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国連PKOの現場から、国連の存在意義と日本の貢献を考える(6)「日の丸」の重み 

国連広報センターの根本かおる所長は、2025年3月2日~9日に南スーダンを訪問し、同国に展開する国連PKOの「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」の活動を視察しました。国連の代表的な平和活動である国連PKOの最前線を、シリーズでお伝えします。

 

第6回 「日の丸」の重み 

今回の南スーダンへの出張では、重要な目的の1つとして、自衛隊からUNMISS司令部に派遣されている方々にお目に掛かり、それぞれのやりがいや手ごたえなどについてお話をうかがうことがあった。と言うのも、部隊での派遣とは異なり、合計6名という少数での個人派遣であり、「日の丸」の重みがそれぞれの肩に圧し掛かる中での任務だろうと思ったからだ。

南スーダン訪問中に6名のうちの4名の方々からお話をうかがうことができた。皆、自ら志願し、大きなやりがいを感じながら活動している。 

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施設、情報、兵站、航空運用と任務は様々だ。国連PKOへの参加を志して自衛隊に入った方や、東日本大震災津波への対応の経験を世界に還元したいと考えた方など、強い思いを持って関わり、日本の自衛隊だからこその強みと信頼を自分自身もつないでいこうと努めている。隊員の方々は国連広報センターのブログに寄稿してくださることになっており、任務の詳細や手ごたえなどについてそちらもご覧いただきたい。

UNMISS司令部に派遣されている自衛隊員と国連広報センターの根本かおる所長(中央)

いずれの方についても、日本に残してきた家族とのきずなを保つ上で工夫し、かつ自身の南スーダンへの派遣が、自衛隊の先輩や家族を含め、多くの人々の支援と協力があって成り立っていることに感謝する姿勢が強くあり、大変印象的だった。

彼らの仕事ぶりについて、UNMISS民政部長の平原弘子さんのもとにも彼らの働く部門の関係者らから好意的な評価の声が寄せられていると言う。

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世界で一番新しい国・南スーダン共和国。平原さんは日本から遠く離れたこの国での勤務が13年にもなる。南スーダンの人々に関与し続ける理由について、平原さんに聞いた。 

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南スーダンでの経験が自分自身の成長の糧になったと平原さんは言う。南スーダンの人々や国連PKOで働く様々な国籍の職員らは、敗戦後焼け跡から復興した日本がこれまでに勝ち得てきた評価と信頼を、この連載で取り上げてきた邦人職員や自衛隊員らの仕事ぶりや人柄を通じて再確認しているのかもしれない。

グローバル化の進む今日にあって、一国の安全保障の課題は地域全体を不安定化させ、それが飛び火して国際的な安全保障のリスクになりかねない。アフリカ大陸の不安定化は瞬く間に中東やヨーロッパを揺るがせ、あらゆる意味でグローバル化の進んだ今日、日本を含む東アジアにも早晩影響をもたらすことになる。さらに、気候変動の影響でギリギリにまで追い詰められた社会は、紛争に陥りやすくなるが、本をただせば、その気候変動の原因の多くの部分を、温室効果ガスの大量排出という形で豊かな国に生きる私たちが作ってしまっているのだ。そして、気候変動の課題に国境はなく、世界中の人々は一蓮托生、同じ宇宙船地球号に乗っている。

まさに5月13、14日の両日、日本も共同議長国の一つとしてプロセスに関わってきた国連PKO閣僚級会合が、ドイツの首都ベルリンで開催され、国連PKOの将来が議論されている。そして、今年は8月20日から22日まで横浜で第9回アフリカ開発会議が開催され、アフリカ諸国から多くの首脳の訪日があり、アフリカが話題になる機会も増えるだろう。是非国連PKOへの参画を国益という観点からも見つめると同時に、アフリカと日本とをつなげて考える機会にして欲しい。

UNMISS平和維持部隊のパトロールは、地域の安全を確保するだけでなく地域住民の間に信頼関係を築くことにも役立っている ⒸGregório Cunha/UNMISS

国連PKOの現場から、国連の存在意義と日本の貢献を考える(5)気候変動の影響、女性の安全へのしわ寄せ大きく

国連広報センターの根本かおる所長は、2025年3月2日~9日に南スーダンを訪問し、同国に展開する国連PKOの「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」の活動を視察しました。国連の代表的な平和活動である国連PKOの最前線を、シリーズでお伝えします。

 

第5回 気候変動の影響、女性の安全へのしわ寄せ大きく

気候変動の安全面での影響は、男性と女性とで異なると言うが、日本にいてはなかなかピンと来ない。そこで、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)本部でシニア・ジェンダー・アドバイザーを務める西谷佳純(にしがや・かすみ)さんにお話をうかがった。これまでメールでやり取りしたり、国連広報センターのブログに寄稿してもらったりしたことはあったが、直接お目に掛かるのは初めてで、今回の出張で会うのを楽しみにしていた。  

