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「みんなで乗り越えよう、新型コロナパンデミック:私はこう考える」(27) 葛西健さん

国連諸機関の邦人職員幹部をはじめ、様々な分野で活躍する有識者を執筆陣に、日本がこのパンデミックという危機を乗り越え、よりよく復興することを願うエールを込めた新ブログシリーズ。第27回は、葛西健さん(WHO西太平洋地域事務局長)からの寄稿です。

 

COVID-19が変える未来

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2018年10月におこなわれたWHO西太平洋地域事務局長選挙において当選。それ以前は、旧厚生省(現厚生労働省)に入省後、岩手県高度救命救急センターにて勤務。その後、厚生省保健医療局結核感染症課国際感染症専門官、厚生労働省大臣官房国際課課長補佐、宮崎県福祉保健部次長等を歴任。感染症や健康危機管理の専門家としてのWHOでの勤務は15年以上にわたり、アジア太平洋地域の新興感染症への対応や感染症危機管理対策の枠組み構築などに尽力。2006年WHO西太平洋地域事務局感染症対策課長として着任後、同地域事務局健康危機管理部長を経て、2012年WHOベトナム代表に就任。同国における公衆衛生に対する多大な貢献が認められ、2014年ベトナム政府から「国民のための健康勲章」を受賞。その後、WHO西太平洋地域事務局次長兼事業統括部長を経て、現職に至る。慶應義塾大学医学部卒業後、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院で修士号を、岩手医科大学で医学博士を取得。©️ WHO/Takeshi Kasai


新年おめでとうございます。昨年は、想像を超える一年でした。スタッフとともに、全身全霊で対応にあたりましたが、それでも何度も悔しい思いを噛み締めました。この思いを大切に、2021年も全力を尽くします。皆様の健康を心より願っております。

COVID-19は、我々の社会を一変させました。世界中でSARS-CoV-2(COVID-19の原因ウイルス)に人々が感染し、本当に多くの方が命を失っています。ご家族にとっては永遠の一瞬であり、私が救急センターでレジデントをしていた際に救うことのできなかった命を前に味わった同じ思いを噛み締めています。COVID-19対策によって経済的困窮に陥った方々も多くいます。また、対策疲れで「前の生活に戻りたい」と切望されている方もいます。そして現場の医療関係者は、疲労困憊の状態です。その一方で、昨年1年間にこのウイルスを「収束」に向かわせるための、様々な知見が蓄積しました。ワクチンという重要なツールも驚異的な速度で開発が進んでいます。

しかし、あくまでもその鍵となるのは一人一人の社会を守るための行動と習慣であり、それをサポートする政府の政策であり、国際社会が一致団結してこのウイルスに立ち向かう連帯です。その意味では、社会の共感力が試されていると言えます。COVID-19は、保健医療に限らず社会の様々な問題を浮き彫りにしました。2021年は、COVID-19に対応する一方で、それらの課題の新しい解決策を模索するための、日本と世界の未来に大切な1年になると考えます。昨年1年間で経験したことを振り返りながら、今後の展望について考えたいと思います。

世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局とその政策ビジョン

西太平洋地域は、日本も含め、北はモンゴル、南はニュージーランド、東は仏領ポリネシア、西は中国と37の国と地域に世界の25%の人口が住む非常に広大で多様性に富んだ地域です。この地域は、急速な経済発展で豊かになる一方で、格差の拡大や医療費の増加、急速な都市化、人口の高齢化問題など、難しい課題に直面しています。高血圧や糖尿病といった生活習慣病も非常に早いペースで増えており、太平洋島嶼国では、生活習慣病と自然災害が発展を妨げる2大リスクとされています。


