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「南スーダンに平和をもたらしたい」国連PKO・UNMISS ポール・エグンソラ官房長が語る、任務への思い

 

2月12日(火)、広島平和構築人材センターでの講演のために訪日した国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS) ポール・エグンソラ官房長が、離日前に国連広報センターを訪れ、インターンによるインタビューに応じて下さいました。

グンソラ官房長の日本へのメッセージ、長年の武力紛争で疲弊した南スーダンでの平和構築にかける思いをお読みください。

 

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国連広報センターでのインタビュー後に記念撮影。左から4人目がエグンソラ官房長。 

 

 

 

ポール・エグンソラ官房長

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国連安全保障理事会の訪問団を迎え入れるエグンソラ官房長
 2014 ©UN Photo/JC McIlwaine

1957年ナイジェリア出身。大学卒業後、外交担当官として各国を歴任。1994年から翌年まで国連本部の安全保障理事会に勤め、ボスニアルワンダといった世界の紛争地をめぐる議論や決議をきっかけに、フィールドを志す。国連PKO職員としてコソボに出向。その後は外交担当官として在モロッコ・ナイジェリア大使館に駐在。国連リベリアミッション(UNMIL)を経て、2011年の南スーダン独立直後より国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)にて現職。   

 

 

「広島平和構築人材育成センター」での講演を振り返って

自身のUNMISSでの経験を踏まえながら「国連平和活動における、人材管理・活用」について講演したエグンソラ官房長。

 

「印象に残ったことが二つあります。一つ目は、受講者の多くが、すでにフィールドでの経験を持っていること。エチオピアの難民キャンプでの勤務経験について語った受講者が印象的でした。二つ目は、受講者の多くを女性が占めていて、彼女たちはとても積極的だったこと。活発に質問してくれました。」

官房長は、自身の講演を日本の若者たちの将来のキャリア構築に役立ててほしいと力を込めました。 

 

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広島平和構築人材育成センターで講演するエグンソラ官房長(右)【外務省提供】

  

 

「私の仕事は、橋となり、糸と糸の結び目となること」

 

国連PKOに入った経緯

出向の立場であったコソボでの任期を終え、外務省に戻り在モロッコ・ナイジェリア大使館に勤務していたころ、国連からUNMIL勤務のオファーを受けてのことだそうです。

「当時は娘たちがまだ10代だったため、オファーを受けるかどうかすぐには決められませんでした。その後リベリア勤務を経て、南スーダンへ向かったのは6年後。南スーダンが独立を果たしてから、数か月後のことでした。」

過去の勤務地の中で最も長い7年間を南スーダンで過ごしている官房長。

 

南スーダンでのミッションは、今までの赴任地の中で最も過酷と語ります。

着任した頃は、長く続いた内戦のために、国連が共に働けるような政府機関は機能していませんでした。そんな中でも着実に任務を遂行し、生命の危険にさらされる南スーダンの人々を保護し、平和への希望をもたらせるこの仕事にやりがいを感じています。」 

 

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グンソラ官房長(中央)、UNMISSから同行した平原弘子ベンティウ事務所長(左)、
石川直己ミッション計画官(右)

 

 

官房長としての任務と責任

自身の役割について、「任務遂行のための膨大な業務が効率よく行われるように、諸部門を調整すること――政府関係者や国連本部とのチャンネルを維持し、対話の場をつくること」だと語る官房長。UNMISSは、45ヵ国の軍隊、警察や文民職員を含む19,000人を超える要員から構成される、巨大な組織。国連だけではなく、地域、政府、支援国が一つのチームとして機能し、共に歩んでいく必要があると強調します。

 

「つまり私の仕事とは、いわば架け橋となって、すべての関係者が同じ方向に進んでいくようにしていくことだと思います。」

 

 

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南スーダン文民保護地区でUNMISSが保育園・小学校の建設支援
2018 ©UN Photo/Amanda Voisard

 


南スーダンに着任してからの7年間

武力衝突の激しかった数年前と比べると、いくぶんか平和的となり希望を持てるようになったといいます

「例えば、国外に流出した人々が昨年末にかけて徐々に戻ってきたり、対立勢力と南スーダン政府の両者が以前よりもUNMISSとの対話に前向きになってきました。これは今までには見られなかったことであり、平和を築いていく上で健全な過程」と、率直な印象を語る官房長。

 

「しかし、それはまだ、水面下の『期待感』に過ぎません。その『期待感』を確かな現実とするためには、対立勢力が和平合意をきちんと遵守するなど、平和の構築に向けて、地道に実績を積み上げていくことが必要で、課題は山積みです。」

グンソラ官房長は、「そのために、UNMISSは南スーダンの人々や国連職員といった人的資源を最大限に活かし、時には折衝や妥協を促し、国の和平を前進させていきたい」と語りました。 

 

 

和平への機運を高めたい

「今までの過酷な経験を経て、とてつもなく大きな不安の中にいる南スーダンの人々。前向きな歩みの中とは言え後退もつきもので、人々の間で何か自信となるような出来事を、とりわけ草の根レベルで増やしていきたい」と熱を込めます。

「そのために、コミュニティー間を繋ぎ、対話のテーブルに着かせ、和平への機運を高める努力を今後も続けます。依然として状況は厳しいものですが、国連には必要な専門家集団、知識、そして能力があると信じています。」

 

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グンソラ官房長と意見交換をするUNICの根本かおる所長とインターンたち(右)

  

 

日本へのメッセージ

「 日本は豊かな経験、知識、そして第二次世界大戦後に焦土から再び立ち上がったという歴史を持つ国。南スーダンが、今後日本から学べることは、たくさんあります。私たちUNMISSは、南スーダンをこれまでとは違う平和な国にしたい。そのために、引き続き任務に取り組みます。

豊かな国の一つである日本では、紛争地に想像を及ばせて、どのように貢献できるか考え続けることは容易ではありません。ですが、今後もUNMISSへの支援に加え、南スーダンと関わり、この国の平和のために何ができるのか、考え続けてほしい。それが私から日本の皆さまへのお願いです。」

 

 

インタビューを終えて

30分という短い時間ですが、丁寧にインターン全員の質問に答えてくださいました。インターン一同、困難な状況の中で着々と任務をこなすエグンソラ官房長の姿、共に働く数万のスタッフに思いを馳せ、尊敬の意を深めるばかりです。

 

今回エグンソラ官房長とともに来日した、元UNICインターンの石川直己ミッション計画官が、インターン紹介ビデオにOBとして出演しています。是非ご覧ください!

 

インターンシップ応募の詳細はこちら

 

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