南スーダンは60以上もの部族が暮らし、一般化は難しい」と前置きした上で、西谷さんは「こうした複雑さを理解した上で言えることは、気候変動ショックは、すでに存在する男女間の不平等や女性・女子の脆弱性を明らかに悪化させている」と強調した。 

特に顕著なのは、雨が降る時期と雨量が不安定で、洪水・干ばつ・害虫の蔓延などの現象が起こりやすくなっていることだ。これは紛争に対する脆弱性や紛争に起因する怒りや不満を助長してしまう。例えば、南スーダンで水汲みや薪集めは女性や女子が行う仕事と見なされるが、気候変動ショックが続くことにより、こうした無償労働の負担が大幅に増加している。より遠くまで徒歩で集めに行かねばならなくなり、その長い道すがら性被害も含め様々な危険に巻き込まれるリスクがある。 さらに、無償労働の負担が増えて、女の子が学校に通えなくなりかねない。  

南スーダン、ジョングレイ州の光景 ⒸUN Photo/Martine Perret

UNMISSのベンティウ事務所で7年間所長を務めた平原弘子UNMISS民政部長は、女性たちの安全をめぐるリスクについて、国内避難民キャンプの人口密集が女性の安全を脅かすことに加えて、水で道がなくなって水の中を移動する際にヘビやワニに襲われることや、薪集めの道すがらのリスクが高まり、警察の捜査も水浸しで思うように進まないことなど、具体例を挙げて説明してくれた。 

ベンティウでの市民社会とのミーティング出席者と。
前列左から2番目が平原弘子UNMISS民政部長。

また、南スーダンでは、和平合意の履行をめぐる政治的対立と並行して、コミュニティー間の紛争や対立も顕著であり、気候変動が紛争の頻発という形で影を落としている。特に、土地や飲み水を求めた家畜と遊牧民の移動は、移動先のコミュニティーに脅威を与えるだけでなく、農業や家畜の世話を行う女性や女子の誘拐や性暴力などのリスクを伴う、と西谷さんは指摘する。  

西谷さん(右)は気候変動が紛争を悪化させる危険性を指摘する

西谷さんによると、UNMISSでは他のミッションに先駆け、2021年、UNMISSのマンデートを更新する安保理決議2567号において、「気候変動は、紛争をさらに悪化させることになる脅威である」という認識を示す記述が前文に盛り込まれて以降、マンデート更新の安保理決議で、気候変動リスクが人道状況や平和と安定に与えるインパクトなどに関する記述と報告義務などが強められていった。  

では、現場では具体的にどんな解決策があるのか。

対策として、地域のリーダー達への啓発に加えて、性被害が起こりやすいホットスポットを重点的に国連PKO部隊によるパトロールを強化していると平原さんは言う。 

こうしたパトロールで性暴力などに関する女性たちの懸念の声を汲み取るには、女性ピースキーパーたちの存在が不可欠だ。しかしながら、長距離パトロールにおいては、排せつや生理などの面で女性は課題に直面する。その中で、ユニティ州に展開するモンゴル部隊では、女性隊員たちの考案でFemale Friendly Kit(女性用キット)を作って配布。これに、ポータブルの囲いを1チームに一つ携行して、女性たちに対して長距離パトロールに道を開いた。こうした好事例をどんどん他の部隊にも共有して、可能性を広げていってほしい。  

モンゴル部隊の女性隊員は、女性たちの長距離パトロールのためにFemale Friendly Kitを考案した ⒸUNIC Tokyo Kaoru Nemoto

ベンティウに出張した際、この地域で活動するUNMISSの制服組の女性達から話を聞く機会があった。乾季になると移動しやすくなるため、薪などを求めて遠くなで行く女性が増え、それにともなって性暴力が増えることや、地域の女性たちの懸念を吸い上げるためにはより多くの女性の通訳が必要だということなど、様々な声が寄せられた。

UNMISSに各国から派遣されている軍や警察の女性たち。意見交換のために集まってくれたⒸUNMISS

西谷さんが特に目指しているのは、紛争解決から復興・開発へと続く意思決定の場において、女性の参加と意見の尊重が担保されること、そしてそれを阻害する要因を取り除いてそのリーダーシップが見事に発揮できるようにすることだ。地域レベルでは、女性たちの声を吸い上げるための目安箱をIDPキャンプに設けて、具体的な問題解決につなげた、とも聞く。  

記者ブリーフィングを行う西谷さん。千葉県出身で、NGOでの難民支援活動を振り出しに、バングラデシュ国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)での経験をきっかけにして、ジェンダー分野での専門的なキャリアを歩んできた ⒸUNMISS

ベンティウで開かれた市民グループとの集まりに参加した23歳の女性は、他の出席者のほとんどが年上の男性という中で、臆することなく自分の家族でのジェンダー格差と父親による家庭内暴力について力強い声で語り、その解決策として父親たちを対象にした啓発活動を積極的に提案していた。非常に強い眼差しが印象的だった。 

