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UNICインターン、ブラジル人学生とSDGsについて語らう

 

SDGs学生フォトコンテスト2017大賞受賞者、ブラジルから来日~

  

ルイス・グスターヴォ・カヴァリェイロ・シウヴァ(Luís Gustavo Cavalheiro Silva)さん(以下ルイスさん)は、持続可能な開発目標(SDGs)学生フォトコンテストで大賞(外務大臣賞)を受賞しました。10月24日国連デーに行われた授賞式に出席するため、ブラジルから初来日しました。授賞式の翌日、ルイスさんは国連センターのインターンと共にSDGsについて話し合い、インタビューにも応えてくださいました。

 

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大賞(外務大臣賞)を受賞したルイスさんの作品 “WOMAN OF COOCASSIS!” (リサイクル品を回収するCOOCASSISの女性) COOCASSISとは、ゴミをリサイクルする組合のこと

 

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ルイスさん 表彰式にて曄道 佳明 上智大学学長(左)、中根 一幸 外務副大臣(右) と

 

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ルイスさんへインタビューする国連広報センターのインターンたち


インターン
SDGsフォトコンテスト外務大臣賞受賞おめでとうございます。ルイスさんにとって今回は東京での表彰式を兼ねての始めての海外旅行ですが、日本の印象はいかがですか?

ルイス:日本は清潔ですね。丁寧なサービスを提供してくれる店員さんの接客精神に驚きました。特にインフラがしっかり整えられていて素晴らしいです。バスや電車は時間どおりに来る。日本では5分で済むことが、ブラジルでは1時間かかるでしょう。また、このフォトコンテストを通じて日本が持続可能な開発目標に積極的に取り組んでいることを感じました。

 

インターンSDGsフォトコンテスト2017はどうやって知りましたか?そして、大賞に選ばれたということを初めて知ったときの感想は?

ルイス:サンパウロ州立大学で一緒にプロジェクトをやっている友達が偶然フォトコンテストについて知り、私に教えてくれました。 最初は応募しようか迷いましたが、その友達に勇気づけられ、自分が一番好きな写真をすぐ送りました。朝5時に東京から電話がきたときは、本当にびっくりしました。すごく嬉しくて、その日は仕事が手につきませんでした。

 

インターンルイスさんが写真を撮り始めたきっかけは?

ルイス:5年前にネットで興味のある写真家を見つけ、写真に興味を持ち始めました。私は、セバスチャン・サルガドエヴァンドロ・テイシェラなどの有名な写真家に影響され、ジャーナリズム系や新聞社に提供するような写真を撮りたいと思うようになりました。写真とPhotoshopYouTubeで勉強しました。初めて購入したカメラは高かったので、自分が働いて貯めたお金と合わせ、姉に費用を半分だしてもらい、やっと買うことができました。

 

インターン1002点の作品の中で一位に輝いた「“WOMAN OF COOCASSIS!” (リサイクル品を回収するCOOCASSISの女性)」はどういった経緯で撮りましたか?

ルイス:サンパウロ州立大学の都市建築の授業の一環として、大学と協力関係にある社会環境団体「COOCASSIS」とのプロジェクトで撮った写真です。このプロジェクトは大学や組合の知識を共有し、コミュニティーの距離を縮め、経済成長と環境保護を促進することを目的としています。自分の写真を通して、アシス市とブラジルの人々にCOOCASSISの活動を広め、リサイクルの重要性を意識づけたいです。

 

インターンルイスさんの写真に写っている女性の方はどんな状況に置かれていますか?そしてCOOCASSISはアシス市の女性たちにどのような役割を果たしていますか?

ルイス:COOCASSISの従業員の95%は女性です。そして写真に写っているPaula Henataさんもその一人です。Paulaさんには幼い息子がいて、彼女はひとりで彼を育てています。Paulaさんのように、若くして妊娠し、勉強を中断せざるを得ない女性が数多くいます。また、彼女たちは、学歴がないため、安定した雇用を得るのが難しい状況におかれています。しかしCOOCASSISで働くことで、女性たちは公正な賃金を得ることができ、Paulaさんはなんとか息子を養うことができています。またこの組合は、彼女にとって自分の声を発信できる場でもあり、彼女のような状況に置かれている女性を勇気づける重要な役割を果たしています。ある従業員の方は自分で収入源を得られるなら男なんか必要ないと言っていたそうです。

 

 インターンルイスさんの夢、そしてこれからの目標を教えてください。

ルイス:私にはいろいろな目標と夢があります。ブラジルではまだリサイクルのノウハウの認知度が低いため、来日前にリサイクルのやり方と重要性を広め意識づける活動を開催する準備をしていました。準備は万端なのでブラジルに戻り次第、再び始める予定です。長期的な目標としてはこのプロジェクトをより広範囲に、各地域に合った手段で広めていきたいです。今回大賞(外務大臣賞)を受賞した「“WOMAN OF COOCASSIS!” (リサイクル品を回収するCOOCASSISの女性)」はブラジルにとって持続可能なリサイクルの道への第一歩になると思います。

また個人的には、写真と歴史への興味を両立できる仕事がしたいので、プロの写真家と歴史の教授になるのが夢です。ブラジル全土を回って、母国の素晴らしいことや隠蔽された問題の両方を発信し、これを素材にした自作のドキュメンタリーを作る夢もあります。

 

インターン最後に来年のフォトコンテストの応募者達に向けてのメッセージをお願いします。

ルイス:私はデヴィッド・ボウイの大ファンです。彼の代表曲のひとつに「ヒーローズ」という名曲があります。そこで彼は「僕らは英雄になれる、一日だけなら(We can be heroes for just, just for one day)」と歌っていますが、もし自分がボウイさんだったら、「僕らは毎日英雄になれる(We can be heroes everyday)」と歌いたいですね。なぜなら、リサイクルのような一人一人の日々の小さな行いが、いつの日か身を結び、世界をよりよい方向へ変えられると信じているからです。

 好きな写真家のなかにインスピレーションをみつけ、自分を信じ夢を実現して下さい。

 

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外務大臣賞品、ニコンD7500カメラで表参道の街を撮影中のルイスさん。傘をリュックに引っ掛け、シャッターチャンスを逃しません



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ニコンD7500のクオリティの高さに思わず満足げな笑みを浮かべる。実は初めてのの海外旅行。「東京はブラジルと全く違う場所」とルイスさん

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明治神宮に到着。大学では、歴史専攻のルイスさん。歴史的建造物の撮影に熱が入ります




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インターンに撮影のコツを伝授するルイスさん。思い出に遺したい写真はポラロイドカメラで撮るのが最適

