所長の根本です。ひな祭りの3月3日、満席のシンポジウムに出席して女性の活用に先進的な企業経営について考えた後、今度は参議院議員会館内で開かれた「東日本大震災支援ネットワーク」主催のセミナーに出席しました。
震災直後から女性たちの声を集めて立ち上がった同ネットワークは、ジェンダー・多様性の視点を復興と防災の活動に活かそうと、ジェンダー研修や女性と子どもへの暴力に関する調査などを行ってきました。このたび3年間に及ぶネットワークとしての活動にひとまず終えるとあって、こちらも満席!
特に関心があったのは、「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査の発表です。諸外国では調査・研究の進んでいる分野ですが、日本ではあまり事例がなく、かつて国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)職員として難民支援活動にあたってきた立場としては、海外の難民・避難民キャンプと似たような状況があるのか、気になるところでした。
限られた有効回答での調査ではありますが、答えはYES。災害以前からの男女格差や社会の中での上下関係などの構造問題が、被災してしわ寄せが一気に噴き出してしまう。「避難所が『被難所』になっていしまっている」という発表した方の言葉が印象的でした。避難所運営や物事を決めるのは男性で、女性は指示に従うという構造は、難民キャンプと同様で、だからこそUNHCRでは難民キャンプの運営にあたる難民の代表たちの女性比率を50パーセントとすることを目標に取り組んでいるのです。今回の調査では、避難所で支援物資の見返りに性的関係を強要されたという例もあったとのこと。。。。
また、岩手県から駆け付けた漁協女性部連絡協議会の会長さんは、ユーモアで会場を笑わせながら、こんな話をしてくださいました。24ある漁協のうち、1つを除いて女性は漁業権を持てない。認めている漁協でも、漁業権を持っていた夫に先立たれた未亡人に認めているまでのこと。構造的に男性は管理・経営に参画できても、女性は思いを持ちながらもあくまでも働く人でしかない。被災後、何かおかしいと思って声を上げ続けたら、来年度予算にやっとわずかながら、「浜の女性たち」を支援する予算が組み込まれた。内容としては必ずしも自分たちの意にかなったものではないけれども、少しずつ実績を積み重ねて大きくしていきたい -と。
3年間に積み重ねられた知見は、2015年3月に仙台で開かれる「国連防災世界会議」での議論の重要なベースになることでしょう!