国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

女性のエンパワーメントが世界を変える (1)

 

    地雷対策の世界で働く女性達

~Women in Mine Action、 安全と安心を届けるために~

 

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          UNMAS南スーダン事務所 吉岡由美子職員

             (写真上:国連のヘリの中で撮影、耳当ては騒音防止用)

 

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UNMAS (United Nations Mine Action Service)、国連地雷対策サービス(以下、UNMAS)、という組織をご存じでしょうか。Mine(地雷)という名前から、紛争等で残された地雷の除去作業を行う組織を想像される方が多いのではないかと思います。また米国の映画『ハートロッカー』(2008年に公開されたイラクにおける米軍の爆発物処理班の活動を描いた映画)のように、屈強な男性達が頑丈な防護服を付けて極度の緊張感の中で、派手な爆破シーンを伴う爆弾処理を行っている、というイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思います。そうして、業務の性質上、男性社会なのだろうな、と想像される方も多いのではないでしょうか。

 

私自身も、UNMASで仕事を始めるまではそうでした。しかし、実際にUNMASに勤務してみて、その仕事が地雷や不発弾等の処理のみではなく、危険回避教育や、被害者支援、啓発活動、関係機関のキャパシティ・ビルディング等の多岐にわたること、また、こういった活動の中で、女性達がごく自然に仕事をしているのを多く見てきました。今日は、UNMASで働くそういった女性達について紹介してみたいと思います。

        

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                                 女性の地雷・不発弾除去作業員、ジュワ

                  写真提供:UNMAS/マルコ・グロブ

 

現在、私が勤務する南スーダンでは過去数十年に亘る紛争で、多くの地雷や爆発物が残され、残念ながら現在も爆発物による事故が発生しています。事故が発生するとその連絡がUNMASの現地事務所に入りますが、この際、被害者の方に当時の状況について聞き取り調査を行います。これを担当しているのは同僚の南スーダン人の女性職員です。被害者の方が自分の身に起こった理不尽な出来事に対する怒りや悲しみから、精神的に大変苦しい状況にあるのは容易に想像できるかと思います。彼女は、被害を受けた方の気持ちを察し、彼らに寄り添い、穏やかに辛抱強く彼らの話を聞きます。また、今後、どのように彼らが社会復帰できるのかについても考え被害者支援のプロジェクトにも携わります。          

   

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             人々に寄り添いながら支援する被害者支援担当官

                      写真提供:UNMAS

 

ある国際NGOパートナーで、危険回避教育を行うデンマークの女性は、子ども達の興味を引くような工夫をし彼らを楽しませながら、爆発性危険物を見つけた際にどうしたらよいのかを、とても分かりやすいメッセージで教えています。南スーダンのUNMAS事務所では、危険地域を示す地図を作ったり、爆発物に関するデータ収集を専門としたりする南スーダン人の女性もいます。また、訓練を受けて実際に地雷や不発弾除去作業に携わる女性達もいます。

 

先日、南スーダン人の男性の同僚と話をしていたところ、UNMASでは旧スーダンの時代から(南スーダンは2011年7月にスーダンから独立。UNMASは2005年にスーダン首都ハルツームに事務所を構え、後に独立することになる南部スーダンを含むスーダンでの活動を開始)、女性が活躍し重要な役割を果たしていたと聞きました。スーダンの時代、初の被害者支援担当官は女性だったそうです。また、2007年頃には、MRE (Mine Risk Education) Coffeeという試みがあり、担当官が地域の女性達と一緒にコーヒーを飲みながら危険回避教育を行い、大変好評だったそうです。このようにUNMASでは、10年近くも前から女性達が「人々を地雷や不発弾の脅威から守りたい」、という強い気持ちを持って仕事をしています。

 

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           地元の女性に危険回避教育を行なうUNMASの担当官(左)

                      写真提供:UNMAS

 

私もUNMASでの勤務を通じて地雷対策の分野で仕事をする女性の一人です。日本の皆様や日本政府からは2012年以降、南スーダンでの活動のために、1,000万ドルのご支援を頂いています。このご支援により、人々を爆発物の脅威から守るため、40度近い暑さの中、現場の作業員が10キロ以上の防護服を付け、自分達の身を危険にさらし、地雷や不発弾等の戦争残留物を取り除き、人々に対しては危険回避教育が行われました。その結果、地域の人々が安全に生活できるようになり、子ども達が学校に通えるようになり、再び畑を耕せるようになり、人道支援を必要としている人に支援を届けられるようになりました。現在私は、こういったプロジェクトの管理や国連組織、人道支援機関等との調整なども担当しています。また、ご存じのように、南スーダンには陸上自衛隊の施設隊が国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)のPKO活動の一環として、建設作業等に従事しています。その際、施設隊が安全に作業を行えるようUNMASが安全確認作業等を行うのですが、この調整にも当たっています。

 

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            UNMASと協力し、UNMISSの活動に従事する陸上自衛隊隊員

                                  写真提供:UN Photo、スタトン・ウィンター

 

UNMASの仕事は人間が自分達のエゴによって残した地雷や不発弾という負の遺産を取り除き、人間が作り出したマイナスの状況を「ゼロ」の状態に戻し、人々に安全と安心を届ける仕事です。困難な仕事ではありますが、そういった中で、今日も、強い信念を持った女性達が(もちろん、男性達も!)、少しでも多くの人達に安全と安心を届けるべく、活動を行っています。

 

※南スーダンで地雷・不発弾の除去作業に当たる女性の動画

https://www.youtube.com/watch?v=M71f652Yxvg (日本語)

 

UNMASホームページ:www.unmas.org

UNMAS南スーダンホームページ:http://www.unmas.org/southsudan/

UNMASフェイスブックhttps://www.facebook.com/UnitedNationsMineActionService?ref=nf