 

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参拝方法をインターンに教わるルイスさん。日本文化も体験しました

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絵馬を興味深そうに眺めるルイスさん。中にはポルトガル語で書かれている絵馬もありました


最後の一言

写真一枚の裏にこんなたくさんのストーリーがあったなんて思いもしませんでした。写真は素晴らしいですね。ルイスさん、これからの活躍を心から応援しています。また、授賞式・インタビューを通し、通訳に協力してくださった磯部さん(上智大学)ありがとうございました。

 

ルイスさんのインスタグラムはこちら>>> luisgcavalheiro

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3ヶ月のインターンシップを終えて

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2016年の11月中旬から2月中旬までの3カ月間、インターンシップに参加した安田佑介です。国連広報センターのインターンシップに応募したきっかけは、報道機関への就職が決まったことでした。ニュース制作支援、特に国際報道に関わることになるため、入社前に国連の役割と活動についての理解を深めて仕事に活かしたいと考えたからです。また、在学中の大学で人間の安全保障や難民・移民、国際開発などの授業を履修する中で国連への興味・関心が強くなってきました。キャリアの選択肢として「国連で働く」ことについても考えてみたい、そんな思いを抱きながらインターン生活が始まりました。

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新聞クリッピング国連広報センターでのインターンシップの基本です。毎朝夕、主要紙と英字紙の計8紙に目を通す作業は、刻々と変わる世界情勢の把握につながっただけではなく、情報処理・分析の鍛錬になりました。普段は何気なく読み過ごしていた新聞でしたが、国連という立場から読んでいくと、国連が世界の様々な分野に携わっていることが分かり、より身近な存在となりました。特にアメリカ大統領が変わってからは、関連記事が増え、迅速かつ的確に情報を把握するよう努めました。また、読み比べも意識的に行い、新聞各社の取り上げるニュースの傾向や考え方がわかり、様々な角度から物事を考えていく練習にもなりました。

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山本忠通 アフガニスタン担当国連事務総長特別代表、根本かおるUNIC所長、インターンとともに

さらに、記者会見やインタービューに同行する機会にも恵まれ、国連で活躍されてきた職員のお話を目の前で聞くという貴重な経験ができました。また、取材を通じて、写真撮影や記事作成に必要な準備や注意点など実戦から得られる収穫が数多くありました。その他には、翻訳作業にも携わり、どう訳せばよりわかりやすく明確に伝わるかと言葉選びに悩みに悩み、情報発信をする広報の難しさを実感するなど、毎日が学びの3カ月でした。

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朝鮮民主主義人民共和国DPRK)の人権状況に関する国連特別報告者の記者会見(2016年11月、国連大学

いま振り返ってみると、一緒に働いた個性的で優秀なインターン、そして様々な業務を任せてくださった職員の皆さんには感謝の気持ちで一杯です。的確に仕事をこなしていくインターンと働く中で、社会人になる上での課題をたくさん見つけました。彼らとの昼食の時間も非常に有意義なものでした。留学経験やキャリア、進学、趣味といったいろいろな話で盛り上がり、自分の知らない世界を知る機会にもなりました。広報業務以外にもデータ処理や資料作成など、毎日幅広い仕事を任せてくださった職員の皆さんにも感謝しております。国連への理解が深まっただけでなく、働くことへの姿勢も学んだこの濃密な3カ月間。国連広報センターで得た知識と経験を今後に活かしていけるよう、これからも精進していきたいと思います。ありがとうございました。

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2016年冬季インターンを終えて

今年の9月から約3ヵ月間、国連広報センターで働いたインターン2名が12月末に卒業しました。今回はその二人にUNICでのインターン経験を振り返ってもらいます。

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            左からインターン卒業生の位下昌平と李ソミン

位下 昌平

日本人インターンとして3ヶ月間UNICで働きました位下昌平です。幼い頃から漠然と国連機関に興味や憧れがありました。「百聞は一見にしかず」そんな想いで、とりあえず国連諸機関でインターンを是非してみたいと思い、学部一年目でも応募資格のある国連広報センターを見つけ、迷わず応募しました。

このインターンでは、国連機関の一部として内側から身をもって経験することが出来ました。広報センターが運営しているはてなブログやFBでの投稿のお手伝いを通し、なにを国連が重要視し、日本の人々に知ってもらいたいのか知ることができました。また、分野を問わず様々なイベントに参加したり、国連職員や外部の方々とお話しする機会に恵まれました。実際に、国連職員の方から話を聞き、どんな人材が国連で求められているのか少し見えてきた気がします。日本記者クラブで一般の記者の方に混じり、国連職員の方の話を聞けたのは新鮮でした。会見のメモを取り、写真を撮影し、UNICのフェイスブックにその様子を投稿する。UNICでのインターンだからこそ、経験することが出来たと思います。さらに、UNICが行っている国連訪問というイベントでは、中学・高校生に国連大学国連の活動に関する説明をしました。必然と国連機関の役割や仕組みを詳しく知ることが出来ました。

一緒に働いた個性的で優秀なインターンの方々と日々生活を共にし、興味のある分野や、将来のことなどを話し合い、人生の後輩として沢山のことを学びました。このインターン3ヶ月間で得た貴重な学びと出会いに感謝いたします。ありがとうございました。

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李 ソミン

今年の9月から3ヶ月間、インターンを行いました李ソミンです。常に、国際情勢に興味を持ち、大学でも総合政策学部を専攻とし、多様な国際開発関連の授業を取ってきましたが、それらの知識が「自分ごと」になっていないと感じ、国際的課題の解決に取り組んでいる現場で実践的に学びたく、インターンに応募しました。

私がインターンをしていた時期は、トランプのアメリカ大統領当選や、母国である韓国の政界スキャンダル、日露首脳会談、国際連合事務総長の大統領選出馬表明など、国内外で、「予想外」の出来事が立て続けに起きた時でもありました。それらのニュースに関して、日々行う新聞クリッピングを通じ、より事件を詳細なおかつ客観的に見れる機会になったことはもちろん、また国連としてはその出来事をどう捉えているのかなど、一緒に働くインターン同士や職員の方々と自由に考えを共有することができ、大変有意義な時間になりました。

また、日常の業務は、かつてやったことない仕事に挑戦できる機会に恵まれました。多様な賞状や色紙のデザイン、インターン募集の管理、写真撮影、電話対応といった多岐にわたる仕事ができる素晴らしい機会を与えてくださった職員の方々に感謝いたします。また、日本語が完璧じゃない私が困らないよう、常に日本語の文章をチェックしてくれたり、細かく気を配ってくれたインターンに皆様、本当にどうも有難うございました。

