連日、新聞の見出しなどに登場する「アフガニスタン」という言葉の後には、「紛争」や「テロ」という言葉が続きます。これらを見ると、先月国連広報センター(UNIC)を訪れた国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)の山本忠通(やまもと・ただみち)事務総長副特別代表(DSRSG)を思い出します。アフガニスタンの政治プロセス、治安維持、復興などの活動を統括しているのが、UNAMA。山本副特別代表は、先月アフガニスタンにこのミッションのため赴任しました。
山本副特別代表と共に
私たちは、アフガニスタンを単なる一つの国と考えがちです。そして、現地に住む人の現状にまで考えがあまり及びません。しかし、アフガニスタンは子どもや女性を含む地元住民が生活する場所でもあります。山本副特別代表は、現地の人に焦点を当て、「彼らが成果を上げていくことが重要」と着任の意気込みを語っていました。
©UN Photo/Mazar-i-Sharif
今年4月、アフガニスタンでは大統領選挙が行われ、新政府が誕生したばかりです。選挙中は、不正の指摘など混乱もありました。そのため、今でも安定した状況にあるとは必ずしも言えません。山本副特別代表は、現地の人に大きな期待を寄せていました。健康・教育・治安など、幅広い分野で地元の人々の努力こそが欠かせず、UNAMAがあくまでサポート役であることを山本副特別代表は強調していました。「国連のミッション」という言葉に隠れてしまいがちな、現地の人の役割とその重要さを感じました。
カブールの投票所で票を入れる有権者 ©UN Photo/Fardin Waezi
「相手に共感することは大切だけれど、同時に客観的に状況を判断する力が欠かせない」
国際的な舞台で活躍したい人へのアドバイスとして、山本副特別代表は、「相手に共感することは大切だけれど、同時に客観的に状況を判断する力が欠かせない」と述べていました。仕事をする上で情熱を持つことは大事だけれど、熱くなりすぎず、周りに流されないような心がけが必要です。このバランスこそが、国際社会はサポート役にまわり、現地の人の手で成果を上げるために欠かせないものだと思います。
潘基文(パン・ギムン)事務総長と山本副特別代表 ©UN Photo/Amanda Voisard
短時間のインタビューであっても、丁寧に私たちからの質問に答えてくれた山本副特別代表。時間が経つのがあっという間のインタビューでした。