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国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

開発の下で揺れる人権と法律のあり方 ~「ガールズデー・国連デー・人権デー・国際家族農業年記念 特別上映会シリーズ ~ドキュメンタリーから開発アジェンダを考える~」にインターンとして参加して~

イベント 国連広報センターの活動

「本当に人の権利を守るための法律の運用とは何か」
日常生活の中で、このような疑問を意識することは少ないでしょう。
しかし、昨年12月7日に国連広報センターと中央大学が開催したイベントは、参加者に上記の疑問を強く投げかけるものでした。

ドキュメンタリーとパネルディスカッションを通して国際的な問題について考える今回のイベント。今回上映されたドキュメンタリーは、アフリカ・マリ共和国で開始した大規模な開発計画とその開発計画の下で揺れ動く人々の想いや衝突を描きだす、『収穫は誰のもの?』です。

 


Land Rush - Why Poverty? - YouTube

 

開発、食糧安全保障、人権など、イベントに関する多様な論点の中で、今回特に注目したいのが、「土地と人権」というトピックです。

ドキュメンタリーの中では、開発計画推進派と農民の間の土地をめぐる衝突が描かれています。土地にまつわる権利がここまで大きな問題となるのは、長い時間をかけて築いた慣習の中で、人々が土地に食糧の源泉以上の意味を見出しているためでしょう。

しかし、人々が自己の「権利」に気づくのは、簡単なことではありません。マリ共和国の農民たちも、開発計画のために土地を手放す選択を迫られて初めて、権利の重要性を深く認識したのではないでしょうか。

 

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パネルディスカッションで司会を務めた国連広報センターの根本かおる所長(写真左)とパネリストとして参加した法務省の岡村和美 人権擁護局長(写真右)。岡村人権擁護局長は、「自らの人権は基本的に自分で決めるべき」、と人権の自覚の重要性を語った。

 

一方、ドキュメンタリー中の土地開発者と農民のように、自己の権利の主張は、時として他人の権利との衝突を生み出すことにもなり得ます。複数の権利の間で衝突が生じたとき、どの権利を優先すればよいのでしょうか。

 

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アフリカ日本協議会の津山直子代表理事(写真左)、中央大学大学院経済学研究科博士後期課程の森 朋也さん。(写真右)。それぞれの立場から、現場を知ることの大切さを強調した。

 

ここで思い出されるのが、アフリカ日本協議会の津山直子代表理事の、土地の収奪というと「人々の暮らしを破壊するという意味での暴力を感じる」という言葉です。人に豊かさをもたらすはずの「開発」が、他人の権利を侵害する「暴力」となってはなりません。

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ビデオ・メッセージで参加した国連食糧農業機関(FAO)日本事務所のムブリ・チャールズ・ボリコ所長。コンゴ民主共和国出身のボリコさんは、アフリカの問題を「遠い国の問題思わないでください」と会場に強いメッセージを投げかけた。

 

今回のマリ共和国のようなケースでは、法に「従う」だけでなく、実情に合わせた解決が求められるはずです。人々が築いてきた慣習を前に、法律に「従う」だけでなく、実情に即した法律の運用はどのように実施されるべきなのでしょうか。人の生活を豊かにする開発と人の権利を守る法律。今回のイベントは、「開発」という視点から、規定するだけでは終わらない法律の運用の難しさを感じさせるものでした。

 

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最後にパネリスト、中央大学の石井 靖理工学部長、加藤俊一教授、一般財団法人CSOネットワークの黒田かをり事務局長・理事、根本かおる所長で記念撮影。