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フォトコンテストの大賞受賞者、ニコラスとの一日 

国連広報センターインターンの李 ソミンです。1025日、前日に行われた「わたしが見た、持続可能な開発目標(SDGs)」学生フォトコンテストの授賞式のために、ニコラス・モンテベルデ=ブスタマンテさん(大賞受賞者)来日しました。二日かけて、ちょうど地球の裏側から来たニコラスさんですが、常に笑顔を絶やさない好青年でした。短い間でしたが、私たちインターンは、彼と一緒にSDGsのことを語り合いました。

 

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ニコラスさんは、授賞式翌日、朝からNHKのインタビューを受け、午後の撮影から我々インターン4名も同行し、楽しい時間を過ごすことができました。

 

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ニコラスさんは、今年23歳のペルーの首都、リマ出身。リマにあるUiversidad Peruana de Ciencias Aplicadas (UPC)大学でコミュニケーションとジャーナリズム専攻する4年生。

今回受賞した写真の「El OJO DEL CONSUMO(消費者の目)」を通して、海洋汚染の深刻さを指摘するとともに、これからの私たちの消費パターンの見直しを提言しました。

 

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当日は、NHKの特別番組の撮影で、代々木公園から原宿竹下通りを通り抜け、渋谷にいたるルートを歩きました。レンズを通して、彼の視点から見る日本におけるSDGsを考える時間となりました。

ニコラスさんは、とてもフレンドリーで、前日に伝えたインターンの名前全てちゃんと覚えてくれました。興味ある分野や何を勉強しているのかということについても、気さくに話してくれました。また、ペルー出身であることに誇りを持つ彼は、自国のことに詳しく、ペルーの歴史や、建築、教育、食文化など幅広く、興味深い話をしてくれました。

 

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彼は渋谷での取材中、何度も立ち止まり、誰にも気づかないようなクモの巣や街灯の上のカラスなど撮っていました。普段見過ごしてしまうような些細なことも、彼といると見えてきて、その一つひとつがとても新鮮に感じられました。  

 

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また、彼は自転車に乗っている人にとても興味を持っていました。その理由を尋ねると、「自転車は環境にやさしい、僕はペルーで自転車を広めるための活動もしている」と、日本で自転車が普及していることをとても関心していました。日本は自転車の使用率が高く、それが環境保護に繋がっているということに、彼のお陰で気づかされました。

撮影の途中、渇いた喉を潤すため、ペットボトルの飲み物を買って彼に渡しました。しかし、彼は「環境のために、ペットボトルの飲み物は飲まないようにしているんだ」と言い、その代わりに持っている大きな水筒から水を飲みました。生活の細かいところまで根付いている彼の環境保護の精神に感銘を受けました。

 

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天気が徐々に悪くなり雨が降り始めると、彼は何度も、「I feel like I am in the wonder land(まるで今ワンダーランドに来ているようだ)」と、私たちに「日本に来たんだ」という感動を伝えました。私たちにとっては、渋谷も、雨も、見慣れた景色でしたが、彼の言葉で日常が非日常になった瞬間でした。

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最後に、ニコラスさんは「私たち個人ができることは小さなことかもしれない。しかし、自分は環境保護に関していい見本でありたい。それによって周りの人の意識を変え、世界をより良い場所にできると信じているからね」と熱く語りました。この二日間を通して私たちインターンは、彼の環境に対する信念を感じ取り、持続可能な開発目標(SDGs)で掲げる地球規模の問題を「自分ごと」としてより身近に感じることができました。

 

 

2016年夏季インターンを終えて

 本日をもって、国連広報センターの2016年夏季インターン5人がインターンシップを終了します。今回は、6月から3ヶ月にわたったインターン生活の振り返りを、Q&A形式でお届けします。

UNIC Tokyo’s summer 2016 interns finish their internship session today! The five interns, who have been interning with the UNIC Tokyo office since the end of June, take a look back on the ups and downs of their three month internship with a Q&A blog post!

 

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【2016年夏季インターンメンバー】

小杉京香 Kyoka Kosugi  ブラウン大学 国際関係学部 社会・安全保障学科
Brown University - International Relations

ジェニー・ホロウェー Jenny Holloway  オックスフォード大学・日本研究
University of Oxford - Oriental Studies, Japanese

小久保彩子 Ayako Kokubo 一橋大学 社会学
Hitotsubashi University - Faculty of Social Sciences

チョ・ソユン Soyun Cho 早稲田大学 国際教養学部
Waseda University - International Liberal Studies

小林薫子 Kaoruko Kobayashi 東京大学大学院 公共政策学部
The University of Tokyo - Graduate School of Public Policy

 

~2016年夏季インターンを終えて~

 

Q: 一番印象に残った出来事は何でしたか?

Jenny: 一番印象に残った経験は、私のインターンシップの最初の一週間に行われた日本人のパラリンピック選手のマセソン美季さんのインタビューです。その時は、インターンシップが始まったばかりだったのでUNICがパラリンピックとどのように関係しているのか分かりませんでした。しかし、マセソンさんとのインタビューをきっかけに、マセソンさんが女性パラリンプック選手として、今まで経験した事と、2020年東京パラリンピックに向けての仕事についての話を聞いてから、国連の仕事の目標は、核兵器をなくすのような深刻なことだけではなく、スポーツでも平和と平等を作れることが分かるようになりました。

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Kyoka: 広島と長崎の平和記念式典に参加するためにキム・ウォンス国連軍縮担当上級代表が来日した時にお会いできたのが一番印象的でした。キム代表と写真家のレスリー・キーさんが学生向けのトークイベントにゲストとして登壇し、なぜ持続可能な開発目標は平和構築に不可欠なのか、そして私たちが学生として何ができるのかを語ってくださいました。とても貴重なお話が聞けて、インターン期間中の一番印象に残った経験となりました。

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Soyun: NGOピースボート」が主催した出港式に参加したことが一番印象的でした。私たちが出港式で見届けた第92回のピースボートは、軍縮と平和のメッセージを伝えるために全世界を航海するプロジェクトです。出港式の前の参加者の方々の記者会見で、被爆者の方から直接お話をうかがったことが特に印象に残っています。被爆でお兄さんを亡くされた方のお話でしたが、何十年もの時が経っても悲しみが癒えないことを感じました。記者会見を通じて、ピースボートに乗船する人々の心持ちや思いを感じ取ったうえで参加した出港式はより意味深く感じられました。私にとって忘れられない経験です。

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Q: インターンを通して学んだこととは?

