国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

写真でつづる中満泉 国連事務次長・軍縮担当上級代表の訪日 (2020年8月3日―11日)

国連広報センターの根本です。中満事務次長が訪日し、広島・長崎への原爆投下から75年という重要な節目で行われる式典にグテーレス国連事務総長の名代として参列しました。滞在期間中は、被爆者や若者、政府、市民団体などと意見交換を行ったり、オンライン・イベントにも参加しました。

  

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8月9日、長崎での平和祈念式典で ©︎ 長崎市

 

2017年に軍縮担当に就任して以来、毎年参列を欠かさず、被爆者の方々にも今の立場にある限り毎年出席することを約束していました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡がる中、訪日前にアメリカでPCR検査を受け、日本到着後、入国時にも再度PCR検査を受け、2週間の自主隔離をした上での出席です。並々ならぬ参列への並々ならぬ決意を感じます。国連広報センターにとっても、COVID-19の感染拡大が始まって以来、初めての国連の高官の訪日となります。

日本での自主隔離中も精力的にメディアのインタビューに応じた

 

東京

広島での平和記念式典を控えた8月3日には、東京都内で茂木敏充 外務大臣を表敬し、日本の国連への大きな協力と貢献に対して感謝を表明。同時に、安全保障環境の悪化が続く中での軍縮・軍備管理の果たす役割と日本への期待などについて意見交換を行いました。コロナに関しても、多国間での協力は不可欠、ワクチンなどで国際支援を続けることは日本として当然という茂木外務大臣の言葉を、中満事務次長は心強く受け止めていました。

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©︎ UNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

 

また、小泉環境大臣への表敬訪問では、現在の厳しい安全保障環境における軍縮の役割、軍縮における日本への期待や、今後の多国間主義なども含めて幅広い課題について意見を交わしました。

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©︎ UNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

 

8月4日午前には、最後に、世界保健機関(WHO)のUHC親善大使を務める武見敬三参議院議員を表敬し、新型コロナ感染症(COVID-19)対策へのグローバルな政策協調と国際協力の必要性について意見交換しました。

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©︎ UNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

 

尾身朝子外務大臣政務官との昼食会でのディスカッションは、軍縮分野を越えた幅広い議題に及びました。

 

午後には山口那津男代表はじめ公明党の議員の方々と、現在の安全保障環境や軍縮をめぐる課題について、核兵器禁止条約に日本がどう向き合うべきかも含めて意見交換。

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©︎ UNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

 

その日のうちに広島に移動し、5日からは分刻みのスケジュールが始まりました。

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広島にて ©︎ UN Photo/Kanako Kimura

 

広島 

広島・長崎への原爆投下から75年の重要な節目において、国連として核兵器のない世界の実現に向けた決意を発信するとともに、被爆者をはじめとする多くの市民の方々と語らいました。

 

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松井一實広島市長を表敬(8月5日) ©︎ UN Photo/Kanako Kimura

 

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市民社会が企画した超党派の国会議員らとの討論会。来年へ延期された核不拡散条約(NPT)再検討会議への対応、核兵器禁止条約の署名・批准に向けた条件、核兵器をめぐる東アジアの地域情勢、被爆体験の継承のあり方などを主たる議題に、核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか、その政策について討論(8月5日) ©︎ 核兵器廃絶日本NGO連絡会

 

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中満事務次長からは「安全保障環境は悪化の一途を辿っている、そして質的に非常に複雑になり変化をしている」と指摘した上で、①安全保障は様々なツールからなり、軍縮はそのツールの1つであるという認識が必要であること、②対話と外交を通じた安全保障への復帰と日本の役割、③延期されたNPT再検討会議の成功への協力、④核兵器禁止条約との関係は日本が決めることだが、ドアを閉めることはせず問題点を完全に共有しているという姿勢を示して欲しい、という4点について強調。議論の録画はこちら。 ©︎ 核兵器廃絶日本NGO連絡会

 

