所長の根本です。
様々な団体に招かれ、多様なテーマで講演する機会があります。先日、愛媛県松山市で、同性愛や性別に違和感を持つ人々の問題に取り組む「レインボープライド愛媛」と、女性のDV被害に取り組む「愛媛県女性保護対策協議会」が合同で企画した講演会でお話してきました。
題して、「一人ひとりが声を上げよう! 身のまわりが変わり、世界が変わる」。性的少数者の人権、女性に対する暴力の問題にいかに国連が取り組んでいるかをご紹介するとともに、一人ひとりがチェンジ・メーカーとして社会を変える力を持つ存在であることを、会場の皆さんと一緒に考えました。
昨年、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の関連イベントに登壇して、事務総長を旗振り役に、国連がいかに熱心に性的少数者の人権を優先課題として取り組んでいるかをお話しする機会がありました。その場に、「レインボープライド愛媛」の代表の方がいらっしゃって、「是非愛媛でも話してほしい」とラブコールをいただいたのがきっかけです。性的マイノリティーの団体だけで考えるのではなく、何十年もの活動の実績を持つ女性団体との連携企画、という広がりもあり、高校生の団体から、社会人、年配の方まで、およそ200名の方々がセミナーにお越しくださいました。
「私たちは良識ある男女として、差別全般、特に性的指向や性同一性に基づく差別を拒絶します。文化的な意識と普遍的人権の間に緊張がある場合には、人権を優先させなければなりません。」潘事務総長は2010年12月、国連のトップとして初めてLGBTの平等に関して演説を行い、世界各国での同性愛の犯罪指定解除のほか、LGBTの人々に対する暴力や差別に取り組む措置を求めました。
LGBTの人々を暴力や差別から守るために、あらたにLGBT固有の権利をつくる必要はありません。なぜなら、LGBTの人々の人権を擁護する各国の法的義務は、世界人権宣言とその後の国際人権法で確立されているからです。しかし、世界ではいまだに多くの国で個人の同意に基づく同性愛が犯罪と定められ、少なくとも5カ国で死刑判決さえ受けかねない状況に置かれています。
こうした現実を変えようと、今年11月にウィーンを訪問した際、潘事務総長はユーロビジョン・ソング・コンテスト2014で優勝したオーストリアの同性愛者の歌手、コンチータ・ヴルストさんと一緒に、LGBTの人々に対する寛容の重要性を訴えました。同性愛者で知られるテニスのマルチナ・ナブラチロワさん、バスケットボールのジェイソン・コリンズさんも、国連の場で記者会見し、相互理解の必要性を訴えています。LGBTに対する暴力と差別について認識を高め、権利を推進するため、国連は「FREE & EQUAL」という広報キャンペーンを行っています。
日頃差別などで生き辛さを感じていらっしゃるLGBT当事者の方々にとって、事務総長の非常に力強いメッセージビデオや、国連の様々な取り組みは、心強い支えとなったことでしょう。さらに、86歳の愛媛県女性保護対策協議会の代表の方にも、「本当にいい話だった。この年まで生きててよかった~!」と喜んでいただけました。
日本の各地で皆さまと直接お会いできる機会を、これからも楽しみにしています!