Kyoka: 国連広報センターの運営するブログや、参加させていただいたインタビューなどを通して、「国連の仕事」は簡単に一括り出来ないほど、いろんな種類の仕事や職場がある事を学びました。国連の傘下にある機関や団体ひとつひとつの活動があって、初めて幅広い環境や地域で深刻な課題に取り組むことができることを改めて認識することができました。この3ヶ月を通して、自分が将来どんな機関でどのような仕事に携わりたいのか、より具体的なイメージをつかむことができました。

Ayako:国連についての理解が深まったと同時に、広報活動に携われたことは貴重な経験でした。一つの記事が新聞に載るまでに取材依頼など数々のステップがあること、注目を浴びる出来事の裏側で、リアルタイムでメディアの動きをモニタリングしていること、一字一句までこだわって注意深く発信しようとする姿勢…普段何気なく世の中に溢れる情報にふれていましたが、その背景にこれだけの細やかな動きがあるということはとても印象的でした。広報センターに身を置いたからこそ体得できた「広報」の視点でした。

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Kaoruko: 私はUNICでのインターンを通し、広報活動の大切さを学びました。まず毎朝行う新聞クリッピングでは国内問題、国際問題など世界で起きている出来事を認知することの大切さを改めて実感しました。またUNICのブログ作業やFacebookのポスト作成を通じ、国連が取り組んでいる幅広い課題を多くの人に知ってもらう大切さも学びました。特に持続可能な開発目標(SDGs)についてはフォトコンテスト、テーマソングのお披露目会など様々なイベントに携わることができました。国連が取り組む課題解決のためにも、まず多くの人が課題を認知することが重要です。その上で、UNICが行っている広報活動に自分も携わり、その大切さを経験することが出来ました。そして、実際に国連で働く方々と出会い、現場でのお話も伺うことが出来たのも、とても貴重な経験となりました。このインターンシップを通し、国連をより身近に感じるようになったと同時に自分の夢をより明確にすることが出来ました。

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Q: なぜこのインターンに応募しようと思いましたか?

Ayako :以前から、どうすれば地球規模での豊かさを実現できるのかという問題意識がありました。環境問題の解決や平和の維持は一朝一夕では実現しない、では私に何ができるのだろうかと模索していたとき、このインターンシップを見つけました。国際機関の取り組みを内部から実感することが、この先の社会と自分の関わり方を考えていく際に貴重なものさしになると思い応募しました。

Soyun: 国際学校から国際関係に興味を持つようになりましたが、大学2年までは漠然と卒業したら国際機関で働きたいと考えていたに過ぎませんでした。3年生の時に交換留学をした際、国際機関に興味を持っている人達に出会うことができ、今から将来にどのような道に進みたいのかを真剣に考えることになりました。これがきっかけで、留学から帰って過ごす長い夏休みの間に国連インターンをやりたいと思い、UNIC Tokyoに応募しました。

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Kaoruko: 私は人生の半分近くを海外3カ国で暮らした経験や学部時代に国際関係を専攻した経験などから、将来は国際機関で働きたいと考えるようになりました。そこで、国連の活動について知るためにUNIC で広報活動に携わり、国連の働きや日本と国連のつながりを学びたい思い、このインターンシップに応募をしました。


Q: What did you find the most challenging?

AyakoI think the most challenging element of the internship was to inform the worldwide problems as not distantly but closely related issues with us. Several experiences from the internship made me reflect on the connection between the UN and the public. I personally assume that many people think works of the UN are not directly linked to their day-to-day lives. Through this internship, I have been convinced that it is significant to think what each of us can do to achieve global goals.

Kyoka: I think the most challenging aspect of the internship was learning how to cater information towards a Japanese audience, that has specific societal expectations in regards to the media they consume. Slight differences in the delivery of these information can have distinct implications, especially because subtlety plays such an important role in Japanese semantics. Through composing social media posts and translating articles for UNIC, I gradually learned how to highlight certain aspects of an event or UN initiative to make the organization more accessible and relatable to the Japanese public. These past three months have allowed me to reflect on the importance and responsiblity that comes with a position that involves disseminating information.

 

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Q: What have you gained from the experience?

Jenny: Spending a summer living and working a 9 till 5 internship in a country that is not home is not without its challenges. However, I have learnt to embrace the challenging aspects. For example, as a foreigner, UNIC Tokyo is a unique place to gain an insight into the role of the UN in Japan, and to understand what causes are particularly important to the Japanese public. I feel like this understanding is something that I can use to help shape my career choices and goals for the future.

Soyun: UNIC is a unique place where I could experience the international atmosphere of the UN and Japanese atmosphere at the same time. Doing office work and communicating with staff members and other interns in English and Japanese taught me what it is like to work in an international office. I also had an opportunity to meet Japanese UN staff members from different areas of work and different UN offices. Listening to their stories was a meaningful opportunity for me because the experiences they spoke of cannot be earned without working at the field. It motivated me a lot to consider wokring at an international organization.

 

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Q: What advice would you give to future international applicants?

Jenny: Before applying, think carefully about why you want to do the internship and what you want to gain from it. This will help you make an impression during the interview, and also allow you to ask the right questions in order to understand whether or not it is the right job for you. A three month internship is a fairly big commitment, particularly coming from abroad, and it does not hurt to be certain before starting. Once you are here, you’ll find that the UNIC office and your fellow interns are easy to get along with, make friends and make the most of being in Tokyo!

 

2016 Spring Interns

今年3月末から国連広報センターで働いた5人のインターンが6月末に卒業しました。

UNICでの体験を振り返った5つのストーリーをお読みください。

 

 【宮内栄 / Ei Miyauchi】

 こんにちは!2016年春インターンの宮内栄です。現在国際基督教大学4年で、卒論執筆の真っ最中です。

 私が国連広報センター(UNIC)のインターンに応募したのは、将来働きたい国連という場所の実際の姿を知りたかったから、というのが一番大きな理由です。私は今後開発学を専門にしたいので、国際政治や国際関係学、国際法を専門にして広報官として国連に入ることを考えているわけではありません。しかし、どんな分野を専門にするにせよ国連で働くのなら、国連という組織自体についての理解は必要だろうと思います。結果的にUNICは、国連の活動や内部の日常の動き方について知る上で、とてもよい場所でした。

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        上智大学でのSDGsフォトコンテストのプロモーションの様子(白いボードを持っているのが筆者)

 

まず、UNICのオフィスも入っている国連大学本部ビルを訪問する中高生に実施する、「国連訪問」というプログラムを担当することで、必然的に国連の活動一般を説明できるようになります。あるいは日々国連関係文書の翻訳をする中で、「この文書はどういう文脈で、何の目的で作成されたものなのか」と考えます。背景知識がなければ正しい翻訳はできないので必然的にリサーチをすることになり、知識が雪だるま式に増えていくのです。