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広島市の平和記念式典にて、グテーレス国連事務総長の名代として献花(8月6日) ©︎ 広島市

 

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広島平和記念式典では、グテーレス国連事務総長のビデオメッセージが流れた。「核兵器の危険を完全に排除する唯一の方法は、核兵器を完全に廃絶すること」と強調。メッセージ全文はこちら。  ©︎ 広島市

 

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国際平和のための対話イベント「UN75 in Hiroshima」(広島県主催)。湯崎英彦広島県知事とともに、公募で選ばれた若者を含め様々な世代・バックグラウンドを持つ参加者とともに、真剣勝負の対話。中満事務次長も、若者がリードするデジタル・テクノロジーを活用した平和プロジェクトといった若者だからこその取り組みなどに大いに勇気づけられた。当日の模様を収録した動画はこちら。(8月6日)  ©︎ UN Photo/Kanako Kimura

 

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国連ユニタール広島事務所と(一社)国連ユニタール協会主催「原爆投下と国連創設から75年―コロナ禍の今、核なき世界をどう実現していくのか」にも登壇。録画は、日本語英語(8月6日) © UNITAR

 

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広島県核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)主催「2020年度 核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー 」公開ベント。湯崎広島県知事とともにオンラインで登壇し、核軍縮の停滞をどう打破するのかを議論。 概要とアーカイブ映像はこちら。(8月6日) ©︎ 広島県(Hiroshima Prefecture)広島-ICANアカデミー実行委員会事務局(The Executive Committee of Hiroshima-ICAN Academy for Nuclear Weapons and Global Security)

 

長崎

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田上富久長崎市長を表敬。批准した国が表敬の時点で43、発効のために必要な批准した国の数が残り7か国となった核兵器禁止条約についても意見交換(8月8日) ©︎ UN Photo/Kanako Kimura

 

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長崎平和祈念式典にて、グテーレス国連事務総長のメッセージを代読。「私たちは、核軍縮のための共同の努力を再開すべく、第10回核兵器不拡散条約運用検討会議を活用しなければなりません。私たちは、核実験に反対する規範を擁護しなければなりません。そして、国際的な核軍縮体制を保持し、強化しなければなりません。私は、新たにその重要な一部となる核兵器禁止条約の発効を心待ちにしております」メッセージ全文はこちら。 

 

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原爆死没者追悼平和祈念館にて、「核兵器廃絶1000万人署名」運動で集められた署名を受け取る(8月9日) ©︎ UN Photo/Kanako Kimura

 

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赤十字国際委員会主催の被爆75年オンラインイベント「核兵器が存在することは人類にとって何を意味するのか~コロナ危機の最中に考える」では、長崎を拠点にジュネーブ、ソウル、ワシントンDC、東京とを結んで議論。潘基文国連事務総長やベアトリス・フィンICAN事務局長も。(8月9日)

 

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地元の大学生らと語り合う機会も ©︎ ICRC

 

東京

東京に戻り、11日午前には日本記者クラブで記者会見。

 

午後には赤坂御所にて天皇・皇后両陛下とのご接見があり、中満事務次長からは、広島・長崎の式典への参列を踏まえ、核軍縮の現状や被爆体験の継承などについて説明しました。両陛下から愛子様の中学卒業文集「世界の平和を願って」が中満事務次長に手渡されました。

 

天皇・皇后両陛下へのご接見が今回の訪日の締めくくりとなりました。日本にとって戦後75年、国連にとって創設75年の節目。国連総会の初めての決議が核軍縮に関するものだったということにも、核軍縮が国連にとって非常に重い課題であることが表れています。来年予定されているNPT再検討会議を成功に導くためにも、中満事務次長の多忙な日々は続きます。

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全ての日程を終えて、記念にホテルのロビーでパチリ。左はこの間、中満事務次長をアシストした木村華奈子さん。これから国連軍縮部でのインターンシップがオンラインで始まります。 ©︎ UN Photo/Kanako Kimura