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国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

東京マラソン2016チャリティで日本と難民のかけはしに ―難民の学生とともに―

2016年2月28日(日)、東京マラソン2016。青空の下、真っ青なTシャツを着た7人組が東京の街を駈け抜けました。国連UNHCR協会公認企画「難民かけはしプロジェクト」のランナーたちです。

「日本と難民の方々のかけはしになる」その思いを胸に42.195kmのフルマラソンに挑戦したランナーたちと、それを支えた仲間たち。彼らの思いを聞き取り、以下にまとめました。 

  

                                             そろって出発する難民かけはしランナーたち。
                                 プロジェクトに賛同してくださったサポートランナーの方々も。

 

「難民かけはしプロジェクト」とは

難民かけはしプロジェクトは、難民という背景を持つ学生と難民問題に関心を持つ学生が、ともにチャリティランナー制度を利用して2016年2月28日(日)に行われた東京マラソン2016に挑戦したプロジェクトです。スポーツという親しみやすい切り口から日本の皆さまに難民問題に関心を持っていただくための広報啓発活動と、東京マラソンチャリティのクラウドファンディングサイトを利用した、難民キャンプにテントを届けるためのファンドレイジング活動を行いました。国連UNHCR協会の公認企画として、学生が2015年4月にゼロから自主的に立ち上げて運営してきたものです。

 *国連UNHCR協会は東京マラソン2016チャリティの寄付先団体です。 

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                                                                 日々の活動の様子

 なぜマラソンなのか

難民問題を考えると言うとどうしても硬くなりがちですが、スポーツやマラソンという親しみやすい切り口から、より多くの方に身近に感じてもらいたいと考えたのが理由です。2月初めにランイベントを開催した際「まじめな講演会だとハードルが高いけれど、ランニングだから参加できた」と言ってくださった方もいて、この切り口の意味はあったと感じています

また、マラソンというスポーツには敵味方はありません。他のスポーツとは違いマラソンは42.195㌔という大きな困難な目標に向かって一緒に、仲間として挑戦できるという点がよいところです。

難民問題は悲惨な問題とみられがちで、実際そういう面もあるのですが、私たちのプロジェクトでは「難民の背景を持つ学生も日本人の学生も仲間として一緒にひとつの挑戦をする」というポジティブな面を見ていただきたいというねらいがあります。

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                                                     東京マラソン2016 当日の様子

 

難民かけはしプロジェクトを通して伝えたいこと

このプロジェクトは、難民という背景を持つ学生が走るというのが大きな特徴です。難民というと「着の身着のまま逃れてきて怖い人」と思っている人もいるかもしれませんが、日本で勉強したり日々の生活を送ったりしている彼らと接して私たちが強く感じているのは、「同じ人間なのだ」ということです。

難民問題は遠い問題に感じるかもしれないけれど、まずは日本にも難民はいることを知っていただき、彼らを通して日本の多くの方に難民問題へ関心を持っていただきたいと思います。

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                                                       難民かけはしランナー7名全員完走!!

       何人かが足を痛めながらも、おたがいのはげましや応援などにより、無事全員が完走を果たしました

 

ランナーたちの思い・学び

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私はインドシナ難民2世です。

今までとは違う挑戦をしてお世話になった方々への恩返しをしたい、同じ境遇の子どもたちに勇気と元気を与えたい、という思いでこのプロジェクトのランナーとして走ることを決めました。

東京マラソン2016本番は途中で足がつって、走るのがどうしても辛くなってしまいました。その時、小学校のころから勉強や進路のことでお世話になってきた金川先生に電話したんです。そうしたら先生が「アン、頑張ってるやん、いけるいける!」と励ましてくださって。共同代表の金井くんもずっと隣で声をかけながら励ましてくれました。そのおかげで走りきることができました。ひとりでは完走することはできなかったと思います。

このプロジェクトを通して、人前で話したり、マラソンの練習に取り組んだりと、成長することができました。これからも難民の方々のために自分にできることをしていきたいです。

 