ベンティウでの市民団体とのミーティングで積極的に発言する女性 ⒸUNMISS Photo

南スーダンの和平合意には、多くの女性市民団体が連帯して働きかけた結果から、和平合意の実施に関わるメカニズムや機構すべてに、少なくとも35%までのレベルに女性を指名することが盛り込まれている。しかしながら、十分に履行されているとは言えない。  

UNMISSトップのニコラス・ヘイソム国連事務総長特別代表は、女性がより積極的に議論と決定に参加する和平プロセスの方が平和がより定着し、より確かな制度につながると、その効用を強調した。 

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南スーダンの女性たちに諦めることなく、ふさわしい役割を求め続けて欲しい ― 南アフリカアパルトヘイトを闘い抜いたヘイソム氏からのメッセージに、強い説得力を感じた。 

国連PKOの現場から、国連の存在意義と日本の貢献を考える(4)気候ショックと安全保障:国連PKOによる対応の最前線

国連広報センターの根本かおる所長は、2025年3月2日~9日に南スーダンを訪問し、同国に展開する国連PKOの「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」の活動を視察しました。国連の代表的な平和活動である国連PKOの最前線を、シリーズでお伝えします。

 

第4回 気候ショックと安全保障:国連PKOによる対応の最前線

南スーダンの首都ジュバからUNMISSの飛行機に乗って北へ1時間。上空から見るユニティ州のベンティウ近隣の国内避難民(IDP)キャンプは、まるで海に浮かぶ離れ小島だった。キャンプの周辺には、原野ではなく水面が広がっていた。国連PKOが整備したアクセスロードは「海」を突っ切ってベンティウ周辺と他の地区とを結ぶ唯一の道であり、旧約聖書の「モーゼの海割り」のようだ。UNMISSオフィス、アクセス道、空港の周り、そしてIDPキャンプの周りに堤防が築かれ、水に飲まれるのを防いでいる。 

ベンティウ近隣の国内避難民(IDP)キャンプは、海に浮かぶ離れ小島のような状態だった
ⒸUNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

2016年春に私が訪れた際の、キャンプの周りを乾いた大地が広がり、女性たちが薪を頭に載せて原野を横切り、牛たちが悠々と移動するというような光景はまったくなかった。大きく様変わりしたベンティウの姿に、自分の目を疑った。

2016年当時のベンティウ周辺には乾いた大地が広がっていた

ユニティ州は、気候変動が人々の暮らしと安全に大きなショックを与えている最前線だ。しかも、温室効果ガスの排出にほとんど加担していない人々が、豊かな国々による排出の被害を受けるという気候正義の課題の最前線でもある。さらに、南スーダンでは、気候変動が人々の暮らしや人道状況のみならず、安全保障・治安にまで影響があることから、UNMISSでは「Climate Security Advisor」(気候安全保障アドバイザー)を置いて組織的に対応している。世界の国連PKOで、同ポストを設けているのはUNMISSだけだ。 

ベンティウ周辺はかねてから洪水に見舞われる地域ではあったが、今につながる大洪水が押し寄せたのは2021年11月のこと。 

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南スーダン・ベンティウ 洪水が始まった当初の映像 平原弘子さん提供

ベンティウから約北西に40キロぐらい離れたところの村が水浸しになり、これまでにもあった程度の洪水だろうと思っていたところ、その3ヶ月遅れで朝起きてみると、水がベンティウにまで迫っていた。とりあえず水が来ないように堰き止めないと町中が水浸しになってしまうと慌てふためいたと平原さんは言う。

それ以来、水が引かず、今に至っている。当時、現在UNMISS民政部長を務める平原弘子さんはベンティウ事務所を所長として切り盛りしていた。地域の風景を様変わりさせた大洪水は、一体どのように始まったのだろうか? 

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このピンチを救ってくれた第一の立役者は、パキスタン軍の施設部隊だった。ベンティウ周辺に道路補修のために派遣されたばかりのパキスタン部隊は、本国で常日頃から培ってきた洪水対策の経験をここで発揮し、72時間の突貫工事で応急処置をしてくれた。 「あの時、洪水対策に長けたパキスタン軍の存在がなかったら、多くの命が奪われ、すべてが水にのまれていただろう」といろいろな人々から聞いた。

パキスタン部隊はベンティウの道路補修や堤防の建設と維持管理といった土木工事を担当。道の両側はまるで海のように水が広がり、まるで「モーゼの海割り」のよう
ⒸGregório Cunha/UNMISS

パキスタン軍による応急処置で一旦水に飲まれるのを防ぐことはできたものの、どんどん水が来てしまい、堤防も高くすると同時に土を固めなければならず、メンテナンスが欠かせなかった。水はどういうところから来るのかをシミュレーションをしながら、包括的な対策を考えたと言う。当時の努力は、UNMISS制作のビデオにもまとめられている。

