北海道大学での講演で、冬の札幌を訪れました。日中でも氷点下、防寒用に起毛タイツをしっかり履いて、足元は靴底に滑り止め用の溝が入ったブーツ。でも、「グローバルに活躍する気にさせるセミナー」と銘打った講演会には、高校生から社会人という幅広い年代の方々が100人以上も来てくださいました。
感動したのは、講演のあとの質疑応答の時間。会によっては手がまったく挙がらないこともありますが、この会場では元気よく手が挙がり、質問が途切れませんでした。特に活発だったのは、男子学生たち。国際関係のイベントでの「女子中心」というのが相場ですが、いい意味で裏切られました。
写真提供:北海道大学国際本部
どのように国連機関に挑戦するのに必要な情報を集めればいいか、危険の伴う地域での仕事に躊躇はなかったか、紛争を止めるために私達ひとりひとりに何ができるのか、平和構築を担える人材を育てるためには何が必要か、難民の教育支援に関わるには何を心がければいいか、などなど、多岐に渡る質問をいただきました。情報やアクセスが手に入りやすい東京以上に、地方の意欲ある若者たちは貪欲なのかもしれません!
写真提供:北海道大学国際本部
さらに嬉しかったのは、札幌出張の機会をとらえて、拙著『ふるさとをさがして - 難民のきもち、寄り添うきもち』で取り上げさせていただいた富士メガネ(本社:札幌)の金井昭雄会長と、久しぶりにお目にかかれたことです。
写真提供:提供「富士メガネ」
金井さんは、メガネを世界の難民キャンプに寄贈し、社員が「視援隊」として検眼のボランティアとして現地を訪問するという活動をもう30年にわたって続け、その功績から「ナンセン難民賞」を受賞しています。私がUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)職員として深く関わったネパールのブータン難民たちに対しても、合計で4万組のメガネを寄贈してくださっていたことから、本の中でその献身的な姿勢について紹介させていただいた、というわけです。
2006年「ナンセン難民賞」を受賞 写真提供:提供「富士メガネ」
嬉しいことに、同社は国連と世界の企業とのつながりである「国連グローバル・コンパクト」にも加盟し、金井さんはグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークの理事として、国連と日本の加盟企業との大切な結節点の役割を務めていらっしゃっています。そんな訳で、久々にエールの交換をさせていただきました!