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国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

国連PKOのスタンダード策定、日本がリード

桜がきれいに咲き始めた3月下旬、国連PKO部隊マニュアル工兵分科会 東京ワークショップ(3月26日~28日)が行われました。 このワークショップに国連ニューヨーク本部を代表して参加したPKO局政策協議室長オフレ海軍大佐に、インタビューを行いました。

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国連PKO部隊マニュアル工兵分科会は、国連軍事ユニットという大規模なプロジェクトの一環として行われ、国連の平和維持活動の共通基準としてマニュアルを策定することを目的としています。 

「現地での平和維持活動をより効果的なものにするために、共通基準作りはとても重要です。 今回のワークショップは、エンジニアリング分野におけるマニュアル策定が主な目的です。

これまでのエンジニアリング分野での活動を見直し、様々な課題を解決に繋げることも、成果として求められます」

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 オフレ大佐はこれまで、エンジニアリング分野の他に、航空分野、ロジスティック分野、海事分野、軍事警察など、それぞれの分野に特化した11のマニュアル策定に取り組んできました。

「マニュアルを策定することは、いわば共通言語を設定するようなことです。今日、平和維持活動はさらに複雑なものとなってきています。武力勢力や犯罪組織、略奪組織が複雑に絡み合った状況において、平和維持要員たちにそうした問題の解決を委ねることは大変なことです。なぜなら、様々な国の人達で構成されている平和維持軍はそれぞれ特色や固有の軍事ドクトリンを持っているからです。平和維持軍がより効率よく活動するために、共通言語としてのマニュアルが必要とされるのです」

今回のワークショップには国連加盟国のうち20カ国から参加者が集まりました。

「それぞれが今後の展望を持って意見を持ち寄り、とても前向きな雰囲気でワークショップを進めることができました。異なる文化を持った人達が、個々の経験を活かした意見を交換することで、マニュアルの中身そのものも、とてもよいものとなったと思います。このマニュアルは編集を経て、来年初めに完成する見通しです」

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エンジニアリング分野は、平和維持活動において、始めから終わりまで重要な役割を持ちます。軍事テントの設営や、部隊の派遣といった、ミッションを開始する際に必要なセッティングから始まり、活動が終了する際も、現地の整理のために再びエンジニアリングが活躍するのです。また、オフレ海軍大佐は、エンジニアリングの役割は平和維持活動そのものだけではなく、国の繁栄にも一役買うといいます。

「例えば、軍隊のために道路を整備すると、それは地元の人達にとってもいいことなのです。エンジニアリング分野を充実させることは、平和維持活動を発展させるだけでなく、現地の繁栄にも繋がるのです」

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 国連の平和維持活動は、活動を可能にする上で主に三つの課題に直面しています。一つ目が医療サポート。二つ目がヘリコプターのような、機動力確保の問題。そして三つ目がエンジニアリング分野における問題です。オフレ大佐はそのエンジニアリング分野での日本の貢献の大きさを評価しています。

「現在、エンジニアリング力の不足が問題となっていますが、日本はそれを大きくカバーしてくれています。特に南スーダンでの日本のエンジニアリング面での貢献には眼を見張りました。日本はこの部門で突出した能力を持ち、とても鍵になる役割を果たしています。今後はエンジニアリング分野だけでなく、機動力向上のためのヘリコプターの供与や医療分野などといった他分野での更なる活躍も期待されています」

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 海軍でキャリアを積んだ後、フランスの外務省に勤めたオフレ大佐。アフリカにおける軍事防衛協力に取り組んだ際、国連を自身のキャリアのひとつの里程標として考えるようになりました。

「海軍や外務省で得た知識や経験を活かせると思ったことも、国連で働こうと考えた理由です」

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 平和維持活動局の仕事は決して簡単なものではありません。多くの政治的、軍事的問題を乗り越えていかなければいけないうえに、状況は日々変わります。どのように希望やモチベーションを持ち続けているのか伺いました。

「fighting spirit(情熱)ですね。常に強い信念を持ち続けることが重要だと思います。確かに、わたしたちが挑んでいる課題はとても複雑で、乗り越えなければいけないことが山積しています。私はこれまで、いくつもの話し合いや国際協力を目にしていく中で、様々な国の人たちが何かに向かって一堂に進んでいく様子は、とても興味深く、素晴らしいことであると感じてきました。互いの利害は関係なく、様々な国の人達がただ世界の人々の平和と安全のために協力し合う。このような国際社会の強力なサポートがあれば、この厳しい状況も乗り越えられると信じています」

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国連広報センター・インターン(佐野早希)からの感想

「紛争は、簡単に起こってしまう。けれど、私たちはそれらを必ず解決に促し、安全と平和を実現できる」というオフレ大佐の言葉には、今後の国際社会への大きな期待が感じられました。今回、ワークショップの参加者が、それぞれの文化、経験、知識をもって意見を寄せ合うことで、マニュアル作りの成功に繋がったというように、それぞれの能力を活かして協力し合うことが、理想的な国際協力なのだと強く感じました。

また、PKO局の最前線で活躍されるオフレ大佐のお話はとても臨場感あふれるもので、南スーダンといった遠くの地で活躍する同じ日本人の様子を知ることができ、PKO局の活動をより身近に感じるきっかけにもなりました。