 その他にも大型イベントの一連のロジスティクス(ロジ)をオフィスの中で体感すると、国連という組織の官僚的な動き方を実感できます。私のインターン期間中には潘基文(パン・ギムン)事務総長の訪日・G7伊勢志摩サミットアウトリーチ会合への出席に関わる大型ロジがありました。インターンオリエンテーションでUNICが「国連の在日本大使館」と形容されているのを耳にしましたが、まさにそういった印象をこのロジを通じて持つようになりました。こういった話は通常"confidential"とされ、外部に公開されることはありません。内部から実際を見たり、また部分的に関わる機会に恵まれたことはとても幸運でした。                

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 スウェーデン大使館主催のセミナー「第2代国連事務総長ダグ・ハマーショルド国連」にて。(June撮影)

 また、おそらくみなさんが思っている以上に、UNICでの仕事は「広報」のよい経験となります。特に私は「国際関係学専攻で将来国連で働きたいと思っている」といういわば「ステレオタイプ」であったため、広報関係の仕事のインパクトは予想以上で、とても新鮮でした。

例えば、日常的に様々な国連関係文書の翻訳、要約、記者会見への出席(カメラもインターンが担当します!)、記事作成などの業務があります。文章を書くことについてはそれなりに慣れていると思っていた自分でしたが、反省しきりでした。要点をもらさずシンプルで読みやすい文章を作るということは、案外手間がかかるものなのです。加えて校正作業も広報では必須ですが、仕事の丁寧さについて自分の甘さを感じる局面が多々ありました。UNICのオフィスは10人にも満たない職員とインターン数名によって、まわっています。それは、職員一人ひとりが自分の責任分野の仕事を高い精密度をもって日々こなしているからこそ成立するサイクルです。「プロじゃないからわからない」と言う暇があるなら、「自分で学んでプロになれ」。そんな意識を持つようになったインターン生活でもありました。 f:id:UNIC_Tokyo:20160614115256j:plain

     オフィスの日常。インターンの机が集まる「インターン島」は笑いが絶えない (Christina撮影)

 そして最後に、個性豊かな「現実主義的理想主義者たち」との出会いこそ、UNICインターンを通して得た最大の宝です。国連が掲げるのは、人類共通の普遍的な理想。しかしその実現には多様な利害関心が絡み、様々な障害が立ち塞がっています。このインターンで出会った全ての方々は、冷静にその現実的難しさを認識した上で、それでも理想を夢見ることを止めない人たちでした。もちろん私が覗いたのは巨大なUNファミリーのたった一部にすぎません。それでも「現実主義的理想主義」こそ、国連という場所に通底するプリンシプルなのだと確信しました。そんな人たちが集まる場所が国連なら、それは確かに目指す価値のある場所だと、インターンを終える今、私は自信を持ってそう言えます。

 この3ヶ月は日々学びであったことはもちろん、自分の中の国連についてのモヤモヤと向き合い、自分なりに整理をする時間でした。大学4年で就活に勤しむ同期を余所目に、フルタイムでインターンをやるということに不安がなかった訳ではありません。ただ結局は、自分の直感に従ったほうがよい結果になるのだと私自身は思います。3年の秋、思い切ってインターンに応募したあの時の判断は、私にとっての「正解」でした。

私にこの貴重な機会を与えて下さり、インターン期間中厳しくご指導下さり、そしてまた優しい気遣いもして下さったUNIC職員の皆様。

常に明るい笑い声の絶えない「インターン島」でチームワークを共にした、尊敬すべき個性豊かな4人のインターンメイト。

 UNICインターンを通じて関わった全ての皆様に、今、心から感謝しています。

 そして願わくば、この文章が未来のUNICインターンの方々の背中を、少しでも押すことが出来ますように。

 

【王盈文(オウ エイブン)/ June Wang】

 こんにちは!2016年4月から3ヶ月間、UNICでインターンとして働いた台湾人のJuneです。 日本留学中で、今は東京大学法学政治学研究科修士2年生です。

台湾の大学では法学部に所属し、法律全般について勉強しました。4年生の国際法の授業で初めて国連の決議や国連の枠の下で作られた条約などに触れる機会がありました。それをきっかけに、国連に興味をもつようになり、「将来国連で働きたい」という考えも自分の中で萌芽しました。この夢に少しでも近づくために、まず自分の専門知識を磨かなくてはならないと思い、国際法を専攻として日本の大学院に進学することを決めました。       

          f:id:UNIC_Tokyo:20160624162941j:plain

                                       UNICの入り口で写真を撮ってもらいました(Ei撮影)

 台湾は国連の加盟国ではないため、日本のようにいろいろな国連諸機関の事務所があるわけではありません。せっかく日本に留学しているので、ぜひこの地の利を無駄にせず、インターンを通じて「国連で働く」というイメージをより具体化させたいと思いました。そこで、私は国連の活動に全面的に関わっているUNICのインターンに応募させていただきました。

 UNICでの日々は、私にとって「冒険」であり、大変有益な時間になりました。

業務の内容は多岐にわたりますが、まず何よりも、国連の活動や優先課題をさまざまなイベントのサポートと参加を通じて、身近に感じることができました。2016年は国連の持続可能な開発目標(SDGs)実施元年なので、私のインターン期間中、SDGsの広報活動はUNICの活動の中心でした。その他、日本国連加盟60周年記念事業、気候変動に関するパリ協定の宣伝、G7のアウトリーチ合会に参加するための国連事務総長来日訪問、中高生の国連訪問といったイベントの企画・実施に携りました。 f:id:UNIC_Tokyo:20160531121250j:plain

                          UNICオフィスの様子(左上Kento、左下Christina、右Machiko、筆者撮影)

 また、国連とは直接に関係しませんが、ハードウェア・ソフトウェアのスキルもインターンの仕事を通じて向上しました。例えば、UNICは「広報センター」であるため、写真や動画の撮影の機会は多くありました。しかし良い作品を撮るのは想像以上に難しいことでした。毎回の撮影の仕事で職員にアドバイスをいただきながら、どのようにインパクトのある写真を撮れるのかが徐々にわかりました。また、去年UNIC主催のイベントで実施した721件のアンケート結果を統計処理するために、エクセルの「ピボットテーブル」という機能を自分で調べ、初めて使用しました。 

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                                          4月13日の国連訪問を担当したEiです(筆者撮影)

 インターンの同期4人からもいろいろ学びました。皆それぞれ違う国籍、バックグラウンドをもっており、関心分野も異なっています。だからこそ一緒に仕事をしている間に、それぞれの人生経験、希望、悩みを話し合い、私にとってとても刺激になる話をたくさん聞けて、心の栄養になりました。また、各自のタスクで忙しい中でも、いつも私の日本語と英語のネイティヴチェックをしてくれて、本当に感謝します。

UNICのスタッフたち、同期のインターン4人、この3カ月間、誠にありがとうございました。

これからもUNICで得た経験を生かして、努力していきたいと思います!

