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「持続可能な開発目標(SDGs)学生フォトコンテスト2018」受賞者へのインターン・インタビュー[第2回]

 

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表彰式に出席した14名の受賞者を囲んで、協力して下さった方々と。

今年の国連デー(10月24日)に、国連広報センターと上智大学が主催する「撮ってみよう!身近で見つけた日本のSDGs」学生フォトコンテストの授賞式が行われました。

 

授賞式後に、私たち国連広報センターのインターン5名(王郁涵、倉島美保、河野賢太、Jeremy Luna、大上実)が受賞者12名にインタビューを行い、写真に込めたメッセージや選んだSDGsに対する思いなどを聞き取りました。第2回となるインタビューでは、優秀賞を受賞した阪元 周(さかもと あまね)さんと久保田 友宏(くぼた ともひろ)さん、入賞の桑原 豊(くわはら ゆたか)さんと池田匠(いけだ たくみ)さんの4名を紹介します。

 

SDGs学生フォトコンテスト2018 本シリーズ

第1回はこちら

第3回はこちら

番外編はこちら

 

優秀賞「明暗」 阪元 周(Amane Sakamoto)

都立武蔵高校2年

 

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東京都庁付近の高架下。大通りのすぐ脇にはホームレスの人たちの生活の場が密集している」

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阪元さん まずSDGsに興味を持ったきっかけですが、私の高校(武蔵高校)がグローバルな教育、具体的に言うと、世界の課題について考える機会を提供していたため、SDGsには以前から関心を持っていました。

 

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阪元さん(左)とプレゼンターの上智大学の曄道学長@授賞式

今回の作品を撮影したきっかけは、ある「ギャップ」を感じたことが発端でした。

新宿の街を歩いていた際、路上で寝ているホームレスの人々と、まるで彼らが存在しないかのように颯爽と通り過ぎる人々とのギャップにとても驚き、その場で写真を撮りました。撮影場所は、高架下で暗い場所にもかかわらず、人通りが多くあるんです。そこでは段ボールで寝ている人々がいる一方、その高架下を横切るバスや人々は、彼らに目もくれませんでした。「貧困削減」や「持続可能な街づくり」と相反する光景が印象的で、思わずシャッターを切りました。

 

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阪元さん(右)にインタビューするインターン河野

撮影にあたって気を配ったことは、光と影のコントラストをはっきりさせたことです。私自身スナップ写真を撮ることが好きでして、偶然の中の一瞬を切り取ることに関心を持っています。今回の作品はお昼に撮ったこともあり、陰影がくっきりと際立ったのではないかと思います。

私が関心を寄せているSDGsのゴールは、11番(住み続けられるまちづくりを)です。

SGDsが「持続可能な」と謳うように、私もまちづくりや経済の循環に興味を抱いています。私の作品を通して、「自分はホームレスの人々を、1人の同じ人間として対等に認識しているか」「そもそもなぜ路上生活を強いられている人々がいるのか、何がそうさせているのか」「自分には何が出来るのか」ということを考えるきっかけをみなさんに持ってもらえればと思います。このような貧困や格差社会の問題について、もっともっと話し合っていく必要があると思います。



優秀賞 久保田 友宏 「炎と闘う」 (Tomohiro Kubota)

上智大学文学部新聞学科3年

 

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「熊手を使って枯れ木や枯れ草を均す男性。山焼きの燃え盛る炎から伝わる熱気が強く、長時間その場にとどまることは難しい」

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久保田さん 今回のフォトコンテストに応募しようと決めた瞬間から、焼き畑に関する作品を撮ろうと思っていました。なぜ焼き畑かというと、民俗学の授業で視聴した、焼き畑に関するドキュメンタリーが印象的だったからです。今回の作品を撮影するにあたり、朝の5時から8時まで、農家の方に密着させて頂きました。シャッターを切った数ある写真の中でも、最も荒々しい瞬間を捉えた作品をコンテストに出しました。

 

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久保田さん(左)とプレゼンターの朝日新聞社の大野映像報道部長@授賞式

私の今回の作品は、「古臭い」と捉えられがちなものについて、再考するきっかけを提供できたんじゃないかなと思います。例えば私の作品が焦点を当てている焼き畑一つにしてもそうです。焼き畑というと、略奪的な印象がありますが、古来から続く伝統的な農法なんです。畑を焼いた後に木を植え、畑が再生し、また焼き畑をする…この周期がおよそ40年。この焼き畑こそ「持続可能」であり、それゆえ現代まで続いているのではと思います。環境開発には、もちろん最新のテクノロジーが必要ですが、伝統のやり方も軽んじられるべきではないと思います。最新のものにはやはり「流行り」があるので、「流行りに流されないぞ」と矜持を持ち通けることも重要なのではないでしょうか。

