*JPO(Junior Professional Officer)派遣制度とは、将来的に国際機関で正規職員として勤務することを志望する若手邦人を対象に外務省が実施している制度です。日本政府が派遣にかかる経費を負担して一定期間(原則2年間)各国際機関に職員として派遣して知識・経験を積む機会を提供し,派遣期間終了後に正規職員としての採用につなげるものです ⇒ シリーズ「わたしのJPO時代」をあわせてご覧ください。
お忙しい小川さんでしたが、その日時だったら時間を空けていただけるということでオフィスをお訪ねしたのは、松橋さんと須賀さんのインタビューの翌日の夜です。この日はHLPF最終日で、私は夕方から環境省のサイドイベントに出席していましたが、それを早めに抜け出して、小川さんのオフィスが入るOne UN Plazaへと向かいました。国連本部からファースト・アベニューを挟んで向かい側の建物です。ニューヨークの夜はかなり遅くなっても日が落ちずに明るいとは聞いていましたが、もう午後7時半を回ろうかという時間帯にもかかわらず、街はほんとうに昼間のようでした。小川さんは就業時間外にもかかわらず私を快くお迎えくださいました。仕事場を案内していただいたり、写真など撮らせていただいたりしたあと、オフィスに近いこじんまりしたレストランに場所を移し、食事をしながら、ゆっくりお話を伺いしました。
初めは、ビジネスについて何もわかりませんでした。ビジネスのやり方を学ぶためにアメリカへ行き、MIT Enterprise Forum, Pan Arab Region主催のアラブ・スタートアップ・コンペティション(Arab Startup Competition)に参加しました。そこでは、MITの教授や2億円を稼いだ起業家と出会い、「ビジネスってなんて壮大な世界なんだ!」と触発されました。そして、私も「SunBox」を始めたのです。クラウドファンディングで資金調達し、「Green Cake」では9人、「SunBox」では10人を雇いました。そこからビジネスは進んでいきました。
大久保さんは、JYPSが日本の若者たちの緩やかネットワークで、若者の意見がさまざまな政策に反映されることを目的として活動を展開していること、そして、HLPFの場においては、「主要グループとその他のステークホルダー(MGoS)」の中で、子どもと若者の部門であるMajor Group for Children and Youth(MGCY)の中心的なメンバーのひとつとして活動していることについて、いろいろと話してくださいました。
大久保さんによると、最近、JYPSの有力メンバーとして、「Japan National Young Water Professionals(Japan-YWP)」があらたに参加したということでした。Japan-YWPは、International Water Association(IWA)日本国内委員会(IWAの日本支部)の下部組織として、2010年3月5日に設立され、日本水環境学会、日本水道協会などと密接な連携をとりながら、上下水道・水環境に関連する分野の学術的研究・知識の普及・水環境保全への積極的な貢献を目的とした若手中心のプロ集団だそうです。子ども・若者といっても学生ばかりではなく、JYPSは、こうした若い専門家のネットワークも擁しているのです。Japan-YWPの参加もあり、今年のHLPFにおいては、大久保さんがJYPSを代表してSDGsのゴール6(安全な水とトイレを世界中に)に関連するサイドイベントでパネリストの一人を務めたそうです。
このサイドイベントが視野に入れたのは、今月26日に国連総会で開催される、結核に関する初のハイレベル会合です。その会合のテーマは、「結核を終わらせるための連帯:グローバルな感染症への緊急の世界的対応“United to end tuberculosis: an urgent global response to a global epidemic”」。日本の別所大使が共同議長を務め、世界各国の首脳たちが結核対策強強化を目指して政治宣言を採択する予定です。
(“I express my deep solidarity with all the victims of the atomic bomb, their families and Nagasaki community. My message is very clear repeating the cry of the courageous Hibakusha. Nagasaki never again.”)
“Peace is not an abstract concept and it does not come about by chance. Peace is tangible, and it can be built — by hard work, solidarity, compassion and respect.” (平和とは、抽象的な概念ではなく、偶然に実現するものでもありません。平和は人々が日々具体的に感じるものであり、努力と連帯、思いやりや尊敬によって築かれるものです。)ー長崎平和祈念式典でのスピーチより
冒頭のセッションに続いたのは、「ビジネスの力を善のための力として解放する:マルティステークホルダーによるSDGsの実施とビジネスの役割(“Unlocking the power of business as a force for good: Multi-stakeholder implantation of the SDGs and the role of business)」と題するワークショップでした。パネル討論形式で行われ、フィンランド農林・環境大臣のキンモ・ティーリカイネン氏、ラドル(Ladol)のCEO、エイミー・ジェデシミ氏、シュナイダー・エレクトリック・南アメリカゾーン社長のタニア・コセンティーノ氏、ソルベイのCEOジャン・ピエール・クラマデュー氏、国際労働機関(ILO)事務局長のガイ・ライダー氏がパネリストとして参加し、SDGs実施におけるビジネスの役割を活発に議論していました。
18日(水)には、“Business and SDGs ―Insights from Chief Sustainability Officers & sustainable champions”をタイトルに冠したスペシャル・イベントが開催されていました。このイベントは、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)と国連経済社会局の共催です。