  哈囉!我是王盈文,台灣人,25歲。22歲以前都在台灣土生土長,23歲時來日本念研究所。因為對聯合國有興趣,希望未來能到聯合國工作,便利用在日留學的期間申請了United Nations Information Centre東京辦公室的實習生,很幸運地能被錄取。在這裡的三個月,我除了更認識聯合國,也遇到了很好的實習生夥伴,並和他們成為了一生的朋友。

台灣雖非聯合國加盟國,但並不代表台灣人不能在聯合國相關機構實習,擴展自己的人生經驗與國際意識(至於如何才能成為聯合國的正式職員,我也還在摸索),如果你是台灣人且對聯合國有興趣,不妨考慮申請實習生,我相信一定會成為你人生中無可取代的一堂課!

 

【大谷 眞智子 / Machiko Otani】 f:id:UNIC_Tokyo:20160629151453j:plain

                    左から二番目が筆者

 4月より3ヶ月間インターンとして働かせていただきました、大谷眞智子です。

 私は医学部を卒業後、4年間臨床医として働きました。将来は国連をはじめとする国際機関で医学・公衆衛生の専門家として主に感染症対策に携わりたいと考えており、秋からイギリスの公衆衛生大学院に進学する間の期間を使って、インターンとしてお世話になりました。

将来国際機関で働くことを目指すのであれば、実際にその中で働くことによって将来のビジョンがより明確になるのではないか、という理由と、これまで職業柄、自分の専門分野のことしか触れてこなかったのですが、世界で起きている様々な問題は一方向からのアプローチのみでは解決できないということを、医師として働いた経験からも強く感じたので医療・保健とは関係のない新たな経験を積みたいと思っていたという理由から、国連広報センターのインターンに応募しました。

 想像していたとおり、医師としての社会経験しかない私にとって、国連のオフィスでの仕事はとても新鮮で学ぶことが多く、社会人としての自分を今一度見つめなおすきっかけになりました。そして、いままでは単にイメージしかなかった国連の中で実際に働くことによって新たな視点から国連を捉えることができました。

 一緒にインターンを行った仲間たちは皆それぞれにビジョンがあり、それぞれの目標や葛藤、将来について話すことも多く、とても刺激になりました。どのようにしたら世界全体がより良い方向に向かえるのか、自分ができること・すべきことは何なのか?

そういった問いに真剣に向き合っている人たちとの出会いはとても貴重で、分野やアプローチを越えて同じ目標を共有できる機会はなかなか得られないものではないかと思います。このような出会いは特定の専門分野に特化した機関でなくUNICのような国連全般にかかわる機関でインターンをする醍醐味でもあると思いました。

UNICのインターンに、「こうであるべき」だとか、「こうでなければいけない」といった概念はありません。むしろ、私が医師であるけれども受け入れてもらったように、どんな経歴の人にもチャンスはありますし、多様性や個性が尊重される場所です。それなので、もし迷われている方がいたら飛び込んでみることをお勧めします。きっと他では味わえない経験と、一生の仲間が見つかるはずです!

 私自身、今回得た貴重な経験を、これからの大学院生活、そしてその先の未来に活かし、一人の人間として国際社会に貢献できるようこれからも邁進していきます。

お世話になったUNIC職員の皆さん、同期のインターンの4人、本当にありがとうございました!

 

藍原健豊 / Kento Aihara】

    f:id:UNIC_Tokyo:20160519113535j:plain

 日本人インターンの藍原です。私は今年の3月に栃木県小山市にある白鴎大学を卒業し、夏からタイの大学院に進学する予定です。その間の期間を利用し、国連広報センター(UNIC)にてインターンシップを行いました。私は幼少期から日本の外の世界に興味があり、漠然と世界に関わる仕事がしたいと考えていましたが、国連もその夢の一つでした。私は学部生のときに経営学、特に観光産業にフォーカスして学びましたが、その自分が得意とする分野が国連でどのように貢献できるかを知る上でも実際に国連インターンをするのは大変有益だと考えていました。そして今回“百聞は一見に如かず“をモットーに、ここUNICに携わることで国連の現場を肌で感じることができました。UNIC 国連のあらゆる部署の活動や情報を管理、発信する組織ですので、インターンを通して国連の仕組みを包括的に理解を深めることができたと思います。

私がインターンをした時期はまさに、2015年に国連総会で採択された持続可能な開発目標(SDGs)を推進していく活動の最中でした。UNICも日本社会にSDGsを知ってもらうために様々な広報活動を行っていますが、私が微力ながらそのお手伝いをできたことを嬉しく思います。SDGs2030年までの持続可能な開発目標であり、プロジェクトはまだ始まったばかりです。大々的なことではなく、我々一個人が日常生活で今すぐにできることが沢山あります。世界はもちろんのこと、身近な生活自体ももっと良くなるはずです。15年後、世界はどう変わっているのでしょうか。私のインターンは終わりますが、これからもSDGs推進活動に協力できればと思います。

地元の栃木県から毎日電車でUNICへ通勤するハードな生活でしたが、この経験が大学院進学、ひいては自分の将来において必ず役に立つものだと確信しています。職員の皆さんにも沢山お世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。最後に、同期のインターンのメンバーに恵まれたと感じています。5人全員がバラバラのバックグラウンド、専門分野だったので一緒に仕事をする毎日が非常に新鮮でした。和気あいあいと楽しい3ヶ月間をありがとう!

 Hi, my name is Kento. I worked for the United Nations Information Centre in Tokyo as an intern for the last couple of months. I have been interested in overseas and international organizations such as the UN since I was little (I lived in Japan for over 20 years). I just graduated from university majoring in business, especially focusing on travel industry management, and used to wonder how I could contribute to the UN with my field of study. Therefore I decided to apply for this internship and fortunately got accepted. As a result, this experience at UNIC turned out to be fruitful for me as I had countless opportunities to learn how the UN works, which is composed of various departments. Likewise, I am glad that I was able to participate in promoting the project of SDGs (Sustainable Development Goals), which were officially adopted in 2015. This project lasts until 2030, and I truly hope that our world becomes better and better, contributing to some goals of SDGs.

