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若者の声が未来を動かす:横浜市で「国連ピース・サークル」開催

 若者がリードする対話と行動のための国連の「ピース・サークル」が3月8日、日本の自治体が主催するものとしては初めて、横浜市によって開催されました。市内外から中高生や大学生など約70人が参加し、持続可能な社会と平和の実現に向けて、議論しました。対話の成果は、2026年9月に発表予定の『若者の平和への貢献に関する国連事務総長の報告書』に盛り込まれます。

日本の自治体が主催するものとしては初めて開催された「横浜ピース・サークル」
ⒸUNIC Tokyo

 ピース・サークルは、若者・平和・安全保障に関する国連のキャンペーン「Hear Us. Act Now for a Peaceful World (私たちの声を聞いて。平和な世界のために今すぐ行動を)」 の中心として、国連が世界各地で展開するグローバルな取り組みです。これまでに、米国、ヨルダン、メキシコ、ホンジュラス、コロンビア、シリア、タンザニアで実施。今後は、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、インドでも実施する予定です。

 議論の前には、「横浜ピース・サークル」を後援した国連広報センターの根本かおる所長が登壇。「世界で史上最多の数の紛争が起こり、イランをはじめ中東で戦火が広がる中、よりオープンなマインドセットでつながれる若者の力が必要です」と訴えました。

 ピース・サークルの展開にあたり、国連広報センターと連携する一般社団法人かたわら代表理事の高橋悠太さんは、核兵器廃絶に向けた自身の取り組みを紹介した後に、「環境と平和について話し合うことが、信頼を築く装置になります」と説明しました。国連本部でフェリペ・ポーリエ ユース担当国連事務次長補と言葉を交わす中で彼から伝えられた「若者には、硬直化した議論をかきまわすことができる」という言葉も紹介しました。

議論を進めるうえでのポイントを説明するNPO法人 Forum2050の戸田隆夫代表
ⒸUNIC Tokyo

 この日は、NPO法人 Forum2050の戸田隆夫代表がファシリテーターを務め、まず議論の前提として、必ずしも意見をまとめなくても良いということを共有しました。そのうえで、色々な人の立場に立って世界を想像し、自分の実際の行動にもつながる思いを声にしてほしい、と伝えました。また、様々な問題に共通する処方箋を考える際、希望を切り口とする方法もあること、「For all(皆のために)」に加えて、「By all(皆の力で)」問題を解決していくことが重要だと説明しました。

さまざまな視点からアイデアが集まる「ピースサークルボード」ⒸUNIC Tokyo

 議論のテーマは、「サステナブルなグリーン社会と平和の実現」。5~6人のグループに分かれ、SDGsのアイコンの円形の「ピースサークルボード」を5-6人のチームの膝の上にのせてアイデアを出し合いました。留学生も多く参加し、時には英語を交えながら、約1時間にわたって議論が進行。その後各グループが、アイデアの詰まった付箋でいっぱいになった円形ボードを持って、発表を行いました。

環境教育の重要性について説明をするグループ ⒸUNIC Tokyo

 そこで、キーワードとなった言葉の一つは、「教育」です。「知らないことは行動に移せない」と前置きをしたうえで、環境や平和に関する実践的な教育を早期から行うことの重要性が共有されました。海外の状況や事例を知るための留学に対する支援というアイデアや、「平和」と「日常の充実」の相互関係について考える意義なども挙げられました。

 「楽しむ」という言葉も、多くのグループから寄せられました。平和や環境など複雑な問題を解決するためには、それまで関心を持っていなかった人を巻き込むことが必要となり、ポジティブな気持ちで続けられる仕掛けづくりが重要だという意見です。ゴミをゴミ箱に捨てると音が鳴るといった技術の活用や、環境に関する取り組みにポイントに換算するシステムなど、様々な具体案が寄せられました。中には、平和や環境専用のネット掲示板をつくるなど、ユニークな意見もありました。

グループの一人ひとりの視点が紹介される発表の様子 ⒸUNIC Tokyo

 グローバルな視点での議論が進んだ一方で、地域に根差した取り組みについても多くの意見が寄せられました。「地域の人々の声に耳を傾けて意見を届ける」、「SNSで地域のために取り組んだことを発信する」など、前向きなアイデアが集まり、ピース・サークルも、身近なコミュニティで開いてみたいという声も聞かれました。

 この他にも、「熟議民主主義」「循環型経済」「話しやすい空気づくり」など様々な考えが挙げられました。全グループの発表が終了した後も、「まだ言い足りない意見がある」と次々と手が上がり、未来を担うユースの熱量の高さが感じられました。

ユースへの期待を伝える国連広報センターの根本かおる所長 ⒸUNIC Tokyo

 終了後、国連広報センターの根本かおる所長は、「世界人口の半分は30歳未満」だと説明したうえで、「皆さんこそが、世界を、そして社会を動かしていく原動力になります。この議論を今日だけのものにするのではなく、続けていってください」とエールを送りました。

一般社団法人かたわら代表理事の高橋悠太さんⒸUNIC Tokyo

 一般社団法人かたわら代表理事の高橋悠太さんは、「次は皆さんが主催者となってピース・サークルを是非やってほしいです。今日出てきたアイデアを皆さんと一緒に、本当に形にしていきましょう」と呼びかけました。

  横浜市は1987年に国連からピースメッセンジャー都市の称号を授与され、国際平和に寄与する取組を続けてきました。2027年には、横浜市内で GREEN×EXPO(国際園芸博覧会)が開催予定で、世界に向けた平和のメッセージの発信を推進しています。

市内外から約70人が参加した「横浜ピース・サークル」での集合写真 ⒸUNIC Tokyo

横浜ピース・サークルについてまとめた国連本部の記事はこちら(英語)

https://www.un.org/en/peaceandsecurity/hear-us/peace-circles/yokohama-peace-circle