WHOは、歴史的な経緯もあり地域事務局長も加盟国の選挙で選ばれます。私は日本政府の推薦をいただいて2018年10月に開催された地域委員会での選挙に臨み、翌年の2月1日から今のポストに就いています。この地域の人々の健康と未来に責任があります。国連の専門機関としてWHO全体としての纏まりを保ちながら、一方で地域の実情に即した中長期的な視点が必要です。マニラの地域事務局本部と15の国事務所の約650名のスタッフを一つにまとめ、加盟国をサポートし、より健康で安全な地域を作ることを目標に掲げました。


就任後、加盟国、パートナー、そしてスタッフ全員とこの地域で取り組まなければならない課題について議論をかさね、
For the Future未来のために)という政策ビジョンを作成しました。社会がダイナミックかつ非常に早い速度で変化することから、日本でかつて提唱されたバックキャスティング/back casting(未来からの反射)という手法を採択し、またSDGsを念頭に、「薬剤耐性菌問題を含む健康危機管理」、「生活習慣病と高齢者問題」、「気候変動」、「Reaching the unreached(未到の人々に到達する)」の4つの課題に取り組み、望む未来を加盟国自らが描き自らの手で作ることを提唱しています。現場に出向き、そして人々の声を聴き、観察することで、それぞれが抱えている固有の事情が見えてきます。幸せには、共通項がありますが、貧困などの困難はそれぞれに抱えている事情が異なります。現場から物事を見つめ、考え、対応していくことを提唱する上でGrounds upという言葉も作りました。加盟国の承認も得て、「さあ、実行に移すぞ」と意気込んだところで、未来が向こうから駆け足でやってきてしまいました。

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記者会見でFor the Future(未来のために)という政策ビジョンについて語った ©️ WHO/Takeshi Kasai


COVID-19の始まり

2019年12月31日の夜、家族と日本に一時帰国し、くつろいでいた私のもとに次長から中国の武漢で原因不明の肺炎の集団発生が起きているとの連絡がありました。翌日の元旦にはマニラに戻り、そこから休むことなくスタッフとともにCOVID-19の対応にあたっています。感染症対策は、判断と決断の連続です。早期に情報が入れば入る程、不確実ななかでの判断と決断になります。そして、その決断は、人々の生活や経済に影響を及ぼす可能性があります。確実性を待っての判断では遅すぎます。皮肉なことに不確実ななかで、情報は山ほどあります。注意していないと混沌とした情報の海に溺れる危険性があります。求められる決断から逆算して必要なデーターを絞りこむことで、時期を逸せずに決断する、あるいは決断をサポートできるようすることが重要です。また、科学に関する情報は、誰が出しているかにあまり振り回されることなく、その中身を見極めることが重要です。

武漢からの第一報に接し、ただちに、リスクアセスメントのサイクルを回し始め、インフルエンザのパンデミックで準備していた 、「感染性」、「病原性」そして「インパクト」の3つを基軸に情報収集を行いました。例えば「感染性」は、動物ウイルスの人への感染、動物ウイルスの人から人への限定的な感染、動物ウイルスが変異を起こしウイルスが人から人への効率的な感染を起こしているという3つのシナリオについて判断するための情報収集を開始しました。1月20日には、現地にスタッフを派遣し実際に現場で何が起きているのか確認させています。これらは、これまで、毎年行ってきた新型インフルエンザパンデミックの演習で行なってきたことの実践です。震源地への適切な対応のためには流行が発生している国との信頼関係を維持する努力が必要です。一方で国境を超える可能性のある感染症で特定の国の意向に配慮することは大きなリスクを伴う行為です。現在、独立した委員会による評価が進められており、公平で客観的な評価と更なる向上のための勧告がなされることを期待しています。

 

WHO西太平洋地域における感染症への備え

私は、2003年のSARSベトナム事務所に勤務していた同僚を亡くしました。WHOの健康危機管理は、国際的な健康危機管理の法的枠組みである国際保健規則(IHR)に則って行われます。IHRは1969年に初めて採択され、その後幾度か改正を繰り返してきましたが、現行のIHRはまさに2003年のSARSの教訓を踏まえて改正されたものです。その改正IHRにおいて、各国には情報の共有と対応能力の強化が義務付けられました。西太平洋地域ではこの枠組みの下、アジア太平洋戦略(APSED:現在は第3版)を策定し、15年に渡って毎年進捗状況を各国保健省と一緒に確認し、新しいサーベイランスの開発導入など危機対応能力の向上に努めてきました。