Through the internship, not only have I learned about the roles of the UN, but I was also able to interact with many people who have distinctly different backgrounds including career, which without doubt would lead me to the next step in my life. To the prospective interns, if you are interested in this internship, DO NOT HESITATE, JUST ASK THE OFFICE! I hope you guys will seize the chance and have a great experience here at, UNIC! f:id:UNIC_Tokyo:20160629151347j:plain  誕生日が同じ根本かおる国連広報センター所長と一緒に。似顔絵はChristinaが描いてくれました(617)

  

【Christina Mihoko Deakin】 f:id:UNIC_Tokyo:20160614115201j:plain

 Ei will be graduating from ICU (International Christian University), June is finishing up her master’s thesis in law at University of Tokyo, Kento is preparing to complete a masters course in Thailand, and Machiko is a HIV/AIDS specialised doctor. Machiko and I will both return to our studies in the UK this September. All five of us were UNIC interns, however, we were all in such different stages of our lives.

I joined the UNIC internship programme for three months after experiencing internships around other offices in the United Nations University, however, I found this internship to be unique. I became increasingly aware that it was difficult to disconnect from the office after hours. From morning to night, my phone would buzz with little updates  and messages of encouragement from the other interns, from important messages relating to train delays and sick leaves to funny photos and uplifting remarks. We have a growing chat history that reflects teamwork.

Despite joining the internship programme for different reasons, we were working and communicating together to compete tasks and projects. I think teamwork was one of the most valuable lessons I learned in the UNIC Tokyo office. My world also expanded. I recall many significant moments, such as listening to the director practice her speech in the back of a taxi, going to press events, and being involved with the Secretary-General’s visit to Japan.

However, I also treasure the quiet moments when friends and staff exchanged their experience and stories with one another, or when the office supported me in picking up my first phone call in Japanese. In full retrospect, my internship experience with UNIC Tokyo was extremely positive, and I am very lucky and glad to have been apart of this office.

 f:id:UNIC_Tokyo:20160630162722j:plain

 

                  ~ Fin.~

 

女性のエンパワーメントが世界を変える(4)

 より良いジェンダー平等を日本から

~福香代子 UN Women 日本事務所所長のインタビュ~

 UN Women 駐日事務所の開所式が、8月30日に安倍晋三首相ら出席のもと東京で行われました。UN Womenの連絡事務所の開設は世界で4番目、アジアでは初めてです。世界のジェンダー平等推進において要となることが期待されます。これに先立ち、福嶌香代子所長にお話を伺いました。

(このインタビューは7月8日に行われました。)

 

【 聞き手:国連広報センター 所長 根本かおる】

 

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                 8月30日の開所式

 

福嶌香代子UN Women日本事務所長

 

上智大学国語学部卒。外務省に入省後、米国での研修(フレッチャー法律外交学院で修士号を取得)を経て国連,広報文化,開発,環境,科学技術などの分野での外交に携わる。外務省で国連教育科学文化機関(UNESCO),国連貿易開発会議(UNCTAD),国連宇宙空間平和利用委員会(UNCOPUOS)などを担当し、2003~06年、国連大学でプログラム・オフィサーを務める。海外では、アイルランドとタイの日本大使館、ニューヨークの日本総領事館で広報文化を担当。2015年4月から現職。

 

 

新事務所開設にあたって

 

Q新事務所開設というのは、大変エネルギーが必要な作業ではないですか?

 

A. 本当に一からのスタートでしたが、NY本部のサポートを得ながら普通では携わることのできないような経験をすることが出来ました。UN Womenと日本は非常に良好な関係を築いており、日本事務所の開設によって、さらなる発展が期待されています。

 

Q 国連でのお仕事は初めてですか?

 

A 国連の仕事は2回目です。私は外務省の出身ですが、一度国連大学で働いたことがありまして、そこでは日本の大学で勉強している開発途上国からの留学生を支援するための育英資金貸与プログラムの立ち上げを担当しました。今回の国連でも立ち上げの仕事を担当することになりました。 

 

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            香代子UN Women 日本事務所長

 

 日本における女性のエンパワーメントと男女共同参画への課題

 

Q 女性の社会進出、権利向上などが日本で大変注目を浴びる中で東京に事務所が開設になりますが、その点においてはどのような抱負を持って臨んでいますか?

 

A 日本政府が力を入れている政策に連携して、UN Womenのこれまでの取り組みや経験を活かせるようにしていきたいと思います。また、色々な活動を進めていく上で、一般の方にもUN Women がどのような機関であるかを知って頂きたいので、様々な方たちと連携して色々な協力やアウトリーチを進めたいと思っております。

 

Q 日本で安倍政権が女性活用を呼びかけている反面、日本での女性をとりまく地位は国際的に見て高くはありません。どのような点に着目して、日本の取り組みを支援していきたいと思っていらっしゃいますか?

 

A 一つには、安倍総理が力を入れられている女性の経済面での自立ですね。これはUN Women も優先分野として活動しております。また、日本が国連の場でも貢献している平和維持活動や防災への取り組みなどについても、ジェンダーの配慮はこれからますます重要になっていくと思います。 

 日本では東日本大震災など、色々な災害で女性が被害を受けるということはとても多いと思うのですが、それらの復興に向けて女性の力を活かすことが非常に大切です。その点についてUN Womenは、復興計画の中にジェンダーの配慮をする形などでの復興支援の活動をしているので、そのようなところを連携していければと思っております。

これらの分野に限るということではありませんが、特に日本が優先課題として取り組んでいるところを含めて、UN Womenが連携して取り組んでいければと思っております。

 

 Q 被災地の女性から漁業組合の組合員資格が女性は事実上排除されているとうかがい、驚いたことがあります。

 

A. 実は、これはどこにでも存在する問題です。世界的に見て、4分の3の男性が労働市場にいるのに対し、女性の数は半数程度です。UN Womenが最近発表した、「世界の女性の進歩(副題:経済を変える権利を実現する)」という報告書によると、発展途上地域において働く女性のうち最大で95%が非正規雇用であり、労働法や社会保護に守られていないという状況が見受けられます。全ての労働市場や産業における女性のリーダーシップの発揮や参加は考慮されるべき事項です。漁業とは少し違うのですが、世界でも例えば農地の所有権が女性には与えられていないにも関わらず、実際に農地を耕し作物を育てているのは女性であるという現実がありますね。そういった場合、UN Womenでは、農業でしたらFAOなどど連携して活動するわけですが、その中で例えば女性がある村で新しい農業の取り組みをする際に、女性が意思決定の場においても参画するようになってからその取り組みが成功したという例も報告されています。そのような形で、女性の参画やリーダーシップを発揮する機会を増やすことが全体の利益につながると認識するなど、そういった思索が続くと非常に良いと思っております。

         

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    ネパールの地震被災者の女性のために緊急支援物資を袋詰めするUN Womenのパートナー達

 

UN Womenが行っている取り組み

 

Q女性に目配りした制度が女性を含む形を作るには、政治の場での女性の参画が大変重要になると思いますが、下院における女性議員の割合を見ると、日本は10%未満で、世界で114位ですね。女性の政治参画を促進する上で、日本ではどのような取り組みが必要だと思われますか?

