国連広報センター ブログ

国連のさまざまな活動を紹介します。 

ダイバーシティー&インクルージョンを体感する「未来言語ワークショップ」

 

国連広報センター所長の根本です。

 

聾・視覚障害、知的障害、精神障害などの障害とともに生きる人々、また日本語がわからない外国人は、様々な言語的な壁を感じながら日本で暮らしています。そんな方々のニーズや心細さを疑似体験して、「言葉」を「伝える」ことの意味を体感しようという「未来言語ワークショップ」が10月20日、京都国際映画祭のSDGs企画として開催されました。まさに「誰一人取り残さない」を体感して理解を深めようというイベントです。

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「未来言語ワークショップ」に参加する国連広報センターの根本所長(中央)

 

話せない・見えない・聞こえない中での意思疎通

 

私が参加したチームには、漫才コンビ麒麟」の田村裕さんも参加。もともと聴覚障害を持つ方も一緒です。ウォーミングアップにまず、マスク、アイマスク、音がガンガン鳴っているヘッドホーンが渡され、話せない・見えない・聞こえないという状況をそれぞれが疑似体験しながら、一人一人が次の人に自分のあだ名を伝えていく、というゲームを行いました。チームのほかのメンバーが協力して、メッセージの伝達のお手伝いをしていきます。この時点では、筆談や手のひらに書くことが許されていたので、目が見えない状況の人をみんなが助けることである程度コミュニケーションをとることができました。

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ゲームで使用されたカード

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引いたカードにあわせてゲームの準備をする参加者

 しかしながら、次の出題からは筆談・手のひらに書くことは禁止になり、ゲームのハードルがさらに高くなった状態でしりとりを行うことに。話せない人から目が見えない人(ジェスチャーでは直接には伝わらない)へ、そして目が見えない人から耳が聞こえない人(声で直接伝えられない)への伝達は、頼りたい伝達手段では直接には相手に伝わりません。そのため、周りのチームメンバーを頼ってヘルプしてもらわなければならないのですが、なかなか伝わらなくてもどかしさばかりが募ります。そんな中、「家族解散」を描いた自伝『ホームレス中学生』で知られる田村さんは、悪戦苦闘するチームのメンバーへのフォローの言葉がとてもあたたかく、「意思表示をはっきりするために、はい・いいえ、わかった・わからない、のサインを決めましょう」とリードしてくれます。

 

さらにレベルが上がって、今度は一人が見えない・話せない・聞こえないという状態になり、残りのチームメンバーが「○○を△△する」というフレーズを制限時間内で伝えるというお題です。チーム内でジョーカーを引いてしまった私がマスクとアイマスクにヘッドホーンを装着すると、外部から遮断され、何とも言えず心細い状態です。

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見えない・話せない・聞こえない状態の根本所長(中央)同じチームの麒麟の田村裕さん(中央左)

 チームメンバーたちは私のカラダを使ってジェスチャーをさせ、意味を伝えようとするのですが、明確に分かったのは「食べる」という行為のみで、あとは伝えようとする一つ一つのアクションが明確ではなく何が何だかわかりません。「????」で頭がいっぱいになったところで、タイムアップとなってしまいました。正解は「映画を観る」。「食べる」という行為は「ポップコーンを食べながらすること」を意識してのジェスチャーだったのですが、核になるメッセージからは離れてしまいました。盲目のピン芸人濱田祐太郎さんのチームは濱田さんが見事正解。「僕の腕で大きな長方形を作らされて。そして目を触られたので、大きなスクリーンを見るということなのかな、と思いました」と流石の推理力。

 

最後は難易度MAXで、話せない・見えない・聞こえない一人が、話せない・見えない・聞こえないもう一人に、「○○な(形容詞)△△を◎◎する」というフレーズを伝えるゲーム。正解の「面白い絵を描く」に対して、私のチームでは「面白い」が伝わりすぎて、「面白いお笑いを見る」になっていました。

 

アートと笑いで、みんなを巻き込む「アートオーク笑」

 

それに引き続いて、障害のあるアーティストが最低落札金額を決め、一般の方を巻き込む「オークション」と「笑い」が融合した今までにない新しいオークション「アートオーク笑」が、やはり京都国際映画祭のSDGs企画として行われました。個性のはじける作品を描いたアーティスト、描かれた芸人、そして司会の河本準一さんのおしゃべりが純粋に楽しく、これが障害や生きづらさを抱えた方々による世に言う「アウトサイダーアート」であることを忘れていました。作品の作り手とモデル双方のナマの声を聞いた上でのオークションという豪華な設定に、つい熱くなって参戦。河本さんを描いたステキな肖像画を競り落としました!

