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法政大学で「国連ピース・サークル」開催~"誰一人取り残さない平和"を私たちはどう実践するのか?~

 若者が中心となり、平和や地球規模の課題について対話し、ともに考える国連の「ピース・サークル」が5月23日、法政大学で開催されました。高校生や大学生など約70人が参加し、「"誰一人取り残さない平和"を私たちはどう実践するのか?」をテーマに議論しました。対話の成果は、9月に発表予定の『若者の平和への貢献に関する国連事務総長の報告書』に盛り込まれます。

法政大学で開催された「国連ピース・サークル」ⒸUNIC Tokyo

 ピース・サークルは、若者・平和・安全保障に関する国連のキャンペーン「Hear Us. Act Now for a Peaceful World (私たちの声を聞いて。平和な世界のために今すぐ行動を)」 の中心として、国連が世界各地で展開するグローバルな取り組みです。2026年5月現在、60カ国以上で約200のピース・サークルが開催されています。

 日本にいると実感しにくいものの、世界では人口の半数以上が30歳未満とされ、若者が多数を占めています。国連が提唱する「若者・平和・安全保障(YPS)」アジェンダは、若者を平和の担い手として位置づけ、その声を政策や意思決定に反映させる仕組みづくりを重視しており、若者の「意味ある参加」が必要とされています。

 はじめに、今回のピース・サークルを後援した国連広報センターの根本かおる所長が登壇。その週に日本を訪問していたアントニオ・グテーレス国連事務総長がシンポジウムで中東危機に関する学生からの質問に対して、丁寧に回答した場面を紹介しながら、「事務総長をはじめ、国連全体にとって、若者との対話は非常に重要な課題です」と強調しました。

若者との対話の重要性について語る国連広報センターの根本かおる所長ⒸUNIC Tokyo

 また、5月22日に閉幕した核不拡散条約(NPT)再検討会議で、締約国間の対立が解けず、過去2回に続き、今回も成果文書を採択できなかったことにも言及しつつ、「国連史上最多の数の紛争が起きている中、自分の立場にあまり拘らずに、オープンな気持ちでしなやかに議論に参画できる若者の力が今こそ必要とされています」と話しました。

 ピース・サークルの展開にあたり、国連広報センターと連携する一般社団法人かたわら代表理事の高橋悠太さんは、この日の議論のきっかけとして、核兵器の脅威を感性で知るためのアクティビティを実施。参加者に目を閉じてもらい、世界の核兵器の数と同じ約1万2000発のBB弾が立てる音を流し、そこから何を感じたかを話し合ってもらいました。

約1万2000発のBB弾の音を通じて、世界の核兵器の状況について考えてもらうアクティビティ ⒸUNIC Tokyo

 過去には、このアクティビティに参加した中学生から「こんなに沢山あって安全に管理できるの?」という疑問が出たことも紹介。その疑問がAIと核兵器を巡る問題の議論につながったといいます。活動では、「どうやって問いを引き出すか」が重要だとして、続く議論への期待を込めました。

 この日の対話のルールとして、参加者の意見を最後まで聴き、異なる意見を尊重し、多様な意見を歓迎することを共有。また、年齢や所属に関係なく自由に発言でき、発表でも自由にできるが、誰がその意見を述べたかは明かさない「チャダムハウスルール」についても共有しました。

発表用紙にアイデアを書き込む参加者ら ⒸUNIC Tokyo

 議論ではまず、「わたしにとっての平和」がどんな状態かを話し合い、対話の土台づくりを行いました。次に、「誰一人取り残さない」とは、どんな状態を指すのか、誰が取り残されていると感じるのかを話し合うことで視点を共有し、「何故その状況が生まれているのか」という要因を深堀りしました。最後に、「日常でできる行動」について考えることで、明日からできる一歩について話し合いました。

お互いの意見に耳を傾け合う参加者ら ⒸUNIC Tokyo

 この日は、事前アンケートにより、参加者それぞれがSDGsのどのゴールに関心を持っているかをつかみ、その関心に合わせて、「貧困・飢餓」「ヘルス」「教育」「ジェンダー、不平等」「環境・産業・労働」「平和と公正」とそれぞれ数人のグループに分かれ、異なる分野から「平和」への道筋について、議論しました。約1時間にわたって、話し合いを重ね、各グループの発表用紙には、色とりどりのペンで記されたキーワードやイラストが加わり、それぞれのグループの特徴が出た発表につながりました。

教育をテーマに発表を行うグループ ⒸUNIC Tokyo

 様々な関心分野がある中、共通のキーワードとして挙げられたのは「知る」「気付く」です。不平等な貿易システム、水不足、教育格差など、異なる課題に対して、「まずは状況を知ってもらうことが重要だ」とする意見が挙げられました。そのための手段として、ピース・サークルで学んだことを家族や友人、周りの人と共有する、SNSを通じて発信するといったアイデアも多く寄せられました。「解決策を考える人が少しでも増えることが解決の一歩」という声もありました。

平和と公正をテーマに発表を行うグループ ⒸUNIC Tokyo

 また、「自分のバイアスと向き合う」という意見も上がりました。特にSNSで見ているコンテンツには、自分の好きなこと、関心に支配されている側面があるとして、その状況に自覚的になる重要性が指摘されました。 

 平和がどんな状態か、という点について、「平和でない状態は戦争がないことだけではない」として、平和には複数の側面があるという意見が挙げられました。誰も取り残されない状態について、「誰もが意見を言えること」「当事者の声が届く環境」という考え方も共有されました。

 2時間以上に及ぶピース・サークルの終了後、国連広報センターの根本かおる所長は、「女性が参画した和平交渉は15年もつ可能性が35%増加する」というデータなどを紹介し、「多くのグループの人たちに当事者として平和を考える場に関わってもらうことが、大きなインパクトをもたらします」と白熱した議論を称えました。

一般社団法人かたわら代表理事の高橋悠太さんⒸUNIC Tokyo

 一般社団法人かたわら代表理事の高橋悠太さんは、議論の成果を実現させるため、自身が多国間会合でその想いを伝えることができると話しました。そのうえで、『若者の平和への貢献に関する国連事務総長の報告書』が出た後には、大学や地方自治体などそれぞれのコミュニティに対して提示していくことが重要と呼びかけました。

 今回のピース・サークル開催に尽力された法政大学の本多美樹教授は、あっという間の3時間を振り返り、「問題意識はあっても一歩踏み出せない人も多い中、皆さんはアクションを取って参加されました」と強調。そのうえで、「明日からも問題意識を持ち続けて、個々人のコミュニティで平和のリーダーシップを取れるようになってほしい」と力を込めました。

ピース・サークル終了後の集合写真 ⒸUNIC Tokyo


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