計によると、不適切な水や下水設備、不衛生がもたらす病気により毎年140万人が死亡し、7,400万人が命を縮めています。世界では4人に1人、つまり20億人が安全な飲料水を利用できていません。

アフリカ、ガーナの中学校からは約50羽の折り紙の鳥がニューヨークに向けて飛び立ちました。

ガーナの首都アクラにあるIndependence Avenue 1&2 中学校 @UNIC GHANA

13歳のヤン・デ・フリース・アッサンさんは水危機が彼の「学業に深刻な影響を及ぼしている」と言います。彼の1日は水汲みから始まります。水汲みの長い列に並び順番を待ち、「日課の家事が終わるころには朝の授業は終わっている」と、ヤンさんは嘆きます。

教師のデリック・オフォリさんも「学校で飲料水と手洗い用の水が不足している」と話し、水会議に集まる指導者たちに「複数の水源を供給してほしい」と期待を寄せています。彼は自宅でも、飲み水不足のために、洗面所を磨いたり、手洗いするのに水を使うことをためらってしまうのだと、衛生を保つ難しさを語りました。そうした中でも、貴重な水資源を大切にし、できる行動を取ることを誓いました。

日本からは、約400羽の折り紙ハチドリが国連本部に向けて出発しました。京都の宇治市立西宇治中学校の生徒は、国連のプロジェクトに参加し、世界に向けてメッセージを発信できることに感激し、「世界に大きなうねりを作るのは自分たちの小さな行動だと気づいた」と、その思いを語ってくれました。

京都府の西宇治中学校の生徒たち 提供 宇治市立西宇治中学校

「世界中の人がきれいな水が飲めるようになればいいな」                                            「一人一人ができることをやれば、世の中はもっとよくなっていく」

そんな願いを込めて、ハチドリを送り出しました。

西宇治中学校の生徒たちが作ったハチドリ 提供 宇治市立西宇治中学校

その他にも日本からは、ニコニコ桜保育園、ヒロック初等部岩手県立一関第二高等学校、岩手県立盛岡第三高等学校、曽我Tutti音楽教室の児童、生徒たちが、折り紙ハチドリの制作に参加しました。

保育園から高校まで日本各地で折り紙のハチドリを制作 @UN-WATER

アメリカ、ニューヨークにある学校では、幼稚園から中学生まで全てのクラスが「世界水の日」のワークショップに参加し、折り紙のハチドリにそれぞれの決意を書きました。

@UN News / Grace Barrett

校長は、「幼い頃から水について考えることは非常に重要です。なぜなら、この惑星は彼らのものなのですから」と語りました。

校長のJean-Yves Vesseauさん @UN News / Grace Barrett

この学校でハチドリの人形劇を上演した語り部のルアン・アダムスさんは、たった一人でも正しいことをしていれば、それがいつか団結した大きな力になっていくと語ります。

「小さな生き物がベストを尽くしている姿を見て、他の動物もそれにならって行動を始め、それがさざなみのように広がり、いつか世界を変える巨大なうねりになります」

@UN-WATER

食料需要の増加、エネルギー消費量の上昇、人口増加、都市化などが世界的に進む中で、いかに私たちの命を支える水を守っていくか。国連水会議 は水の危機に向き合い、解決策を議論し、実際の行動へとつなげていく機会となります。私たち一人ひとりにもできる、「節水」、「植物性の食品を食べる」、「川や湖などの清掃に加わる」などの水を守る行動「Water Action」もあります。   

世界中にハチドリの願いのしずくが広がりますように。

@UN-WATER