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ご自身で描いた絵を持つXLさん(左)、絵のモデルの濱田祐太郎さん(中央)、司会の河本準一さん(右)

 この日のイベント参加は、相手の立場になって考えることを促してくれると同時に、メッセージを伝えたいという自分の中にある欲求にも気づかせてくれました。これまでにない体験でした!ダイバーシティー&インクルージョンに関する企業での研修などにも活用できるワークショップでもあるでしょう。

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根本所長が落札した絵を描いたAckeyさん(左)

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秋晴れの中、ワークショップ以外にも様々なイベントが開催されていました


 

【第7回アフリカ開発会議(TICAD7) 】国連事務総長訪日とTICADを振り返る

 

日本政府、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)が共同で開催する第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に出席するため、アントニオ・グテーレス事務総長が2019年8月27日から30日まで訪日しました。

横浜市で開催されたTICAD7のテーマは「人材、技術そしてイノベーションによるアフリカ開発の促進」。グテーレス事務総長は世界中から集まったリーダーやイノベーターとともに、アフリカの平和と安全、持続可能な開発に関わる様々な議論に参加しました。

TICAD7開会にあたり「私はアフリカを、チャンスにあふれた活力ある大陸として捉えています。そこでは 希望という風がかつてなく強まっています」と述べた事務総長の訪日を振り返ります。

 

日本の重要性を強調

 

TICAD7開会に先立ち、事務総長は日本の安倍晋三総理大臣と会談しました。その中で事務総長は9月の気候行動サミット開催に向けて、アフリカが持続可能な開発目標(SDGs)を達成する上で、日本のTICAD7開催への深い感謝を表明するとともに、日本の役割の重要性についても述べました。

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安倍晋三総理大臣とアントニオ・グテーレス事務総長 ©UN Photo/Ichiro Mae

 

気候変動問題を強調

 

事務総長は会議2日目の8月29日に「気候変動・防災」をテーマとした会合に出席し、「常にそうですが、気候変動の影響で最初に、最も大きな打撃を被るのは貧困・弱者層です。気候変動の原因に取り組むだけでなく、その影響に対処する際に誰一人取り残してはならない理由も、そこにあります。」と語りました。さらに「災害ほど開発を損なうものはありません。数十年かけて達成された持続可能な開発に向けた前進が、一瞬にして水泡に帰してしまいかねないからです。」と警鐘を鳴らしました(セッションでの発言の全文はこちら)。

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テーマ別会合「気候変動・防災」で挨拶するアントニオ・グテーレス事務総長 ©UN Photo/Ichiro Mae

また、事務総長はメディア取材を通して、広く日本と世界の人々に向けても気候変動対策の必要性を訴えました。

テーマ別会合「気候変動・防災」終了後には、ぶらさがり取材で事務総長は「アフリカにとって、気候変動は将来のありうる見通しなどではなく、今まさに起きている危機だということです。私自身、モザンビークを訪問し、サイクロン・イダイによる大きな被害を目撃しました。サヘル地方を訪問した際は、干ばつの広がりと、それに伴う人々の生計手段の消滅、移動を強いられる人々、そして、気候変動が紛争やテロの蔓延を一気に加速させているという事実を目の当たりにしました。」と述べ、アフリカ開発においても気候変動問題の深刻さを重ねて強調しました(発言の全文はこちら)。

 

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記者からの囲み取材に答えるアントニオ・グテーレス事務総長 ©UN Photo/Ichiro Mae

 

さらにNHKによるインタビューにも答え、気候変動の影響が自然災害や強制移住などの人道的問題を悪化させていると強い危機感を表しました。また、スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんら若者の活動に触れ、気候変動問題に取り組む上での若者の重要性を強調しました

         NHKによる単独インタビューに応じるアントニオ・グテーレス事務総長

 

アフリカの開発と将来を会談

 