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私はミャンマー難民2世です。

私は、日本にも難民が暮らしているということを少しでも多くの方に知ってもらいたいという思いから、このプロジェクトのランナーとして走ることを決意しました。

東京マラソン2016本番では徐々にみんなから遅れてひとりで走ることになってしまい、足が痛くて痛くて涙が出ました。心もからっぽになりかけていたとき、沿道応援のメンバーの「シャンカイさーーーん!!!」って声が聞こえて。それで一気に元気が出て、みんなとの約束(フィニッシュで会おう!)を守ろうとの思いだけで完走することができました。フィニッシュしたときは涙がとまりませんでした。

よくスポーツ選手が「皆さんの応援のおかげで力が出ました」と言うのをいままではあまり信じていませんでしたが、今回自分自身が応援の力を強く感じました。

 

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私はアフガニスタンから避難してきた難民です。

私はずっと前からマラソンを走ってみたいという思いがありましたが、日本に来る前はスポーツに打ち込む余裕はありませんでしたしランニングに関する知識もなかったので、その夢がかなうとは思ってもいませんでした。しかし難民かけはしプロジェクトが東京マラソンに出場する機会を与えてくれる、そしてそれが難民問題に関心を持ってもらうことや難民キャンプにテントを届けるためのファンドレイジングにつながると知って、すぐに走ろうと決めました。

東京マラソン2016本番では走っているうちにひざが痛くなって不安になりましたが、いっしょに走っていたランナーや応援のメンバーが応援したり、痛み止めを用意したりして支えてくれたおかげで無事にみんなとフィニッシュすることができました。

フルマラソン完走という大きな達成を経験したこと、その挑戦を日本の学生のみんなとできたこと、そして自分を支えてくれる仲間ができたことは、私の人生において大きな財産になることと思います。このプロジェクトを通して、日本のチームワークのスピリットの強さも感じました。今後はこの経験で得たものを活かして、「より平和な世界の実現に貢献すること」という自分の人生の目標を追いたいと思います。

 

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マラソンというスポーツには敵味方もなく、あるのは自分との戦いです。そんなときに仲間がいることは大きな支えになります。私たちが仲間としていっしょに東京マラソン2016に挑戦する姿から、背景の違いは関係なく、私たちはみな同じ人間なのだということ感じていただけたら幸いです。

世界ではいま、1日に4万人以上新たに難民が生まれている計算になります。つまり、東京マラソンの総ランナー数より多くの人々が家を追われ、応援もなくゴールも見えない新たな旅を強いられているのです。中には4000km、私たちが走る距離の約100倍の距離を移動する方々もいます。そうしたことに少しでも思いをめぐらせていただくことのきっかけになれればと願っています。

 

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ぼくはスポーツで社会貢献という理念に共感してこのプロジェクトに参加しました。

スポーツの醍醐味は、1つの目標に向い、全力でがんばる人がいて、それを全力で支える人が居ることです。これは世の中のどのような活動でも大事になることで、難民問題も同じだと思います。

難民問題は複雑で、直接解決に貢献するには専門的な知識や経験が必要だと思います。ただ、僕のような知識や経験がないひとにも、解決のためのサポートはできます。難民という背景を持った方々のことを理解し、解決に向け頑張る人のサポートをする。難民問題の解決には、世界中のみなさんの応援が必要になるのではないでしょうか。

 

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私が何よりもスポーツの力とこのプロジェクトの意義を感じたのは、東京マラソン2016本番のラスト40㎞を超えたときでした。最後の2.195㎞は今までこんな道のりがあっただろうかという程、精神的に果てしない長さでした。しかし隣にいるランナーもみんな私と似たような顔で必死に一歩ずつ進んでいました。その時に言葉だけでは感じ得なかった「難民という背景をもつ人も私たちもみんな同じ人間であり、前にむかって進もうとしている」という強烈な実感が湧き上がりました。この経験はいっしょに仲間としてフルマラソン完走という一つの挑戦をしたからこそ味わえたものだと思います。

 

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ランニングをしながら難民というバックグラウンドをもつランナーと交流するうちに、彼らも自分と変わらない学生なのだと気づかされました。そのおかげで、難民問題を政治や社会の問題としてではなく、自分と変わらない人々のために私たちに何ができるのだろうという次元で考えることができるようになりました。