 

A ご存知の通り、日本だけでなく世界各国においても、女性のリーダーシップと政地参画の機会は限られています。選挙権を持つ女性の数が少ないだけでなく、議員、公務員、民間部門、または学界であれ、リーダーの地位に立つ女性は少ないのが現状です。こうしたことは、リーダーや変革の担い手としての女性の能力が証明され、民主政治に平等に参画する権利があるにもかかわらず起きています。UN Womenのリーダーシップと参画に関するプログラムは、女性の参画に対する国際的な公約の歴史に基づいています。女子差別撤廃条約(CEDAW)は公的な場に女性が参加する権利を認めており、北京行動綱領は平等な参画への障壁を取り除くことを求めています。また、ミレニアム開発目標MDGs)は、議席に占める女性の割合がジェンダー平等への進歩をはかる一つのものさしになるとしています。こうした目標に向けて、私たちは女性の政治候補者の能力構築を支援し、投票者にジェンダー平等についての市民教育を提供しています。また、ジェンダー平等の提唱者が政党や政府などに女性をエンパワーする上で役割を果たすよう求める支援もしています。さらに、ジェンダー平等を公共政策策定の中心に据えるために若い男性や女性に活動を促すイニシアティブもあります。UN Womenは、女性が投票者として、候補者として、議員として、さらには市民社会の一員として政治の場に公正にアクセスできるように、法や憲法の改正を行うことを提唱しています。また、国連の国別チームと協力し、市民社会と協働して選挙管理プログラムに取り組み、選挙に伴う暴力のない投票やキャンペーンができるなど、女性の権利を支援する選挙ができるように努めています。

 

また、UN Women 昨年の9月から行っている「HeForShe」というキャンペーンをご存知でしょうか?女性の参画・平等を進めるためには男性の理解と協力が必要ということで、女性の平等とジェンダーのエンパワーメントに賛同いただける男性を中心に署名を頂いて、その活動が今世界中で広がりを見せています。このキャンペーンを促進するために、今年の3月の世界経済会議ダボス会議でUN Womenが、10の国の元首、10の大学指導者、10のビジネス指導者、に参画を頂いて更に取り組みを進めていく「IMPACT 10×10×10(インパクト・テン・バイ・テン・バイ・テン)」というイニシアティブを発表しました。この取り組みに安倍総理に署名、参画いただいたという例がございますので、こういうところからさらに活動が広がっていけばいいと思っております。

また、政治関係とは別になるのですが、IMPACT 10×10×10に名古屋大学に参加いただきました。名古屋大学では学内だけではなく、政府ですとか民間の色々な関係者の方々と連携して女性の参画、エンパワーメントを進めてくださるとういことですので、非常に心強く感じておりますし、連携していければと思っております。

              

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   (左)UN Women 親善大使 エマ・ワトソン (右)HeforShe ロゴ

 

Q ビジネス界では、日本は女性のエンパワーメント原則(WEPs)に署名している企業の数はもっとも多い国ですね。企業トップのコミットメントが社内での施策であったり、女性の採用・昇進の等々につながればいいのですが。

 

A そうですね。WEPsは世界中のビジネスリーダーからも大きくご支持をいただいているツールです。2010年6月時点では署名数が39であったのに対し、2015年6月時点では全世界1,000を越える企業のトップの方からの署名が集まっています。これは企業活動やバリューチェーンにおいて女性の活躍を推進することが、企業にとっての利益となることを実感していただいていることの表れです。また、最近では、6月8日に開かれた2015年G7サミットの首脳宣言で、G7の元首がWEPsへの支持を表明し、7つの原則を企業活動に取り入れるよう要請しました。日本においても、UN WomenはWEPsに署名いただいた企業と協力し、関係をさらに強固なものにしていきたいと思っております。

 

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              根本かおる国連広報センター所長

 

今後の展望への意気込み

 

Q ジェンダーの問題は本当に各人一人ひとり意見を持っていて、様々な議論が巻き起こる問題だとは思いますけれども、国連という立場でそういったものを一手に引き受けられるということでどのような意気込みをもっていますか?

 

A 今まで外務省の中で色々な国の色々な人の考え方を聞いて、交渉・相談をして、できるだけ折り合えるところで合意していくような経験がありましたので、そういうものが活かせればといいと思います。

 

Q 福嶌さんが個人的な思いもあって、ぜひこれは力を入れてやりたい分野や取り組みはありますか?

 

A やはり日本にとってUN Women事務所が役立つ、つまりできてよかったと思って頂けるようにするのが一番なんですけれども、一つには、私自身も子どもを育てながら仕事を続けてきたこともありますし、たまたま二人とも娘ですので、そういう若い世代、若い女性にとって将来がより良いもの、つまり機会がある輝かしいものであってほしいなという個人的な願いもございます。

 

 

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オレンジ色にライトアップされる国際連合本部ビル(左)とエンパイア・ステート・ビルディング(右)

 

Q 今後企画・計画していらっしゃるイベントや取り組みはありますか?

 

A 8月30日に、文京シビックセンターにおいて、事務所の開所式を予定しております。これは、「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム World Assembly for Women in Tokyo: WAW! 2015」の会議が8月28日・29日に行われるのに続き、8月30日に予定しています。ムランボ=ヌクカUN Women事務局長はWAW!に加え、この開所式に出席します。秋は大学と共同してのシンポジウムですとか、女性に関する会議に出席させて頂いて、UN Womenの活動について報告させて頂くことを計画しております。そして、11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」はUN Womenにとって非常に重要な記念日です。毎年オレンジをテーマカラーに、12月10日の「人権デー」までの16日間を「性差別による暴力をなくすためのキャンペーン期間」(16 Days of Activism against Gender Violence)として、世界中でオレンジのライトアップイベントなど、様々なキャンペーンを行います。日本でもそれに倣って、女性に対する暴力撤廃について人々の関心を高めるために、何か企画できればと思っております。

                  

         

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