SARSの教訓の一部は、ただちに改善できるものでしたが、その大半は新しくシステムを構築しなければならず、それには長期的な計画とそれを柔軟にかつ段階的に進めていくことが必要であることに気がつきました。そして、それを丹念にフォローアップすることが重要です。国連機関は、長期的視点で国造りをサポートできます。教訓をリストアップするだけでは、Lessons learnedではなくLessons identifiedだと スタッフには再三言って来ました。各国は、APSEDによって構築されたシステムをフルに活用してCOVID-19への対応を行なっています。

緊急事態宣言

2003年のSARSのもう一つの教訓は、WHO事務局長に緊急事態宣言の権限と責任を付与されたことです。ただし、それを出すにあたっては独立した委員会の助言を踏まえることとされています。IHRに基づき、事前に登録されたWHOとは独立した専門家による緊急会議が1月22日と23日に開催されました。患者が確認されていた中国、タイ、日本、韓国からの報告を受け、この未知の感染症の評価が行われましたが、緊急事態宣言を出すべきか否かで専門家の判断が両日にわたって丁度半々に分かれました。そして、10日以内に再度状況を評価することとされ、30日に再び召集され、今度は全会一致で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言すべきとの助言が事務局長に対してなされました。

パンデミックは、自然災害などでの対応のように特定の地域への支援ではなく、世界中で感染が発生する状況であり、世界中を結ぶとともに、すべての国が対応できるよう支援が必要です。我々は、同宣言を受けて、大規模市中感染への準備のスイッチを入れました。目の前のレスポンスだけでは、最悪の事態となった場合に備えることはできません。特に脆弱な国では流行状況に応じた段階を追った準備では、間に合いません。パンデミックの可能性のある感染症では、流行がすべての地域で起きることを想定し準備する必要があります。地方自治体が中央の支援を頼ることなく自力で対応する必要があります。現在も、目の前の事態に対応しつつ、一方で国事務所をレバレッジ・ポイントとしてその支援を続けています。

 
 西太平洋地域の対応

西太平洋地域では、緊急事態宣言が発出された翌日からすべての加盟国と定期的にビデオ会議を開催し、感染の状況と必要な支援についての情報交換を行なってきました。各国の対策の経験の共有は、他国の対策の強化に役立っており、日本の「三密」も紹介したところ、現在世界中で参考にされています。COVID-19は新しい病気です。常に新しい情報が寄せられます。ジュネーブの本部は、それを休むことなく分析し世界中の専門家をつないでガイドラインを発出してきました。西太平洋地域では、マニラの地域事務局と15の国事務所の危機管理チームが毎朝リスク評価の会議を行い、必要な対応について意思決定しています。そして、本部が作成したガイドラインを地域の国々の実情に即した形で適応し、検査体制やサーベイランスの構築、接触者の追跡と隔離といった公衆衛生対策、医療体制の整備、そして間違った情報の拡散への対応など国事務所を通じて各国を支援してきました。

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西太平洋地域の加盟国と頻繁にビデオ会議を重ねている ©️ WHO/Takeshi Kasai


効果的な支援を行うためには、各国との信頼関係が重要です。APSEDで築き上げてきた関係が役に立ちました。しかし、今回は、それに加えて科学的な判断と政治の決断という関係性に配慮しなければなりませんでした。感染症対策を実施するには、国民の政府に対する信頼が最も重要であり、WHOは「各国の文化や習慣に合わせた形で黒子に徹する」、一方で国が「間違った対策をとっている際には、立ち上がって指摘する」という方針で臨んできました。言うは易く行うは難しです。流行の早期には、各国の決断が後手に回ることが多く、正しくない決断をしてしまった国に於いて助言をする際に信頼関係を危うく損なう場面に何度か遭遇しました。いまでは、どのような状況が来てどのような判断を求められるかを事前に説明することで、その国の状況に適した正しい判断がなされるようサポートしています。