東京マラソン2016本番では難民かけはしプロジェクトのメンバー以外の方も「難民かけはしプロジェクトがんばれ!!」と声をかけてくださって、少しでも多くの方に難民について考えていただくきっかけになることができたのではないかと思います。

 

応援メンバーの思い

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東京マラソンは国際的なマラソン大会で、たくさんの外国人の方が参加しています。沿道で応援していると、誰もが笑顔で返してくれます。そこに国籍や言語、境遇などは関係ありません。

 

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初挑戦ながら42.195kmをひたむきに走る難民かけはしランナーは、自分たちの中では難民だとか国籍だとかそういったものはいつの間にか取り払われ、一年間ともに頑張ってきた仲間として見えました。

このプロジェクトは2015年4月にゼロから立ち上げたものです。東京マラソン2016までの約10か月間、立ち止まるひまも、転んでも倒れているひまもなく走り続け、ランナーたちと同じ気持ちで彼らを支えてきました。

東京マラソン2016当日は、満身創痍ながらも完走し最高の笑顔と涙をみせたランナーに自分を重ね、胸が熱くなりました。ランナーたちが「応援が力になった」と言ってくれたこと、そして途中で栄養補給の食べ物や痛み止めなどを手渡すといった形でも役に立てたことが嬉しかったです。

最初はわからないことばかりだった私たちがこのプロジェクトを実現できたのは、様々な場面で応援してくださった多くの皆さまのおかげです。

ファンドレイジングにおいては、2016年3月22日(火)時点で、難民かけはしランナー7人の分として901,000円、サポートランナーの分も含めると1,311,000円のご寄付が集まっています。この寄付はUNHCRが難民キャンプにテントを届け、難民の方々を厳しい自然環境から守るために使われます。90万円はテント約15張、130万円はテント約21張に相当します。2016年3月31日まで次のサイトで寄付を受け付けておりますので、応援よろしくおねがいします!https://www.runwithheart.jp/charity_sheet?id=4558

ご協力くださった皆さま、どうもありがとうございました!

このプロジェクトはフルマラソンを走って終わりではありません。私たちが得た学びを伝え、これからもより多くの方に難民問題に関心を

 

持っていただくための活動を続けて参ります。

難民かけはしプロジェクトはホームページやFacebookで今後とも広報を続けてまいりますので、ぜひいいね!やシェアをよろしくお願いいたします。

みなさまの行動がより多くの方に難民問題に関心を持っていただくことにつながり、それが難民の方々の力になります。ご協力をどうぞよろしくお願いいたします!

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以上、このプロジェクトを担ってきたメンバーの思いをご紹介させていただきました。

学生にとっても国連UNHCR協会にとっても初めての挑戦だったので、当初からいくつものハードルが現れ、その度に力を合わせて乗り越えて、ひとまずゴールまでたどり着きました。1年近くの日々をかけて準備し、共にマラソンに挑戦した共通体験が、未来につながる財産になりました。

 

3月31日までに、皆様から当プロジェクトへのご寄付の総額は【99万4000円】、プロジェクトに賛同して一緒に走ってくださったサポートランナーのみなさまの分も合わせると【140万4000円】となりました。これはUNHCRを通じて、家を失った難民の人々の生活に欠かせないテントを難民キャンプに届けるために活用されます。

 

難民かけはしプロジェクトホームページ

http://nanmin-kakehashi.net/

難民かけはしプロジェクトFacebook

https://www.facebook.com/nanminkakehashi

国連UNHCR協会ホームページ

http://www.japanforunhcr.org/archives/6839

http://www.japanforunhcr.org/archives/6729

 

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中村 恵 国連UNHCR協会職員(上記写真の前方2列目右から2人目)

 

1989年に国連難民高等弁務官事務所UNHCR)に就職。ジュネーブ本部、駐日事務所広報室勤務の後、ミャンマーにて、援助現場での活動に従事し、2000年末にUNHCRを退職。UNHCRへの公式支援窓口であるNPO法人国連UNHCR協会の設立(2000年10月)に関わって以来、協会職員として民間からのファンドレイジングに従事。東京マラソン2016チャリティの担当として公認企画「難民かけはしプロジェクト」をバックアップ。