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 「今からこの2ヶ月ぐらいはこれに集中して仕事をしてください。そうでないと町沈みます」と号令を掛けて、ワンチームで結束して対応したと笑って応える平原さん。24時間体制で仕事をして、洪水が全部来てしまうまでにベンティウの町と、UNMISSの敷地と、それに隣接する避難民キャンプ、移動に欠かせない飛行場をかろうじて守るための土手を作ることができた。

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「大阪のおばちゃん気質で、みんなに発破を掛けて、乗り切った」と平原さんは笑って答えるが、緊張の72時間だったことだろう。土でできた堤防は水の動きを受けて侵食され、かつ上を人々が通路として使っているため、今もパキスタン軍による入念な堤防の点検と補修は欠かせない。パキスタン部隊を率いるリーダーは、「堤防と道路の補修は、UNMISSの活動にとっても地域住民にとっても死活問題。多くの人々が『ありがとう』と言ってくれたり、手を振ってくれたりするので、とても誇らしく感じる」と顔を輝かせた。 

パキスタンの工兵部隊のリーダー ⒸUNMISS Photo

洪水は人々の安全を脅かす。それまでは主に紛争から避難した人々が身を寄せていたこのIDPキャンプに、洪水による避難民が押し寄せ、人口過密状態に陥った。政治的に対立する人々や牛の放牧のための牧草をめぐって緊張関係にあるコミュニティーが狭いキャンプに集住することにもなり、一触即発の状況が生まれた。さらに2023年4月に南スーダンの北隣のスーダン共和国で紛争が勃発し、スーダンから帰還した南スーダン人たちがIDPキャンプの親戚を頼って身を寄せるようになった。 人口過密はコミュニティー間の軋轢やフラストレーションを高め、諍いの火種も生まれやすくなる。長老の力などを借りながら仲裁するのもUNMISSの仕事だ。 

IDPキャンプのリーダー達とのミーティング。スーダンからの帰還民を受け入れた結果、これまでの配給食料ではとても足りないとの声が多数上がった ⒸUNMISS

また、環境が一変して、多くの人は牛飼い中心だった生計手段を大きく変えなければならず、漁業や魚の干物づくり、カヌーづくりに挑戦する人もいるが、慣れない仕事がうまく行くとは限らず、とかく援助物資に頼りがちだ。その援助も、昨今の人道危機の増大と先進国からの援助資金の大幅な減少を受け、心もとない。 

筆者のために集まってくれた市民社会関係者から、米国からの援助資金の停止などへの不安の声が上がった ⒸUNMISS Photo

さらに、南スーダンでは、牛飼いが牧草地と水を求めて牛の群れを移動させる中で、農業を行うコミュニティーの住民たちと争いが生まれがちだ。移動の前と後に放牧民と農耕民との間で問題解決のための話し合いの場を持つことが必要で、それをお膳立てするのもUNMISSの重要な仕事だ。牛飼いたちは銃を携行していることが多いため、コミュニティー間の争いに発展しないよう、疑念をあらかじめ晴らしておくことが必要なのだ。 

 

unmiss.unmissions.org

UNMISSの草の根活動で、コミュニティのリーダーたちは牧畜民と農民の和平を訴えたⒸUNMISS

次回は気候危機が女性の安全に及ぼす影響とその解決策について考える。

国連PKOの現場から、国連の存在意義と日本の貢献を考える(3)緊張の高まりに奔走する国連PKO幹部たち

国連広報センターの根本かおる所長は、2025年3月2日~9日に南スーダンを訪問し、同国に展開する国連PKOの「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」の活動を視察しました。国連の代表的な平和活動である国連PKOの最前線を、シリーズでお伝えします。

 

第3回 緊張の高まりに奔走する国連PKO幹部たち

南スーダン出張時に起きた緊張の高まりに伴い、首都ジュバのUNMISS本部の幹部たちは緊急対応に追われていた。ある意味で、危機において国連PKOの政治・民政部門がどのようにフル回転するのかを現場でつぶさに見ることができた。 

グァン・ソン国連事務総長副特別代表(左)にインタビューする
国連広報センターの根本かおる所長 ⒸUNMISS

政治担当のグァン・ソン国連事務総長副特別代表は、UNMISSトップのニコラス・ヘイソム事務総長特別代表の指示のもと、首都ジュバのレベルで、駐南スーダンアフリカ連合ミッション(AUMISS)、「アフリカの角」地域の準地域気候である「政府間開発機構(IGAD)」、和平合意の履行をモニタリングする「合同モニタリング・評価委員会」と連携しながら、南スーダンに影響力を持つ近隣国によるトップ外交も含め、様々なルートを通じて武力衝突の鎮静化に向けて必死に働きかけていた。 

 

首都をあずかるソン副特別代表のもとで、地域レベルの関係を担う民政部長の平原弘子さんは、スマホを片時も離さず、WhatsAppの電話・メッセージ機能を駆使し、地域のリーダーや宗教関係者、市民社会の活動家、若者リーダーらと連絡を取り合っていた。対面での意見交換も行いながら、草の根のネットワークをフル稼働させて情報を吸い上げ、鎮静化に向けて協力を仰いでいた。 

