国連広報センター ブログ

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日本の若手気候チャンピオン:ユース気候サミットから

2019年9月21日に、国連が気候変動対策だけにテーマを絞った若者による初のサミット「国連ユース気候サミット」が、9月23日の国連気候行動サミットの直前に開催されました。

ユース気候サミットには、全世界の18歳から29歳までの7000人を超える応募者の中から選ばれた100人の優秀な若手気候チャンピオンが、気候危機への取り組みと解決策の推進に対して示した熱意に基づき、「グリーン・チケット」獲得者として選ばれました。

100人のグリーン・チケット獲得者の一人、日本の佐藤真弓さんは、アジア太平洋地域の内外において、ジェンダーの問題や気候変動の社会的影響に取り組み、研究と啓発イニシアチブをリードしてきました。

佐藤さんが今回のユース気候サミットに参加して感じたことをお伝えします。

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グリーン・チケット獲得者の一人、日本の佐藤真弓さん

~グローバルな結束の呼びかけ~

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@UNIC Tokyo

2019年9月に、気候危機に対する自分たちの懸念を表明するための機会を求めて、何百人もの若者がニューヨークの国連本部前に結集しました。世界中の若手の活動家・学生・起業家・研究者が、新たな気候行動の運動を活発化するために国連ユース気候サミットに集まったのです。

多くのメディアが熱心に会場の外でサミットを取材していましたが、真に白熱していたことは会場内で起きていました。ポーランドやインドなど世界のあらゆる国々から集まった若者は、データストレージやメディア活用などテクノロジーによる気候変動の解決策を提示しました。また東南アジア出身の若手活動家は、若い女性たちが気候変動対策で果たす役割の重要性を強調しました。さらに島嶼国出身の若者たちは、気候危機によって島嶼国が被っている影響の不公平さを訴え、国際的な結束を呼び掛けました。

国連総会の期間中、各国のリーダーたちが自国の気候変動対策について話す一方で、若手リーダーたちは危機に対処するために必要な国と国、また人と人との協力について語っていました。この事はまさに、非協調性と怠慢が深刻な影響をもたらすとの理解の下、地政学的な境界や国家間の政治的な関係を超えた視点を持つという、若者主導の気候変動対策の特徴を表しています。

今回のサミットに参加して、私は気候危機に向けた解決策とは、一直線状ではないと気づきました。自然に基づいた解決策、フェミニストのリーダーシップ、スポーツとエンターテインメント、草の根運動、政治的アドボカシーなど、若者たちが気候正義への賛同を集める気候変動対策は、多面的で重なり合う部分を持っていました。また、こうしたアプローチは、人種差別主義や階級主義、年齢差別、ジェンダー不平等など、気候変動によって悪影響を受け、私たちの社会を蝕んでいる構造的な問題を解きほぐすことができると感じます。

これからの時代には、何が求められているのでしょうか?若者たちは、世界のリーダーや研究者、政治家に気候行動の最前線に立つ若者たちの声に耳を傾けるように求めてきました。気候行動は、一時的に着目されている事柄でも、開発用語集の「注目の話題」のようなものでもないことを明確にしてきました。これ以上の無視や裏切り、怠慢は許されず、若者は気候変動対策の道を率いているのです。