一方で、決断がなされずに状況だけが刻々と変化する、あるいは決断がなされても、それを実施に移すキャパシティがなく、現場力に頼ってしのいだ、あるいは運よく感染爆発を防げた場面が何度かありました。西太平洋地域のWHO国代表と話す機会があれば、是非聞いてみてください。彼ら、彼女たちがいかに厳しい場面を乗り越えてきたか聞けるはずです。信頼できるスタッフがマニラの地域事務局や国事務所にいて、本当に助けられています。

 

日本人スタッフの活躍

スタッフと言えば、今回の対応では、マニラの地域事務局本部と国事務所の日本人職員が大活躍しています。ベトナムラオスのチームリーダーは日本人です。また、地域全体のサーベイランスやワクチンの統括も日本人が務めています。さらに、今回は他部門からも優秀なスタッフに応援を頼みCOVID-19対応をとっていますが、高齢化問題やHIVの担当者もローテーションで地域全体の指揮をとってくれました。国事務所でも、日本人の保健医療システム、母子保健そして精神保健の専門家がそれぞれの専門性も活用しながら対応にあたってくれています。そして、マニラには直属で私を全力で支えてくれている職員がいます。

今回のCOVID-19は、すべてのスタッフにとって試練となっていますが、約束したことをきちんとこなすことで信頼される日本人職員の貢献は高い評価を受けています。それぞれ個性がありますが、皆人間として魅力あるスタッフです。残念ながらまだまだ数が少ないのが現状です。WHO本部事務局長補をご退官されてから中谷比呂樹先生が日本でグローバルヘルス人材戦略センター長として国連職員を増やすための活動をされています。こういった活動を通じて、さらに皆から頼りにされる日本人職員が増えることを願っています。

 

保健セクターを超えた保健対策

COVID-19の対応で明らかになったのは、このウイルスが社会の弱点を突いていくるということです。外国人労働者の職場や寮であったり、収容人数を大幅に超えた刑務所であったり、コミュニケーションの取りにくい少数民族が住む僻地であったり、安全な水などへのアクセスが悪く衛生環境が必ずしもよくない地域に大勢の人が住んでいる地域などにウイルスが入ると対策が非常に困難です。

保健部門を超えた対策が必要であり、保健部門がもっと積極的に他のセクターと連携することの重要性が、改めて浮き彫りになりました。これは、COVID-19だけでなく、生活習慣病や高齢化問題、気候変動などの問題に取り組むうえでも不可欠です。今後は、他の国連機関に勤務される方との連携をもっと積極的に進めたいと考えています。

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ベトナム北部のカオバン州にて、地元の女性たちと © WHO(COVID-19発生以前に撮影)


COVID-19は今後どうなるのか

残念ながら、このブログを執筆している2020年の年末時点ではウイルスの流行が収束する兆候はありません。世界のどこかで、流行が続く限りは、どの国も安全ではありません。我々は、このウイルスが、世界の最も弱い部分に入ることを最も恐れています。それは、我々の地域では、南太平洋島嶼国です。感染拡大を抑えている国でも、検査対象を拡充し追跡調査すると国内でウイルスが見つかっています。このウイルスは、症状がない時点でも感染を起こすという厄介な性質を持っています。今後も、感染は続きます。経済活動を再開する一方で、医療サービスを崩壊させないようにすることが重要であり、感染者数の増加がある度に、それを早期に捕捉し抑え込むという「増加と抑制」を繰り返すことになると考えています。