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地域行政の長や長老ら地域に影響力を持つ人々や、戦闘に加わる可能性のある人々への働きかけを行い、衝突や紛争に陥りかねないところを思い留まるよう仲介している。国連のような中立的な存在が間に入ることで、反目し合っている勢力同士も話がしやすくなる、と平原さんは言う。同時に、地域のリーダーたちにこそ主導してもらえるよう、国連として移動や場の設定などの面でサポートを行っている。

部族間の利害の対立が中央の政治につながっている南スーダンでは、中央の政治状況と部族ごとに集住する地方の動きとが密接に相互に連動しているだけに、民政部の任務は重要だ。それにしても、南スーダンでの駐在が13年になる平原さんは、ここまでの地域の人々とのネットワークをどのようにして築いてきたのだろうか。 

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時間がある限りいろいろな人々に会いに行って、信頼関係を築くことにエネルギーを使っていると言う。信頼関係がなければ、いざ問題が起こった時に部族間の対立や政治に関わるセンシティブな話だけに、なかなか心を開いてくれない。信頼の構築こそが民政部の最優先課題、と強調する。

IDPキャンプのリーダーたちとのミーティングで、平原さんは「ママ・ヒロコ」と呼ばれていた ⒸUNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

さらに、困った人がいると、国連の仕事だから支援するのではなく、大阪人の気質として助けずにはいられない、とも笑いながら言う。自分たちが手伝うことで平和構築を行い、紛争を未然に防げるのは、人間・平原弘子にとって本望なのだ。

平原さんを見ていて、「大阪のおばちゃん気質」は確かに国連のフィールドでの仕事にとって、大いに役立つと納得した。同時に、緊迫する非常事態においても緊張を周りに感じさせない平原さんは、さすがだった。 

平原さん、ベンティウのIDPキャンプのリーダーたちと ⒸUNIC Tokyo/Kaoru Nemoto

国連PKOの現場から、国連の存在意義と日本の貢献を考える(2)脆弱な和平プロセスにおける、世界最大クラスの国連PKOの活動

国連広報センターの根本かおる所長は、2025年3月2日~9日に南スーダンを訪問し、同国に展開する国連PKOの「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」の活動を視察しました。国連の代表的な平和活動である国連PKOの最前線を、シリーズでお伝えします。

 

第2回 脆弱な和平プロセスにおける、世界最大クラスの国連PKOの活動 

南スーダン共和国は、スーダン北部のイスラム教徒と自治・独立を求める南部のキリスト教徒との間の半世紀にわたる内戦を経て、住民投票を受け、2011年7月9日にスーダンから分離独立した。国際社会の祝福を受けながら生まれた、世界で一番新しい、193番目の国連加盟国だ。 

南スーダン独立記念祝賀会では人々が国歌斉唱し、国家の誕生が祝われた (2011年)
ⒸUNMISS

国の誕生とともに南スーダンで展開するUNMISSは、もともとは平和構築、国家建設及び国家の機能強化をマンデートとしていた。しかし、残念ながら南スーダンは政治リーダー間・部族間の権力争いなどから武力衝突を繰り返し、それとともにUNMISSのマンデートも、文民の保護ならびに人道支援実施のための環境づくり中心に変節してきた。

南スーダンの地図

2016年には、私が初めて南スーダンを訪れた直後に首都ジュバの治安状況が急激に悪化し、ディンカ族で主流派のキール大統領派とヌエル族で反主流派のマシャ―ル第1副大統領派との間で大規模な武力衝突に発展した。ようやく2018年にキール大統領とマシャール第1副大統領を含む関係者の間で「再活性化された衝突解決合意」が署名され、2020年に暫定政府が設立された。

現在のUNMISSのマンデートは、1)文民の保護、2)人道支援実施に資する環境づくり、3)「再活性化された合意」および和平プロセスの履行支援、4)国際人道法違反および人権侵害に関する監視、調査および報告、の4つの柱からなる。 

UNMISSは、紛争により3か月で1000人以上が犠牲になったジョングレイ州に
バングラデシュからの平和維持要員を派遣した(2015年)  ⒸUNMISS

しかし、不安定な情勢が続き、選挙の実施を含む和平プロセスの履行と本格政府の樹立は何度も期限が延期されてきた。現在、暫定政府の期限は今年2月から2027年2月にまで延期され、選挙が2026年12月に行われることになっている。延期されかたらと言っても、時間の猶予はない。本来であれば猛スピードで様々な準備が進んでいなければならないのだが、公式の憲法制定プロセスはまだ緒に就かず、選挙の実施に必要な法律の整備や区割りに向けた準備をはじめとする作業も進んでいない。軍の統合にも遅れが目立つ。 

