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地雷に関する啓発及び地雷除去支援のための国際デー(4月4日)に寄せて

~地雷のない世界を目指して、南スーダンより~

4月4日は「地雷に関する啓発及び地雷除去支援のための国際デー 」です。国連PKO局地雷対策サービス部(UNMAS)は、地雷・不発弾等への理解と関心を深め、爆発物除去への支援を求めるために呼びかけを行っています。

この国際デーという機会を捉え、UNMAS南スーダン事務所より、同国における地雷・不発弾等の影響や、UNMASの活動についてご紹介します。

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スーダンは2011年7月11日に独立した、世界で一番新しい国です(2014年4月現在)。独立までには1983年から2005年まで続いた南北スーダンの長い紛争の歴史があり、地雷やクラスター爆弾などが多く使われました。

残った地雷や不発弾は、今なお人々の生活を脅かし、独立後の復興にとって大きな障害となっています。また、昨年12月中旬に発生した国内での大規模紛争では、さらに多くの不発弾等が残され、状況を一層困難にしています。

UNMAS南スーダン事務所は同国独立以降、52,000個以上の爆発物を処理し、5,700万平方メートルの土地で除去作業を行っています。3,000km以上の道路の安全確保を行い、64万人以上に対して危険回避教育を実施しています。 現在も、連日40℃近い暑さの中、過去の紛争で残された爆発物の脅威を取り除くべく、居住地域やマーケットなど人口が密集している地域において、41チームが爆発物除去作業や危険回避教育を継続しています。

 

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昨年の紛争以降、国連の敷地内には、保護を求めて数万人の人々が今なお避難しています。UNMASは敷地内に爆発物がないか確認作業を行っており、武器等の危険物が持ち込まれていないか確認するため、爆発物探知犬も活躍しています。

 

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また、人道支援関係者が水や食料、医療支援を必要としている人々に届けられるよう道路の安全を確保し、国連平和維持活動のためにジュバに展開している陸上自衛隊派遣施設隊の活動の支援も行っています。

 

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UNMAS南スーダン事務所は、地雷対策支援グループ(地雷対策活動を支援するドナー国により組織されるグループ)の議長国である日本とも緊密な協力関係にあります。日本からは2012年度以降、合計750万ドルの資金協力を得ており、これらの支援は、除去活動、危険回避教育のほか、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣されている陸上自衛隊派遣施設隊のPKOの活動に対する支援にも当てられています。

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最後に、UNMAS南スーダン事務所で活躍する吉岡由美子さんからのメッセージをご紹介します。

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スーダンは、1年の大半が40℃近い灼熱の環境にあります。そんな中、現場の作業員達は約10キロの防護服を身に着け、極度の緊張の中で自らの命や肢体を危険にさらし、地雷や不発弾の除去作業を行っています。

地雷・不発弾の除去、というと「ハート・ロッカー」(2009年に公開されたイラクにおける米軍の爆発物処理班の活動を描いた映画)のような派手な爆発物処理シーンを思い浮かべる方々も多いかもしれませんが、実際には非常に地道で、気の遠くなるような作業の連続です。

 UNMAS南スーダン事務所に赴任して、1年が経ちました。ここ、南スーダンの首都、ジュバでの生活は日本での生活とはかけ離れたもので、時として困難なこともあります。コンテナの中で寝泊まりして生活し、同様にコンテナの職場で仕事をしています。気温40℃の中で停電すれば、あっと言う間に気温があがり、コンテナの中は耐え難い気温になります。雨季には激しい雨が降り、事務所周辺はすねの辺りまで水が溜まることもあり、事務所から住居コンテナに戻るのに長靴が必要なこともあります。

 

昨年12月に発生した国内での大規模紛争の際には、治安情勢の悪化を受けて、一時退避を余儀なくされたこともありました。それでも、我々の仕事により、人々が爆発物の脅威から解放され、難民達が故郷へ戻り、子供達が学校へ戻り、遊びたい場所で好きなだけ遊び、農地が再び耕畜され、家畜が放牧され、ひいては道路や建設物といったインフラ整備が可能となり、結果として経済開発の礎となる。そんな風景を目にすると、「あぁ、私達の仕事は平和への道を開けることに少なからず貢献しているのだな」、と思えるのです。』

 

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