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久保田さん(右)にインタビューするインターン河野

最後に、今回のフォトコンテスト開催に携わる、全ての皆様に感謝を申し上げたいです。なぜなら自分の作品を広く社会に発信するためのプラットフォームを整備して頂いたからです。例えば私が自分の作品を自身のTwitterに挙げていても、多くの人にメッセージを投げかけることが出来なかったでしょう。ですが今回のコンテストによって、学生を中心とする日本の人々だけでなく、世界中に自分の思いを伝えることができました。このような機会を与えて頂いたということに、改めて感謝の意を示したいと思います。

 

入賞 「受け継がれるものは」桑原 豊 (Yutaka Kuwahara

高千穂大学商学部4年

 

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「日本にもこんな場所があるのをご存知だったでしょうか?設置されている合計60機の風車からは一般家庭約55,000世帯分のエネルギーを賄うことが可能で、年間約93,000tのCO2削減効果があります。世界では化石燃料廃止の声が高まりますが、私たちはこれから後世に何を残していけるでしょうか。また、何を残したいでしょうか」

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桑原さん 自然風景が好きで、普段からキャンプや野営をしながら写真撮影をしています。今回の作品は自然風景とエネルギー生産が織りなす風景を写真に収めました。地球環境に配慮した取り組みは大変素晴らしく、このような取り組みは賞賛されるべきものだと思いますが、それと同時に美しい自然の景観も大切に守っていけたらな、と思っています。

また、撮影場所の三重県青山高原はアクセスがとても悪い場所で、撮った場所にたどり着くのにとても苦労しました。ネットで見て是非行きたいと足を運びましたが、最寄りは無人駅だったのでヒッチハイクなどをして辿り着きました。

 

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桑原さん(左)とプレゼンターの外務省の甲木地球規模課題総括課長@授賞式

私が関心を寄せているSDGsのゴールは、12番(つくる責任 つかう責任)です。大学でフェアトレードについて学んできました。モノづくりには数え切れないほどの人々が関わっています。強制労働を始めとする様々な困難を抱えて働いている人、またそうした事情を知らずに製品を消費する先進国の人々がいますよね。フェアトレードでこうした現実を学んだことから、このゴールに関心を寄せています。

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 受賞に際して喜びのコメントを発する桑原さん(左)@授賞式

私の作品によって、普段見ている景色が日本の全てじゃないんだ、ということを伝えられたのではないかと思います。SGDsについて考えていた際に、なかなか自分の中に「これ!」というものが浮かんできませんでしたが、インターネットで探した結果、青山高原の美しさに心惹かれ、現地まで足を運びました。他国と比べSDG s の認知度も低く、環境破壊が進んでいると言われている日本ですが、こういう場もあるんだということをこの写真を通して伝えたいです。

 

入賞 「水の惑星」池田 匠(Takumi Ikeda)

静岡理工科大学星陵高等学校2年

 

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「人が使うことのできる水には限りがある。海を背景に、このことを強調してみた。さらに水の清涼感を出すために、明るく見えるよう工夫した」

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池田さん まず私が写真を撮影する際に気を配ったことは、私の目指す理想の海をいかに写真で表現するか、です。そのため、海をより美しく撮影するために試行錯誤を繰り返しました。例えば、その結果、光を多く取り入れ、海をいかにも「水色」と呼べるような色合いに仕上げることにしました。これにより、海の美しさ、そして広大さが表現できたと思います。また、水道から出る水は海とは違う美しさを表現しました。これは清潔感をイメージしました。

 

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池田さん(左)とプレゼンターの上智大学の植木教授@授賞式

私が関心を寄せているSDGsのゴールは、6番(安全な水とトイレを世界に)です。

汚染された水やトイレが無いことによる健康被害は大きく、世界で多くの人々が命を落としています。数多くある目標を達成するために世界全体で動く必要がある以上、この衛生問題を解決しなければ何も始まらないと思います。衛生状態の改善が人々を救うための目標全達成のスタートラインであり、大きな一歩だと私は考えます。

 

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池田さん(左)の作品を講評する朝日新聞社の大野映像報道部長(右)@授賞式

私の写真を見て、海が美しいと思う人がいてくれると嬉しいです。また、海を美しいと感じる感情を起点にして、様々な問題を解決するために自分に何ができるか、と考えを広げてもらえたらと思います。そして、私も含めて、海を含めたあらゆる場所の環境保全に努める人が増えることを望んでいます。

 

私の通っている学校では、国際社会に通じる人材の育成の一環としてSDGsを課題とした活動を行っています。文化祭では、各クラスごとに主題とする目標を決め、それに沿った出し物をします。文化祭に向けて準備するにあたり、各目標に関して調べるため、世界に目を向ける大切な機会となっています。また、私の親の会社でもSDGsの話題が度々挙がっているそうです。少しずつ世界の問題に対する意識が向上していると思っています。

 

本シリーズ第3回(最終回)は近日公開予定です。