UNMISSの部門長会議は緊迫する情勢の分析に追われたⒸUNIC Tokyo Kaoru Nemoto

さらに、私が滞在した3月2日から9日までの間にアッパー・ナイル州のナシルで南スーダン軍と反主流派につながるとされる武装若者グループとの間で衝突が発生し、反主流派の閣僚らが逮捕され、緊張が劇的に高まっていった。さらに3月7日には、ナシルに取り残された負傷した軍関係者らの救出に向かったUNMISSのヘリが攻撃に巻き込まれ、ヘリの乗員も含め多数の死者が出るという悲劇が起こった。 

 

ナシルでUNMISSのヘリが攻撃に巻き込まれた第一報を伝えるXのポスト

 

緊迫する情勢の中、ヘイソム事務総長特別代表はインタビューの時間を作ってくれたⒸUNMISS photo

独立から14年、なぜ南スーダンではこうも衝突が繰り返され、和平への道のりが険しいのだろうか?UNMISSを束ねるニコラス・ヘイソム国連事務総長特別代表に聞いた。 

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ヘイソム事務総長特別代表は、現在の南スーダンのように国が移行期を終え、初めての民主的な選挙を実施しようとする過程は、政治勢力の間や社会全体で競争や緊張が生じやすいとしながら、南スーダンの場合は和平合意があり、国が達成すべき相互に合意された基準が定められていることは大きなプラスだと強調した。

キール大統領(右)は、国内の紛争を終結させる和平協定を締結した後、指導者のマシャール第1副大統領と握手した(2018年9月)ⒸUNMISS/Nektarios Markogiannis 

民主的な制度や国の安定化に関する基準として、新しい憲法の起草、選挙の枠組みの整備、そして初めての自由で公正な選挙の実施などが掲げられているが、同時にこれらのプロセスは非常に困難であり、新たな紛争の引き金になり得る、とヘイソム氏は説明した。だからこそ、国全体を強化し、包摂的な国家を築くことに貢献し、さらなる分裂を防ぐ形で取り組むことの重要性を強調した。

同時に、ヘイソム事務総長特別代表は、南スーダンを取り巻く様々な困難を挙げた。北隣りのスーダンでの戦争によって、100万以上の人々が南スーダン流入。さらに、洪水により100万以上の国内避難民(IDP)が発生し、食料不安が国民の3分の1以上を直撃している。

南スーダンの北部のユニティ州ベンティウの周辺では、洪水で集落が沈み、水が引かない ⒸGregório Cunha/UNMISS

また、政府にとって主な収入源である石油が、紛争下のスーダンを通るパイプラインの修復ができないため輸出が進まず、経済危機を引き起こしている。その結果、公務員や軍隊への給与未払いが続き、人々を圧迫している。内戦中の北のスーダンから食料をはじめ物資が入らず、インフレが激化。昨年のインフレ率はほぼ300%にも達し、国民生活を直撃している。

外にいてはなかなかうかがい知れないUNMISSの活動の難しさを慮った。

 

私の出張後も緊迫が深まる南スーダン情勢について、ヘイソム事務総長特別代表は3月24日、ニューヨークの国連本部とビデオでつないで、記者会見を行った。

ナシルの若者武装グループに対し、政府軍は、民間人居住地域への報復空爆を行った。民間人に対するこうした無差別攻撃は、女性や子どもを含む多数の死傷者と恐ろしい負傷、特に火傷を引き起こし、少なくとも6万3000人がこの地域から避難している。若者武装グループと国軍の両方がさらなる衝突に向けて動員を強化しているとされ、子どもの徴兵も行われているとの疑惑がある。さらに、政府の要請による外国軍の派遣は緊張をさらに高めている。

ヘイソム特別代表は「南スーダンは、暴力が激化し、政治的緊張が深まる中、本格的な内戦への再突入の瀬戸際に立っている」と強い懸念を示し、UNMISSは南スーダンの和平に関わる国や機関と連携しながら、シャトル外交を通じて内戦に再び陥るのを防ごうと働きかけていると説明した。同時に、その成否は、紛争当事者自身が関与し、自分たちの利益よりも人々の利益を優先することができるかに掛かっている、とも強調した。

3月26日にはキール大統領と反目するマシャ―ル第1副大統領が自宅軟禁され、さらに緊張が高まった。28日にはアントニオ・グテーレス国連事務総長が記者団へのぶら下がりの形で声明を発し、南スーダンの指導者らに対して武器を捨てて、南スーダンの人々の利益を第一に考えるよう求めるに至った。

日本ではほとんど報じられない南スーダン情勢だが、是非注目していただきたい。

国連PKOの現場から、国連の存在意義と日本の貢献を考える (1)なぜ今、南スーダンなのか?

国連広報センターの根本かおる所長は、2025年3月2日~9日に南スーダンを訪問し、同国に展開する国連PKOの「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」の活動を視察しました。国連の代表的な平和活動である国連PKOの最前線を、シリーズでお伝えします。

 

第1回 はじめに:なぜ今、南スーダンなのか? 