今回の訪日中に、事務総長は、アフリカ各国首脳などとの会談に臨みました。

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ニジェールのマハマドゥ・イスフ大統領(左上)、エジプトのアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領(左中段)、ブルキナファソのロック・マルク・クリスチャン・カボレ大統領(左下)、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領(右上)、モーリシャスのプラビンド・ジュグノート首相(右中段)、アルジェリアのヌールディン・ベドウィ首相(右下)、とそれぞれ会談するアントニオ・グテーレス事務総長 © UNIC/Ichiro Mae

 

そのほか、国連諸機関の長やアフリカの平和と安全や開発に積極的に関わっている著名人など、訪日中に大勢の人たちとも意見交換を行いました。

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UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)親善大使のアーティストMIYAVIさん(左上)、JICAの北岡伸一理事長(左下)、TICAD出席者(右上)、国連関係者(右下)とそれぞれ談笑・会談するアントニオ・グテーレス事務総長 ©UNIC/Ichiro Mae

 

様々な角度から見たTICAD

 

国連広報センターのインターンたちは27日から開催されていた様々なサイドイベントやブースも回りました。医療と保健衛生、環境、ジェンダーといった様々な分野で、アフリカの潜在的可能性やアフリカ開発における日本の各個人・団体の取り組みについて、理解を深める機会となりました。参加したサイドイベントについての詳細は広報センターの各種TwitterFacebookInstagramでご覧ください!

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TICAD期間中に開かれた、NPO法人Afrimedico によるサイドイベント「日本発祥の置き薬モデルで、タンザニア農産部のUHC実現をめざす」(上段)と多分野融合型のアプ ローチで鉛汚染問題を解決に導く取り組みを行っている「北海道大学ザンビア大学 KAMPAIプロジェクト」のブース(下段)©UNIC

 

事務総長訪日のTICADを振り返って

 

今回のTICADでは、国連としてアフリカの潜在的な可能性およびその妨げとなっている諸問題について、政府とのハイレベルな会談・会議で議論するとともに、NGOや民間企業、政府関連組織といった様々な組織によるサイドイベントやブースを通して一般の方々にも考えていただく良い機会となりました。安倍晋三総理大臣も、2019年9月に開かれた国連総会における一般討論演説の中で、TICAD7の成果を強調しています。

事務総長はアフリカにおける開発も重要ですが、同時にアフリカ諸国がほとんど助長していないにもかかわらずその影響をまともに受けている気候変動問題にも取り組まなければならないと重ねて訴えました。そして、アフリカにとっても気候変動問題が現実となっている今日、適応とレジリエンスのための投資の増大を呼び掛けました。

アフリカ大陸と日本は地理的には距離がありますが、今回のTICADをきっかけに皆さんもアフリカに対する関心と理解を深めましょう! ⇒TICAD7の詳細はこちら

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TICAD参加国・地域の首脳とアントニオ・グテーレス事務総長(下段左から3番目) ©UNIC/Ichiro Mae

 

国連総会で見えた、持続可能な社会を実現する多様なコラボレーション

国連広報センターの根本かおる所長は、2019年9月23日から27日まで、第74回国連総会のハイレベルウィークに参加するためアメリカ・ニューヨークを訪問した。193の国連加盟国の首脳陣に加え、世界中のあらゆる分野からパートナー達が集ったこの場で見えてきた持続可能な開発を達成するためのアプローチを紹介します。

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国連と株式会社サンリオの戦略的協力の発表会に参加する根本所長(右端)©UN/David McCreery

 

企業と若者そしてキティも:非国家主体が国連総会で主役に

 

ニューヨークに出張して国連総会のハイレベルウィークに出席、世界レベルのアジェンダ・セッティングの最前線の熱量に直接触れる機会に恵まれました。「1 Week, 5 Summits, 17 Goals(1週間に5つのサミット級会合、17つのSDGsのゴールすべてを議論)」という合言葉が表すように、9月23日から27日にわたり世界中から集まった首脳陣を交えて、国連はハイパー・アクティブな場となりました。

国連本部がカラフルなSDGsのロゴとアイコンがあちこちに散りばめられる中、SDGs採択後初めてとなる首脳レベルでの「SDGサミット」が9月24・25日の両日開催されました。初日の24日には国連とハローキティSDGsについてコラボし、SDGsに関して「#HelloGlobalGoals」グローバル・ビデオ・シリーズを立ち上げることを発表。SDGsのゴールの17色をあしらった特注の衣装で登場したハローキティは、国・大陸・男女・年代を越えて大人気で、加盟国のリーダーや外交官、世界のメディア関係者らからの記念撮影のリクエストにフレンドリーに応じていました。日本のソフトパワーの代名詞とも言えるハローキティSDGs推進に力を貸してくれることを個人的にも誇らしく感じました(戦略的協力の詳細はこちら)。