このウイルスには未知の部分が多くあります。それでもこの一年多くのことが分ってきました。中国の研究者による遺伝子解析とその情報共有から一年という驚異的なスピードでワクチンが開発されています。今も、ワクチンだけでなく、診断や治療薬を含め、世界中の研究者が、この問題に取り組んでいます。感謝と称賛の一言です。今年一年も更に多くのことがわかる筈です。

その一方で、この感染症の本質は人から人への感染を起こすウイルスであり、人々の行動によって未来を変えることができます。一人一人が、家族や地域に住むハイリスクの人々や地域の医療機関を守るために行動を取れるか、そして対策によって生活が脅かされる人々を政府が守ることができるか、そして国際社会が、支援を必要とする国を守ることができるか、個人と国の関係が、そして国際社会の役割が改めて問われています。共感力と行動が必要です。COVID-19のワクチン接種は、まさにその試金石であり、ハイリスク者の割合が著しく高い南太平洋島嶼国へのワクチン確保が喫緊の課題です。

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キリバスのような島嶼国は、気候変動による自然災害などの対応とともにCOVID-19の対応をとっている © WHO(COVID-19発生以前に撮影)


未来を想像し創る

2021年がスタートしました。昨年1年間COVID-19との対応に文字通り明け暮れました。「健康危機管理」は、今後取り組むべき4つの未来の課題の一つのはずでした。その未来が「向こうから駆け足でやってきた」と感じています。COVID-19は、健康と経済や人々の生活が密接に関係していることを世界の人々に再認識させました。感染症対策か経済かという設問は、正しくありません。その両立を目指す「新しい生活」を、積極的に追求することが重要です。それが容易でないことは明らかですが、その先には、未来が待っています。

COVID-19によって、世界は様々な課題に直面しました。それは、保健医療分野に限らず、経済、環境、社会や人々の生活、そして国際関係など多くの分野にまたがります。実は、その多くはCOVID-19以前から存在していたものが、COVID-19によって浮き彫りにされた、あるいは増幅されたものだと考えています。その課題から目を背けることなく、技術革新や生活の変化も含めCOVID-19がもたらした環境を積極的に捉え新しい解決策を模索し、希望を持って未来を創るという姿勢が大切だと考えています。SDGsに真摯に向き合うチャンスです。

COVID-19下の新しい生活として、病気になってから医療機関にかかるのではなく、健康でいることに重点を移し、一人ひとりが自分のためだけではなく周囲の人を守るという目的意識を持って感染のリスクを下げる行動を身につけたとき、それは、まさにFor the futureの中で目指していた持続可能な社会実現への大切な一歩となるはずです。健康は社会全体の資源であり個人の努力とそれを支えるための環境への投資が必要です。日本が早期に達成し世界でリーダーシップを発揮しているユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)のイニシアティブで推進してきた概念とも合致します。すべての人の健康は平和と安全の礎です。人々が望む将来を考えた時、COVID-19下で作る新しい生活は、未来への大切な踏み台になるはずです。

未来を予測することは誰にもできません。しかし、未来を想像し創ることはできます。日本を離れてすでに20年近くなりますが、日本の現場力に何度目を見張らされたかわかりません。COVID-19で浮かび上がった課題に真摯に取り組むことは、日本の未来を作ることでもあります。そして、その中から新しいリーダーが生まれるはずです。そして日本の皆さんが、COVID-19によって浮き彫りになった課題に取り組み、その解決策を見出した時、その経験と技術は世界にとって貴重な財産になるはずです。

終わりに

昨年1年間、日本でグローバルヘルスに関与されている本当に多くの方からご支援をいただきました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。照る日もあれば曇る日もあります。WHOスタッフを含め多くの人にとって、COVID-19は大きな試練であることは間違いありません、しかし、この試練を乗り越えた時、スタッフがCOVID-19に遭遇したことは自分の人生に意味あるものだったと感じてくれるような1年間にしたいと思います。

簡単でないことは重々承知していますが、お互い、健康と安全に気をつけ希望を持って頑張りましょう! 

 

フィリピン・マニラにて

葛西 健