南スーダンに展開する国連の平和維持活動(国連PKO)の「国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)」に受け入れてもらい、2025年3月2日から3月9日まで首都ジュバと北部のユニティ州のベンティウでUNMISSが取り組む課題とその活動を視察した。私にとっては2016年春以来、2回目の南スーダンだ。 

キプロスを巡回中の国連キプロス平和維持軍(UNFICYP)
(1964年) ⒸUN Photo/BZ

国連PKOは、紛争で傷ついた国が紛争から平和への困難な道のりを確実に歩むのを支援するため、国連が活用することのできる最も効果的なツールの1つだ。治安の維持と政治の移行プロセス、平和構築への支援を提供する国連PKO、その平和への貢献から、1988年にノーベル平和賞を受賞している。

国連は、国連憲章の前文の冒頭に記されているように、2度にもわたる世界大戦の悲哀を経験した教訓から、「戦争の惨害から将来の世代を救う」ことを最も中核的な目的として80年前に設立された。その後、東西冷戦で国連憲章が想定していたようには国連安全保障理事会が十分に機能しない中、国連の存在意義である「国際の平和と安全の維持」を推進するために、国連憲章には明確に想定されてはいないものの編み出されたのが、国連PKOだ。安全保障理事会の承認を得て、1)当事者の同意、2)不偏不党、そして3)自衛およびマンデートを守るための防衛以外の武力の不行使、の3つの原則のもと展開する。

巡回中の国連レバノン暫定軍(UNIFIL)1980年 ⒸUN Photo/John Isaac

1948年に中東に派遣された「国連休戦監視機構(UNTSC)」を先駆けとし、伝統的には国家間の戦争終了後に主に停戦監視と兵力の引き離しという軍事的任務を担うのが中心だった。それが東西冷戦終結以降、国際の平和と安全の維持での国連の役割が高まる中で、国家間の戦争から内戦、あるいは内戦と国際紛争の混合型への対応が中心となり、任務も武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)、治安部門改革(SSR)、政治プロセスの促進、選挙支援、紛争下における文民の保護、人権・法の支配など多岐にわたる複合型ミッションへと拡大していった。

コンゴ民主共和国では国連警察(UNPOL)は地元警察と合同でパトロールも行っている
(2025年)MONUSCO/Kevin Jordan

日本の自衛隊も1992年のカンボジアを皮切りに、モザンビークゴラン高原東ティモール、ハイチ、南スーダンPKOに部隊派遣してきた。南スーダンへの部隊派遣は2017年に終了したものの、今も自衛隊員6名が首都ジュバのUNMISS司令部に派遣されている(自衛隊からの司令部要員の派遣はUNMISSのみ)。

国連PKOカンボジア暫定統治機構(UNTAC)では明石康氏(写真中央)がトップを務めた(1992年) ⒸUN Photo/Pernaca Sudhakaran

さらに、日本は国連のPKO予算に対して、米国・中国についで世界で3番目に多額の分担金を提供している。そして、アフリカでの国連PKOの撤退や縮小がある中でUNMISSは派遣部隊が1万3000人を超え、中央アフリカ共和国に展開するMINUSCAと並び世界最大規模のPKOミッションの1つになっている。

国連創設80周年であり、かつ国連も共催者である第9回国際アフリカ開発会議TICAD)が8月に横浜で開催される今年だからこそ、国連の最も根源的な存在理由である平和の分野で国連と日本のパートナーシップが際立つUNMISSを再訪し、国連の平和活動の最前線について発信したいと思った。

UNMISSでは、制服組も文民も合同で幹部会議を行う
ⒸUNIC Tokyo Kaoru Nemoto

特に南スーダンでは気候変動のしわ寄せで大洪水が起こり、気候変動のショックが人々の暮らし向きや人道状況のみならず、安全保障・治安にまで大きな影響を与えている。しかも、そこには性差があり、女性と女児の安全面への打撃が大きい。昨今Climate Securityは注目を集め、安保理でも議論されているが、UNMISSは国連PKOの中で唯一「Climate Security Advisor」を置いているオペレーションだ。Climate, Peace and Security、そしてWomen, Peace and Securityとその交差性、ならびにUNMISSの対応を見たい ― それが今回のねらいだ。

UNMISSトップのロイ国連事務総長特別代表(当時)から激励を受ける日本の自衛隊施設部隊の隊員たち(2016年)ⒸUNMISS

前回2016年に大変お世話になった南スーダンの北部のユニティ州のUNMISSベンティウ事務所の所長をしていた平原弘子さんは、首都ジュバのUNMISS本部に移り、民政部長として全国の10のフィールド・オフィスに展開する民政部門チームを統括する立場にある。彼女から南スーダン全体にわたって状況を聞けることも、非常にありがたいことだ。 

UNMISSの平原弘子民政部長(左)と国連広報センターの根本かおる所長

陸上自衛官の活躍:インドネシアでの地域能力の強化

国連の平和維持要員を訓練するには何が必要か考えたことはありますか。ヒントです。それは最新の技術や最新の装備ではありません。一言で言えば、「パートナーシップ」です。