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「#HelloGlobalGoals」グローバル・ビデオ・シリーズの発表での根本所長とハローキティ ©UNIC Tokyo

ハローキティに限らず、企業・市民社会・著名人ら非政府のアクターたちが国連総会ハイレベルウィークにあわせて設けられた様々な議論の場に積極的に登壇して主張し合い、ネットワークを広げている様子にも大いに刺激を受けました。こうした場があるということをより多くの日本のステークホルダーにも知っていただき、参画を検討していただければと思います。

 

SDGs達成期限の2030年まで、残り10年

 

採択から4年経ったSDGsについては、優良な取り組み事例も生まれているものの進捗の速度は遅く、到底2030年に目標を実現できる目途は立っていません。点の戦いを線、そして面に拡大し、加速化することが急務です。社会的不平等の悪化や、場合によっては取り返しのつかない気候変動と生物多様性喪失の影響によって、これまでに実現した前進が後戻りする危険さえ指摘されています。その危機感から、2020年1月1日から2030年までを「SDGs達成のための行動の10年」としてあらゆるステークホルダーの力を結集させることになりました。

 

若者が先導する気候行動

 

ハイレベルウィーク開催の5つのサミットの中で最も注目を集めたのは、23日の「気候行動サミット」でした。スウェーデン出身の16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんは若者たちの怒りを込めて「How dare you?(よくもできるものですね)」という言葉を何度も使いながらスピーチし、日本でも大きく報じられました。

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気候行動サミットのオープニングに登壇するグレタ・トゥーンベリさん ©UN Photo/Cia Pak

 気候変動は人類の存続を揺るがす脅威となり、「気候危機」「気候非常事態」という言葉で語られるようになっています。今年だけでも巨大ハリケーンモザンビークバハマ諸島などに壊滅的な被害をもたらし、日本でも台風15号が千葉県などを直撃、異例にも10月に台風が発生しています。このままでは21世紀末に海面は1メートル以上上昇し、大規模な高潮もより高頻度で発生すると見られています。

 

23日の「気候行動サミット」に先駆けて、21日には「国連ユース気候サミット」を開催、これは若者が主役となる気候に関する初の国連の会議となりました。こうした国連での動きに呼応して、世界の若者たちは9月20日から27日の期間中「グローバル気候ストライキ(日本では「マーチ」)」をプッシュし、全世界で20日に400万人以上、期間を通して750万人以上を動員しています。

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ニューヨーク国連本部前に集まった若者による気候行動への呼びかけに参加するグレタ・トゥーンベリさん(中央)©UN Photo/Manuel Elias

私も、国連広報センターがある国連大学本部をスタート地点とした20日の東京でのマーチに参加し、「気候正義(Climate Justice)」を求める若者たちの生の声に接した上でニューヨーク入りしました。この美しい地球と豊かな社会を次世代につないでいけるよう、私たちの消費やライフスタイルの選択から世界を変えられる工夫をより積極的に発信して、その動きを確かなものにしていきたいと願っています。 

気候行動サミットの詳細はこちら

国連ユース気候サミットの詳細はこちら

ファッション発―気候変動への取り組み ~1人当たりの衣服消費に伴うCO₂排出量が最大の国、日本で私たちに何ができるのか~

 

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©UN

皆さんは、私たちの日常生活を支えるファッション業界が気候変動に与える影響をご存知でしょうか?「持続可能なファッション」をテーマに国連広報センターが開催した8月8日(木)のFacebook ライブについてお伝えします。

 

ファッション ― 気候変動抑制へのカギ

 

気候変動の地球に与える影響は、日々世界各地で起きています。

実際に、世界気象機関(WMO)によると、2019年の7月は観測史上最も暑い月になりました。

 

・衣料品と履物の製造は、全世界の温室効果ガス排出量の10%を占めています。

ジーンズ1本を作るためには、約7,500リットルの水が必要になりますが、これは平均的な人が7年かけて飲む水の量に相当します。

一般的に、人が買う衣料品の数は15年前と比較して60%増加している一方で、平均的な着用期間は半分に減っています。

このように実は、ファッション産業が環境に与える影響は計り知れません。

 

さらに、Carbon Trustによれば、日本は1人当たりの衣服消費に伴うCO₂排出量が世界平均(約50kg)の約5倍で、最も多い国(約270kg)なのです!

 

生活にうるおいを与え、着る人の気分をあげてくれるファッションがこれほどの影響を与えてるとは、驚かれる方も多いのではないでしょうか?

 

しかし気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長のトリシア・エスピノーサ・カンテリャーノ氏によれば、世界の文化の二歩先を行っているファッション産業は「課題先行型」と言え、世界の気候変動問題を主導することができます。

 

いま、9月23日にニューヨークの国連本部で開催される国連気候行動サミットに向けて、個人による気候変動対策としてできることをグローバルに呼びかけるActNowキャンペーンが展開中です。その具体的な行動の一つとして、どういった衣服をどのように着るかという選択の仕方で世界を変えようと呼びかけているのが、国連が立ち上げた「ファッションチャレンジ」キャンペーンです。

 

国連広報センターは、この「ファッションチャレンジ」キャンペーンを記念して、「持続可能なファッション」をテーマに8月8日(木)にFacebook ライブを開催しました。国連広報センターの根本かおる所長が日本環境設計株式会社 取締役会長の岩元美智彦さん、株式会社ハースト婦人画報社 ELLE Japon 編集長の坂井佳奈子さん、ハフポスト日本版 ニュースエディターの小笠原遥さんとともに、サステナブルなファッションの実現に向けたアパレル産業の取り組みや、それを可能にする技術革新、そして消費者の関心などについてライブ配信しました(プログラムの詳細はこちらをご覧ください)。

 

ファッション業界やメディアができること

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株式会社ハースト婦人画報社 ELLE Japon 編集長の坂井佳奈子さんが世界の持続的なファッションのトレンドを紹介 ©UNIC

 

まず、日本環境設計の岩元さんが自らリードしてきた衣料回収プロジェクト「BRING」について語ってくださいました。「BRINGはリサイクルしたい消費者と企業同士をつなぐプロジェクトです」と紹介し、「重要なことはいかに好循環を生むことができるかで、そのためにはリサイクル製品もファッショナブルなものでなければなりません」と強調しました。

 

ELLE Japon 編集長の坂井さんは、こうした社会課題の解決にむけたメディアの役割として「時代をクリエイトするというミッションを持つ会社のファッション誌として、編集者のクリエイティブな発想、エッセンスを交えて読者の興味を持ってもらう。そういう動きで社会への恩返しをしていきます」と述べました。

 

またハフポスト日本版の小笠原さんは、「ウェブメディアとしてSNSを使って小さな取り組みを伝えることができます。私たちの生活の身近なところから実践してみるという伝え方を心がけ、いかにこの問題を自分事にできるかが大切です」と語りました。

 

またライブ中に寄せられた、「ファッション業界の短いスパンで流行が変わる問題についてどの様な取り組みが必要か」という質問に対して、坂井さんは「ファストファッションの流行による衝動買いは現代の私たちには避けられません。だからこそ、BRINGを通じてリサイクルを推進することが大切です」と答えました。

 

さらに岩元さんは、何回も衣服をリサイクルすることで、リサイクル素材を用いらずに生産する工程に比べて生産にかかる石油の使用量が削減できるため、地下資源競争を減らすことができ、環境対策と同時に平和構築につながる可能性があると言います。

 

 私たち個人ができること

 

今回のイベントを通じて、ファッションを本当の意味で持続可能なものにするには、私たち個人のレベルからボトムアップで行う取り組みが大切だということに改めて気づかされました。

 

さらにActNowはこうした個人レベルからの気候変動問題への取り組みを広げるために、ActNow.botというFacebook Messengerを通じた取り組みも行っています(詳細はこちらをご覧ください)。

 

気候変動への取り組みは、ファッションだけでなく、以前紹介したスポーツフードチャレンジ等、私たちの身近なところから進められます。

 

皆さんもぜひ、日々の生活の中で気候変動への取り組みを始めてみませんか?