実習中のブルドーザーに乗る増田3曹(左) ©陸上自衛隊

2030アジェンダの目標の一つであるパートナーシップは、国連の基盤であり、国連平和維持活動に派遣される国々(要員派遣国:TCC)を支える力です。2015年以来、国連オペレーション支援局の三角パートナーシップ・プログラム(TPP)は、これらの国々の能力を高めるために重要な役割を果たしてきました。このプログラムには、工兵(施設)、医療、情報通信(C4ISR(指揮、統制、通信、コンピュータ(C4)、情報、監視および偵察(ISR))・宿営地警備技術の分野が含まれます。

TPPの設立以来、日本は財政支援と陸上自衛隊内閣府からの教官派遣を通じて、このプログラムの支援と活動範囲の拡大に重要な役割を果たしてきました。最近では、日本は2022年から2024年にかけて、インドネシア政府が主催するTPP地域工兵訓練コースに9人の女性自衛官(うち2人は幹部)および1人の女性国際平和研究員を派遣しました。インドネシアで実施された3つのコースは、地域のパートナーシップである東南アジア諸国連合ASEAN)とTPPが連携して、地域の要員派遣国の能力を高める機会を提供する国連の取り組みの一環です。*1

「パートナーシップは平和維持の中心です。国連と日本やインドネシアなどの支援国が緊密に協力することで、平和維持活動をより効果的、効率的、そして影響力のあるものにすることができます。」と、アトゥール・カレ国連オペレーション支援担当事務次長は述べています。

アトゥール・カレ国連オペレーション支援担当事務次長と、TPP主要支援国である日本政府(林芳正内閣官房長官)との会談 ©UN

女性自衛官が拓く平和維持活動の未来

訓練に参加したTPPの教官団には、女性自衛官も含まれています。これは、専門知識の共有だけでなく、平和維持活動における女性の役割やスキル、そして派遣の可能性を強化する重要性を伝えることを目的としています。

日本と陸上自衛隊にとって、これらの訓練コースは、国連安全保障理事会決議1325号(女性、平和、安全保障)に基づく平和維持活動におけるジェンダー統合の重要性を強調するものでした。

平和維持活動における女性の役割はますます重要になっています。北京宣言(第4回世界女性会議)から30年が経ち、国連安全保障理事会決議1325号の25周年を迎えるにあたり、国連は女性が平和維持訓練に参加しやすくするために積極的に取り組んでいます。TPPのコースを通じた日本の専門知識と貢献は、男女が平等に参加することで平和維持活動が多様な視点とスキルで豊かになることを強調しています。多様な平和維持部隊は、特に伝統的なジェンダーの役割が男性の平和維持要員との交流を難しくする地域であっても、地域社会と幅広く関わることができます。

自衛隊統合幕僚長によって派遣の激励を受ける髙栁3曹(左)©陸上自衛隊

日本の専門技術が光るTPPコースの成功

実際、インドネシアでのTPPコースに対する日本の専門技術の教育は非常に好評で、参加者はこのコースを非常に価値があると感じています。「この訓練はとても有益で、訓練の目標を完全に達成しました。また、他国の文化を学ぶ貴重な機会にもなりました。」と、参加者の一人が匿名のアンケートで述べています。「この訓練は多様性を尊重し、参加者同士の敬意を育む素晴らしい学習環境を提供しました。」

参加者は、理論と実践を組み合わせた総合的なアプローチが取られていることを強調し、安全性や業務の効率性、そして他国の平和維持要員との国際的なつながりを築く機会に焦点を当てている点を高く評価しました。

現地スタッフと調整を行う津田士長(中央)©陸上自衛隊

インドネシア軍平和維持訓練センターの司令官、タウフィク・ブディ・サントソ少将は、「三角パートナーシップ・プログラムの訓練は、参加者の運用および管理スキルを大幅に向上させました。インドネシアの卒業生は現在、特に中央アフリカ共和国の国連ミッションでこれらのスキルと知識を活用し、平和維持活動に大きく貢献しています。」と述べています。(プログラムの卒業生と参加者の体験談をこのビデオでご覧ください!

TPPやそのコースへの日本の貢献を通じて、日本の教官たちは国連平和維持活動における専門知識以上のものを共有することができました。TPPのようなパートナーシップを通じて、加盟国はお互いの理解を深め、信頼を築き、要員派遣国同士の一体感を育むことができます。これは、平和活動で一つの「国連」として協力する際の相互運用性を高める上で非常に重要なのです。

重機操作教官養成訓練コースの開会式。外務省から前国際平和協力室長・石塚恵氏が参加。©UN

TPPの詳細については、こちらをクリックしてください(ファクトシート広報ビデオ)。

*1:日本だけでなく、ブラジルもインドネシアで開催された2つのTPP地域工兵訓練コースに教官を派遣しており、1人の女性教官が地域の能力向上に貢献しました。