 

 日本での「ファッションチャレンジ」としてBRINGへの協力を呼びかけています!

f:id:UNIC_Tokyo:20190911143925j:plainThe North Face原宿店の佐藤嘉高店長(左)と国連広報センターの根本所長。 ©UNIC

 

 国連広報センターの根本所長もFacebookライブの当日、大切に着用してきたフリースなどをBRINGの回収ボックスに寄付しました。皆さんもぜひ、BRINGプロジェクトに参加してみてください。

 

 【日本での「ファッションチャレンジ」キャンペーン概要】

・期間:2019年8月9日から9月23日(国連気候行動サミット当日)まで(延長の可能性あり)

・衣料品の回収方法:消費者の衣料品をBRING参加企業の店舗で回収 (回収の場所と方法はこちら)

SNSでの発信: #ファッションチャレンジ #ActNow #ClimateAction を添えて、あなたのBRINGへの協力や持続可能なファッションの工夫を写真や動画に撮ってSNSで投稿してください。

 

TICAD7リレーエッセー “国連・アフリカ・日本をつなぐ情熱”(30)最終回

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が2019年8月28-30日、横浜市で開催されます。日本では6年ぶりとなるTICADに向けて、国連広報センターはアフリカを任地に、あるいはアフリカと深く結びついた活動に日々携わっている日本人国連職員らに呼びかけ、リレーエッセーをお届けしていきます。

 

取り上げる国も活動の分野も様々で、シリーズがアフリカの多様性、そして幅広い国連の活動を知るきっかけになることを願っています。最終回となる第30回は、国連開発計画(UNDP)マラウイ常駐代表の小松原茂樹さんです。

 

第30回 国連開発計画(UNDP)

小松原茂樹さん


~世界とアフリカの橋渡しとして:TICAD7に寄せて~

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徳島県生まれ。東京外国語大学卒業後、ロンドンスクールオブエコノミクス大学院で経済学修士号(国際関係論)を取得。(社)経済団体連合会事務局、OECD経済協力開発機構)民間産業 諮問委員会(BIAC)事務局出向を経て 2002 年より国連開発計画(UNDP)に勤務。本部アフリカ局カントリーアドバイザー、ガーナ常駐副代表, 本部アフリカ局TICADプログラムアドバイザー等を歴任、2019年6月より現職 © UNDP Malawi
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TICAD7リレーエッセー “国連・アフリカ・日本をつなぐ情熱”(29)

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が2019年8月28-30日、横浜市で開催されます。日本では6年ぶりとなるTICADに向けて、国連広報センターはアフリカを任地に、あるいはアフリカと深く結びついた活動に日々携わっている日本人国連職員らに呼びかけ、リレーエッセーをお届けしていきます。

 

取り上げる国も活動の分野も様々で、シリーズがアフリカの多様性、そして幅広い国連の活動を知るきっかけになることを願っています。第29回は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ソマリア事務所に勤務する森山毅さんです。

 

第29回 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

森山 毅さん


~紛争の中で働く~ 

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首都モガディシュにあるUNHCR事務所でメディアの取材を受ける筆者 ©UNHCR A. Ainte

 

カリフォルニア大学ロスアンゼルス校卒業後、商社勤務を経て、ニューヨーク大学院にて行政学修士号を取得。2016年10月からUNHCR ソマリア事務所副所長(2019年4月からは臨時所長)。UNHCR勤務はジュネーブ本部を含め今年21年目。

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TICAD7リレーエッセー “国連・アフリカ・日本をつなぐ情熱” (28)

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が2019年8月28-30日、横浜市で開催されます。日本では6年ぶりとなるTICADに向けて、国連広報センターはアフリカを任地に、あるいはアフリカと深く結びついた活動に日々携わっている日本人国連職員らに呼びかけ、リレーエッセーをお届けしていきます。

 

取り上げる国も活動の分野も様々で、シリーズがアフリカの多様性、そして幅広い国連の活動を知るきっかけになることを願っています。第28回は、国連開発計画(UNDP)カメルーン事務所に勤務する金野裕子さんです。

 

第28回 国連開発計画(UNDP)

金野裕子さん


カメルーンで日本との連携を強め、平和で安定した社会を目指して~

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極北州での稲作研修の参加者と。ドレスは衣料ビジネスを開始した若者から購入した現地スタイルのもの(前例、右から3番目が筆者)©UNDPカメルーン

民間企業(物流)から大学院(開発経済)を経て、国際協力業界へ。日本の組織(日本大使館、JICA)で援助協調、第三国研修等の二国間協力を経験した後、UN Womenで人道支援に携わり、2016年より現職。

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